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審美歯科の新しい治療法セレック

 更新日:2023/03/27

審美歯科の治療法はどんどん進化しています。現在、画期的な治療法として普及が進んでいるものにセレックがあります。セレックとは、産業界で活躍しているCAD/CAMシステムを歯科治療の領域でも活用できるようにしたものです。患者さんにとっては、早く楽に治療でき、費用も安ければありがたいことですが、セレックはどうでしょうか。セレックの概要について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
小田 洋司 歯科医師 おだ歯科医院 院長

 セレックシステムの基礎知識


審美歯科の治療で、セレックという耳慣れない言葉が聞かれるようになりました。セレック(CEREC)とは、最新の3D工作技術を利用した治療システムで、セラミック(CEramic)とリコンストラクション(REConstruction)を組み合わせた名称です。

CAD/CAMシステムで作る修復物

セレックでは、3DのCAD/CAMシステム装置を使ってクラウンなどの歯の修復物を作ります。CADやCAMといえば、Computer aided designとComputer aided manufacturingのことであり、建築業界をはじめ各種製造業などで活用されているものです。
セレックシステムの仕組みとしては、3Dカメラにより治療箇所を読み取って、コンピュータ上で設計を行います。引き続き、装置内で材料から修復物を削りだすというものです。
このセレックシステムを使うことで、これまでのような歯の型を取る工程をなくすとともに、精巧な修復物を作ることができます。しかも、短時間で作ることができるため、治療時間の大幅な短縮も可能です。

セレックで使われるセラミックブロック

セレックで使用するセラミックは、工場でブロック状に成型された専用のセラミックです。そのため、従来のセラミックよりも耐久性が高く、15年後でも93%が残存しているというデータがあります。これは、一般的なセラミック治療より4割くらい高い数値といわれています。

 セレックシステムによる治療のメリット

審美歯科で行われるセレックシステムによる治療のメリットを、さらに詳細にみていきましょう。

審美歯科の通院回数が激減

高性能なシステムを使用することで、時間短縮が実現できることは前述のとおりです。セラミックの削りだしだけなら10分程度で可能といわれており、トータルの治療時間でも1時間から2時間程度と考えられます。これだけの時間でセラミック修復物のセットが完了するというだけでも凄いことです。
しかも、その1回だけで治療終了となるため、従来型の治療で行っていた、仮の詰め物で過ごす期間がありません。この事実により、日常生活における患者さんの負担感が違うことはもちろんのこと、治療部位のトラブルが激減することも期待できます。
審美歯科に限らず、歯科治療は数回の通院が必要だという従来のイメージが吹き飛んでしまうのが、セレックによる治療です。

治療費が抑えられる

その場でセラミック修復物が作られ、短時間で治療が終了するセレックなら、治療費が抑えられるメリットがあります。
まず、歯科技工所へ支払うコストがありません。短時間で1回の治療ですから、患者さん一人あたりの経費も減ります。材料も規格品ですから経済的です。こうした要素があるため、治療費の負担も抑えられると考えられます。

長持ちする

15年後でも93%が残存している高い耐久性があるだけでなく、セラミックの自然な色味が長持ちするのもメリットのひとつです。審美歯科の治療としては大きなメリットといえるでしょう。

保険が使える部位もある

通常、審美歯科におけるセラミックを使った治療では、保険の適用はないものです。しかし、セレックでの治療なら、CAD/CAM冠として特定の歯に限り保険が使えます。特定の歯とは、小臼歯(4番と5番)です。また、金属アレルギーがある場合は、大臼歯についても保険適用となり、特定の条件下では、下の6番も保険使用が可能となっています。

 セレックシステムによる治療のデメリット

メリットの裏側にはデメリットも存在しているものです。セレックによる治療のデメリットを確認します。

自由診療の費用が高い

保険が使えるケースはよいですが、そうでないケースでは自由診療となるためまとまった額の費用がかかります。審美歯科でも自由診療の治療費の設定はクリニックが独自に行うため、実際にいくらかかるかはクリニック次第ですが、数万円は考えておくべきといえます。もっとも、高価なシステムを導入しているわけですから、あまり安くできないのは仕方ないことでしょう。ただし、メリットのところでも記載しましたが、他の審美修復で行うセラミック治療よりはコストを下げれるため費用は抑えることができます。

保険適用のハードルが高い

セレックのメリットのところで保険は使える歯に制限があることを述べましたが、もうひとつ、保険のハードルが高い理由があります。それは、地方厚生局長等に届け出たクリニックでなければ保険適用とならない決まりです。クリニックによっては、セレックを完全自由診療としているところもあります。ちなみに、保険適用の場合は3割負担で9,000円程度とされています。

審美性が劣ることもある

セレックで使用される材料であるセラミックブロックですが、オールセラミックを使うこともあれば、ハイブリッドセラミックを使うこともあります。ハイブリッドセラミックは、セラミックとコンポジットレジンを混ぜたものであり、オールセラミックより、破折に対して耐久性が高いですが、その物性のためオールセラミックより審美性が劣ります。審美と強度は相反する性質になります。そのため、材質が何かを確認すべきだといえます。

色の微調整が難しい

最近のセラミックブロックでは色の調節がしやすくなっているともいわれていますが、規格品であるため微妙な色合いの再現が難しい面はあるといわれています。そのため、前歯には向かないとする意見もあります。デメリットではありますが、従来のセラミック修復と同様の技工士によるテクニックを駆使すればセレクであっても色の微調整は十分にできます。

割れる可能性がある

セレックは一般のセラミック治療よりも割れにくいとされています。しかし、セラミックであることに変わりはないため、割れる可能性も頭の隅に置いておくべきかもしれません。

 より効果的に使いたいセレック


これまでみてきたように、セレックは審美歯科における画期的な最新の治療法だといえます。自由診療で実施する場合の費用負担は気になるところかもしれません。しかし、他に問題が無ければ治療が1日で終わること、しかも短時間であることを考えれば、コストパフォーマンスは優れているとの評価も可能でしょう。
また、保険診療の対象は年々見直されており、現在は対象外の歯でも保険が使えるようになる可能性はあります。さらに、材料となるセラミックについても改良によってよりよいものになれば、メリットが大きくなりそうです。
今後の期待も大きいセレックですが、必ず自分にも使えるとは限りません。また、使える場合でも、本当に使ったほうがよいと思えるケースで効果的に選択したいものです。

監修ドクターのコメント
セレック治療と言う言葉が審美歯科の中で最近、話題になってきています。しかし、セレック治療はいわゆるCAD/CAMを用いた治療方法です。近年のコンピューターやセンサーの技術の進化により治療の幅や精度は格段に進歩しています。審美修復だけではなく義歯の作成、インプラント等の診断ツールなどの診療に使われます。またセレック以外のCAD/CAMの機器もあり今後はセレック治療と言われず、デジタル治療等の名称になると思います。当院では2010年よりこのセレックを用いた審美修復や予防治療を行ってきており、国内・海外の研修に参加し最新の技術を習得しています。
どんな治療でもそうだとは思いますが、このセレックによる治療もしっかりとした技術を持っている医院での診療を受けていただくことが大事だと思います。
 
監修ドクター:小田 洋司 歯科医師 おだ歯科医院 院長

 審美歯科・セレックでおすすめの歯医者さん 近畿編

おだ歯科医院

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