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小児湿疹
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

小児湿疹の概要

小児湿疹は、乳児期〜幼児期にできる湿疹・皮膚炎の総称です。皮脂の過剰分泌やアレルギー、乾燥、刺激などのさまざまな原因で発症します。とくに出生直後の赤ちゃんは皮膚のバリア機能が未発達であるため、湿疹ができやすいです。

小児湿疹に分類される皮膚疾患には、以下のようなものが挙げられます。

乳児湿疹

生後1〜2週間後からみられる湿疹で、顔やおでこを中心に出現します。原因は皮脂の過剰分泌などが考えられています。
スキンケアを中心とした治療で緩和することが多い湿疹ですが、良くならないケースの場合には医師から処方された薬の使用が望ましいでしょう。

アトピー性皮膚炎

左右対称に広がり、増悪と寛解を繰り返す湿疹です。家族にアトピーの人がいたり、アレルギー体質だったりする場合に生じやすく、乳幼児期〜学童期にかけて発症しやすいと言われています。

初期症状では乳児湿疹のような皮疹が顔中心に生じますが、進行すると体や四肢に皮疹が移行していきます。炎症や痒みを伴うため、多くのケースで治療にステロイド軟膏が選択されます。

接触皮膚炎

おむつや衣類、金属などと接触した場合に発症する湿疹です。とくに乳幼児期では、おむつによる湿潤環境によって「おむつ皮膚炎」が生じるケースが多いです。

おむつ皮膚炎の場合は、こまめなおむつ交換や徹底したスキンケアによって、おむつの中を清潔に保ちます。また、アレルギーが原因の場合は抗アレルギー薬やステロイド薬の使用を検討します。

小児湿疹の原因

小児湿疹の原因は、湿疹の種類によってさまざまです。
乳児湿疹の場合、生後3ヶ月までの湿疹は過剰な皮脂分泌が原因と考えられています。皮脂分泌は母親から受け継いだホルモンによって生じるため、生後3ヶ月以降は徐々に減少すると言われています。それ以降は乾燥が原因で生じる場合があります。

アトピー性皮膚炎には主にアレルギー体質が関与していると考えられています。また遺伝や精神的なストレスなども原因となります。

接触皮膚炎は、主におむつや衣類、金属などとの接触が原因です。とくに乳幼児期で多いのはおむつ皮膚炎で、おむつ内の湿潤環境で皮膚が擦れることで発症します。

小児湿疹の前兆や初期症状について

小児湿疹の前兆や初期症状は、湿疹の種類によって異なります。

乳児湿疹では赤いポツポツとした皮疹が初期症状として出現します。頬やおでこを中心に広がっていき、皮膚全体が赤くなることもあります。痛みや痒みは伴わないケースもあります。

アトピー性皮膚炎は、乳児湿疹のような赤い皮疹が頬やおでこに出現することが前兆として考えられます。成長に伴って顔面の皮疹は減少しますが、頸部や鼠蹊部、手首、足首などに生じやすくなります。痒みを伴い、症状の寛解や増悪を繰り返すことが特徴です。

接触皮膚炎では、おむつや衣類、金属と接触している部位に、紅斑(皮膚の赤み)や丘疹(皮膚の盛り上がり)が初期症状としてみられます。

小児湿疹の検査・診断

乳児湿疹と接触皮膚炎の場合は医師による視診と問診によって判断され、多くは特別な検査を必要としないケースが多いです。

しかし、症状が長引く場合はアトピー性皮膚炎の可能性があるため、皮膚のパッチテストや血液検査をおこないます。

小児湿疹の治療

小児湿疹の治療では十分なスキンケアを習慣化しながら、薬物療法を実施します。

スキンケア

スキンケアで重要なことは清潔な肌環境を保つことと、皮膚の保湿をすることです。小児はまだ皮膚が未発達で刺激に弱いため、弱酸性で刺激の少ない石鹸を使用して皮膚の清潔を保ちましょう。石鹸で皮膚を洗った後はできるだけ早く保湿剤を塗り、乾燥させないように注意してください。

薬物療法

薬物療法では小児湿疹に対しての軟膏が中心です。とくにアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の湿疹に対しては、ステロイドの含まれた軟膏が効果的です。乳児湿疹に対しても、スキンケアのみで改善が見られない場合はステロイドの使用が検討されます。

また、アレルギーによって小児湿疹が引き起こされているケースでは、アレルギーを抑える薬も内服します。アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎ともに、アレルギー薬である抗ヒスタミン薬はガイドラインで推奨されている治療薬です。

小児湿疹になりやすい人・予防の方法

小児湿疹のうち、乳児湿疹は多くの乳児で発症しやすい疾患です。アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎は、アレルギー体質のある人や家族歴がある人などで生じやすいことがわかっています。また、同じおむつを長時間着用している場合は、おむつ皮膚炎を引き起こしやすいです。

小児湿疹の予防方法として、適切なスキンケアが重要です。皮膚の清潔な環境を保ち、保湿を促すことで小児湿疹の発症を抑えられます。また、皮膚をかきむしることは症状の悪化につながるため、皮疹がある部分を衣類で覆うなどの工夫をしましょう。

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