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五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

雀卵斑の概要

雀卵斑(じゃくらんはん)とは、いわゆる「そばかす」のことを指し、顔や身体に現れる小さな褐色の色素斑です。幼少期から現れ始め加齢とともに多くなり、思春期頃にピークを迎えます。

紫外線に反応するため、夏季に色が濃くなり冬季に目立ちにくくなる傾向があります。

雀卵斑の出現には遺伝的な要因が関与しており、両親や兄弟姉妹に雀卵斑がある場合、自分にも出やすいとされています。

雀卵斑は肌の健康上の大きな問題はありませんが、美容上の悩みとなることが多い状態です。

治療および予防においては、紫外線対策などの日常的なケアが重要です。

また患者の希望や症状の程度に応じて、専門機関でのレーザー治療などが行われることもあります。

雀卵斑の原因

雀卵斑が発生する主な原因は、メラニンの過剰な生成です。

メラニンの本来の役割は肌を紫外線から守ることですが、紫外線を多く浴びることでメラニンが過剰に作られ、雀卵斑の発生につながります。

メラニンは皮膚の深層にあるメラノサイトという細胞で合成されるもので、とくにメラノサイトが活性しやすい体質の場合、雀卵斑ができやすくなります。

雀卵斑は一般的に幼少期から現れ始め、年齢とともに数が増えたり色が濃くなったりすることがあります。 紫外線の影響を受けやすいため、春から夏にかけて増加し秋から冬にかけて薄くなる点が特徴です。

雀卵斑の前兆や初期症状について

雀卵斑は顔を中心に幼少期から徐々に現れ始め、薄い茶色の小さな斑点として現れ、徐々に色が濃くなります。 鼻から両頬にかけて左右対称に出現することが多いですが、顔の他にも手の甲や腕、背中などにみられることもあります。

色素斑は痛みやかゆみといった症状を伴わないことが特徴です。 一気に出現することは少なく、徐々に増える傾向があります。

雀卵斑は思春期になると紫外線の影響でより目立つようになりますが、これは紫外線による反応の一つで、肌の状態が悪化しているわけではありません。

なお、突然大量の色素斑が出現したり痛みやかゆみなどをともなったりする場合は、他の皮膚疾患の可能性もあるため、気になる症状がある場合は皮膚科を受診しましょう。

雀卵斑の検査・診断

雀卵斑の診断では色素斑の大きさや形状、色調や分布などの特徴を見ます。また、症状が出現した時期や家族歴の有無、日光を浴びる習慣の有無についても確認します。

雀卵斑の検査や診断においては、悪性皮膚疾患との鑑別が重要です。

精密検査を要する場合、ダーモスコピーという特殊な顕微鏡による検査を実施します。

ダーモスコピーは皮膚の表面を数十倍に拡大して観察できる検査で、雀卵斑と他の皮膚疾患との鑑別に役立ちます。

形や大きさが不規則な場合や、急激に増加した場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。また、美容的な悩みがある場合も専門医へ相談することをおすすめします。

なお、診察を受ける際は、肌の状態を確認しやすくするため、スキンケアやメイクを控えめにすると良いです。

症状の経過や気になることについてメモにまとめておくと、よりスムーズな診断につながります。

雀卵斑の治療

雀卵斑の治療は医療機関でおこなう治療と、日常的なケアの2つに大別されます。

医療機関での主な治療はレーザー治療で、メラニンに対して特異的に反応する光を照射することで色素を分解します。 治療は複数回に分けておこなうこともあります。

雀卵斑は治療によって目立たなくなりますが、紫外線を浴びると再び増加することもあるため、治療後は十分な紫外線対策をおこなう必要があります。

日常的なケアとしては紫外線対策が重要です。帽子やサンバイザーを着用したり、日焼け止めを使用したりして、紫外線から肌を守るようにしましょう。

雀卵斑の治療は原則保険適用外となるため、症状の程度や予算などを考慮して治療法の選択をする必要があります。また、どの治療法においても治療後の紫外線対策は欠かせません。

治療を検討する際は専門医に相談し、自分に合った治療法を選択することをおすすめします。

雀卵斑になりやすい人・予防の方法

雀卵斑は遺伝による要因が大きいため、家族の中で雀卵斑がある人は出現しやすいといえます。また、幼少期から紫外線を多く浴びている人も、雀卵斑が出やすくなります。

予防方法として重要なのは紫外線対策です。つばが大きい帽子やサンバイザー、日傘、日焼け止めクリームなどを使用して対策しましょう。

日焼け止めを使用する際は一度だけ塗るのではなく、こまめに塗り直すことがポイントです。日中の紫外線が強い時間帯は外出を控えることも有効な紫外線対策です。

他にも、メラニン生成の抑制につながる成分を含んだ化粧品の使用や、十分な肌の保湿などの日常的なスキンケアが効果的な場合もあります。

生活習慣の面では、十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

とくにビタミンなどの抗酸化成分を多く含む食品は、肌の健康を保ち紫外線対策の効果が期待できるため、積極的に摂取しましょう。

雀卵斑を完全に予防することは難しいですが、これらの対策を早期から始めることで症状の進行を遅らせたり、症状の程度を軽減することにつながります。

小さい子どもに対しても、子ども用の日焼け止めクリームを塗布したり帽子を被ったりするなどの対策が大切です。

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