

監修医師:
大坂 貴史(医師)
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京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
ラッサ熱の概要
ラッサ熱は、西アフリカに生息するネズミを宿主とするラッサウイルスが人に感染して起こるウイルス性感染症です (参考文献 1) 。ネズミの糞尿や唾液に含まれるウイルスとの接触、汚染された食品や水の摂取、ウイルスを含む塵埃の吸入が主な感染経路であるほか、人から人への感染も確認されています (参考文献 1, 2)。 潜伏期間は1〜3週間で、高熱や全身倦怠感で発症します (参考文献 1, 2) 。進行すると消化管出血や心膜炎・胸膜炎といった症状がでるほか、妊婦では胎児死亡や早産・流産の原因になります (参考文献 1) 。 問診による感染リスクの高い行動の拾い上げが診断の鍵です。検査としてはウイルスの分離やPCR法が有効で、治療は発症早期の抗ウイルス薬 (リバビリン) の投与が有効とされています(参考文献 1)。 予防には、流行地域でのネズミとの接触を避け、食品や水の衛生管理に注意することが重要です。現地の医療現場で活動する際には適切な感染予防策を徹底してください。ラッサ熱はワクチンがないため、個人の予防策が感染防止に不可欠です。ラッサ熱の原因
ラッサ熱は、西アフリカの一部地域に生息するマストミスと呼ばれるネズミを宿主とするラッサウイルスが、ヒトに感染することによって引き起こされるウイルス性感染症です (参考文献 1) 。 マストミス自体はラッサウイルスに感染しても症状が出ないのですが、マストミスの糞尿、唾液にはウイルスが大量に含まれていて、人がこれらに接触することで感染します (参考文献 1, 2) 。 マストミスに直接咬まれたり排泄物へ触れてしまうことで傷口から感染するほか、ウイルスで汚染された食品や水の摂取、ウイルスが含まれた塵埃の吸入も感染経路になります (参考文献 1, 2)。 また、血液や粘膜接触を介しての人から人への感染も確認されています (参考文献 1) 。ラッサ熱の前兆や初期症状について
1~3週間の潜伏期間の後に、39~41℃に及ぶ発熱や、全身倦怠感といった症状で発症します (参考文献 1, 2) 。 病状が進行すると次のような症状が出てきます (参考文献 1) 。- 大関節痛
- 咳・喉の痛み
- 胸・背中・腰・みぞおちの痛み
- 下痢・嘔吐
- 腹痛
ラッサ熱の検査・診断
診断には問診が最も重要です。「流行地域に最近行った」「ネズミとの接触があった」「粘膜接触を伴う行動をした」というようなことがあれば、必ず医師に伝えてください。 検査としては咽頭ぬぐい液や血液、尿からのウイルスの分離や、PCR法が有効なほか、迅速診断法もあります (参考文献 1) 。ラッサ熱の治療
ラッサ熱は適切な治療にたどり着けない場合、死亡することがある重症疾患です。 発症早期の抗ウイルス薬 (リバビリン) の投与が有効であることが知られています (参考文献 1) 。ラッサ熱になりやすい人・予防の方法
ラッサ熱に対するワクチンはないので、流行地域に訪れる際の行動が予防に重要です。 ラッサ熱は宿主であるマストミスが生息する西アフリカで局地的に流行しています (参考文献 1) 。ギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベニン、ナイジェリア、中央アフリカ共和国で年間20~30万人の感染があるのではないかとされています (参考文献 1) 。 したがって、これらの地域に渡航する予定のある人は感染リスクが高いと言えます。特にネズミとの接触には気を付けてください。 また、ネズミの排泄に汚染された飲食物を介しても感染が成立すると考えられているため、口にするものの衛生管理が適切になされているかには細心の注意を払いましょう。 人から人への感染は血液や粘膜を介して成立します。医療機関で感染拡大した例が知られていて、これは注射器や適切な感染予防策をとれていなかったことが原因であったと考えられます。医療系の活動で流行地を訪れる機会があれば、通常日本の医療施設で行われているような接触感染対策を心がけてください。関連する病気
- エボラ出血熱
- マールブルグ病
- 黄熱病
参考文献
- 国立感染症研究所. ラッサ熱
- 厚生労働省検疫所 FORTH. ラッサ熱 (Lassa fever)




