

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。
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ホットフラッシュの概要
ホットフラッシュは、主に更年期に見られる一過性の体温上昇と発汗を伴う症状です。 突然の熱感が顔や上半身を中心に広がり、数秒から数分間続くことが一般的です。ホットフラッシュは女性に多く見られますが、男性にも起こることがあります。この症状は日常生活に大きな影響を与えることがあり、睡眠障害や精神的ストレスを引き起こすこともあります。多くの女性は閉経前後の数年間にわたってこれを経験し、その頻度や強度は個人差があります。ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュの主な原因は、エストロゲンの急激な減少による自律神経の乱れです。更年期に入ると、女性の体内でエストロゲンの分泌が減少し、体温調節機能に影響を及ぼします。具体的な原因としては次のものが挙げられます。- ホルモンの変動 更年期におけるエストロゲンの減少が主な原因です。ホルモンバランスの変化が体温調節中枢に影響を与えます
- ストレス 精神的ストレスや緊張が自律神経に影響を与え、ホットフラッシュを引き起こすことがあります
- 生活習慣 アルコールやカフェインの摂取、喫煙などの生活習慣がホットフラッシュの頻度や強度を増加させることがあります
- 環境要因 高温多湿の環境や急激な温度変化がホットフラッシュを誘発することがあります
- 遺伝的要因 ホットフラッシュが家族に多く見られる場合、遺伝的な影響が考えられます
ホットフラッシュの前兆や初期症状について
ホットフラッシュは更年期における血管運動神経症状のひとつとされています。ホットフラッシュの前兆や初期症状には以下のものがあります。- 突然の体温上昇 顔や首、胸部に突然の熱感が起こることがあります。これはホットフラッシュの最も典型的な症状です
- 発汗 特に上半身で強い発汗が見られます。時に服が濡れるほど汗をかくこともあります
- 赤み 顔や首、胸部が赤くなることがあります
- 寒気 ホットフラッシュが収まると、逆に寒気を感じることがあります
- 動悸 心臓がドキドキする感じを伴うことがあります
ホットフラッシュの検査・診断
ホットフラッシュの診断は、主に患者さんの症状と病歴に基づいて行われます。以下の方法が一般的です。- 問診 ホットフラッシュの頻度、持続時間、発生時の状況などを詳しく聞き取ります
- ホルモン検査 血液検査を行い、エストロゲンや他のホルモンレベルを測定します。これにより、更年期によるホットフラッシュであるかどうかを確認します
- その他の検査 必要に応じて、甲状腺機能検査や他の内分泌検査を行い、ホットフラッシュの他の原因を排除します
ホットフラッシュの治療
ホットフラッシュの治療には次の方法が用いられます。ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲンを補充することで、ホットフラッシュの症状を緩和することができます。HRTは効果的ですが、長期間の使用にはリスクが伴うため、医師と十分に相談することが重要です。 HRTには主に以下の方法があります。- エストロゲン単独療法 子宮摘出を受けた女性に適用される療法です。エストロゲンを補充することでホットフラッシュの症状を効果的に緩和します
- エストロゲンとプロゲステロンの併用療法 子宮を保持している女性に適用される療法です。エストロゲンのみの補充では子宮内膜癌のリスクが増加するため、プロゲステロンを併用することでこのリスクを抑えます
- 効果 HRTはホットフラッシュや夜間の発汗、膣の乾燥など、更年期症状の多くに対して高い効果があります。また、骨密度を維持し、骨粗鬆症の予防にも寄与します
- リスク 長期使用に伴うリスクとして、心血管疾患や血栓症、乳がんのリスク増加が報告されています。したがって、HRTを開始する際には、個々のリスクとベネフィットを十分に考慮し、医師と相談の上で決定することが重要です
非ホルモン療法
抗うつ薬や抗てんかん薬がホットフラッシュの緩和に役立つことがあります。これらの薬は、ホットフラッシュの頻度や強度を減少させる効果があります。生活習慣の改善
生活習慣を見直すことがホットフラッシュの改善に役立ちます。- 衣服の調整 ホットフラッシュの際に上着をぬぐことですぐに体温を調整できるようにします
- 食生活の見直し 辛い食べ物やカフェイン、アルコールを避けることで、ホットフラッシュの頻度を減らすことができます。小まめに水分補給することも大切です
- ストレス管理 瞑想、ヨガ、深呼吸などのリラクゼーション技法を取り入れ、ストレスを軽減します
- 運動 定期的な軽い運動がホットフラッシュの緩和に役立つことがあります
補完代替療法
鍼灸やハーブの使用がホットフラッシュの緩和に役立つことがあります。これらの療法の効果には個人差があるため、医師と相談の上で試してみることが推奨されます。ホットフラッシュになりやすい人・予防の方法
ホットフラッシュになりやすい人には以下の特徴があります。- 更年期の女性 ホットフラッシュは特に更年期の女性に多く見られます。エストロゲンの減少が主な原因とされています
- 過去にホットフラッシュを経験したことがある人 一度ホットフラッシュを経験したことがある場合、再発する可能性が高いです
- ストレスの多い生活を送っている人 ストレスが多いとホットフラッシュの頻度が増えることがあります
- 不健康な生活習慣 不規則な食生活や運動不足、過度のアルコール摂取はホットフラッシュのリスクを高めます
- 家族歴 ホットフラッシュが家族に多い場合、遺伝的な影響が考えられます
- 喫煙 喫煙はホットフラッシュのリスクを高める要因とされています
- 肥満 体重過多や肥満はホットフラッシュのリスクを増加させます
- 健康的な生活習慣 バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な睡眠がホットフラッシュの予防に役立ちます
- ストレス管理 ストレスを軽減するためのリラクゼーション法(ヨガ、瞑想、深呼吸など)を取り入れます
- 環境の調整 暑さを避け、涼しい環境を保つことがホットフラッシュの予防に役立ちます。例えば、通気性の良い衣服を着用し、体温調整がしやすい服装を心がけます。また、冷房や扇風機を利用するなども効果的です
- トリガーの回避 カフェイン、アルコール、辛い食べ物など、ホットフラッシュを引き起こす可能性のあるトリガーを避けることが重要です
- ホルモン補充療法の適切な利用 医師の指導のもと、適切にホルモン補充療法を行うことで、ホットフラッシュを予防します
参考文献




