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喉頭がん
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

喉頭がんの概要

喉頭がんは、喉頭(いわゆるのど)に発生する悪性腫瘍です。のどは主に以下の3つの重要な役割を担っています。

  • 食べ物を飲み込む際の通路
  • 呼吸の際に気管を通じて空気を肺に送り込む通路
  • 声帯を振動させて声を出す
喉頭がんは飲酒や喫煙がリスク因子であり、男性に多く見られますが、近年では女性の罹患率も増加しています。発生部位により声帯がん声門上がん声門下がんなどに分類され、症状や治療法が異なる場合があります。 上記のため、初期のうちから声がかすれる、飲み込むときの痛みといった症状が出やすく、早期に見つかることが多い傾向です。早期であれば手術や放射線治療で治ることも多く、早めに受診することが重要な病気です。

喉頭がんの原因

喉頭がんの主な原因は、喫煙と飲酒です。喫煙は喉頭がんの最も強力なリスク因子であり、特に長期間にわたる大量の喫煙により、リスクが大幅に増加します。飲酒も同様にリスクを高める要因であり、特に飲酒後に赤くなる方はアルコールによるがん化のリスクが通常より高いとされています。喫煙と飲酒の両方を行うことでリスクは相乗的に増加します。 その他のリスク因子としては、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染、逆流性食道炎、職業上の有害物質への曝露(アスベストや化学物質など)といったの喉頭に負担をかけるものが挙げられます。

喉頭がんの前兆や初期症状について

喉頭がんの初期症状は前述の通り、声がかすれることが最も多く、ご自身だけでなく、周囲の方も気付きやすいです。がんの位置や進行度によって異なりますが、主なものとしては以下が挙げられます。

  • 声のかすれ 声帯が影響を受ける場合、声がかすれることが多く見られます。初期段階から症状が現れるため、持続する場合は医師の診察が必要です。
  • のどの痛み 発声時やときに飲み込む際の痛みが持続する場合があります。
  • 持続する咳 長引く咳や喀血が見られることがあります。
  • 頸部のしこり・腫れ 頸部のリンパ節に転移すると首の周りが腫れてくることがあります。
  • 体重減少 明確な理由・誘引のない体重減少もがんの初期症状であることがあります。
  • 呼吸困難 がんが進行すると気道が狭くなり、呼吸が困難になることがあります。

喉頭がんが疑われる初期症状などが現れた際には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

喉頭がんの検査・診断

診断のためには以下の検査が行われます。これらの検査により病気の状態を調べ、ステージを診断します。

  • 触診 頸部にしこりがある場合はリンパ節転移やそのほかの病気と鑑別する必要があります。
  • 喉頭鏡・喉頭ファイバー 喉頭鏡や内視鏡を用いて喉頭の内部を直接観察し、異常を確認します。この際に異常な組織を採取して顕微鏡を用いて病理検査を行い、がんの有無を確認します。
  • 超音波検査 頸部のリンパ節が腫れている場合などに行います。腫れている部分に針を刺して組織を採取し、調べる場合もあります。
  • 画像診断 CTやMRI、PET-CTなどを用いて腫瘍の大きさや範囲、広がり、周囲の臓器との関係を評価します。
  • 血液検査 腎機能やほかの臓器機能を評価します。今のところ喉頭がんの診断や治療効果の判定に有用な特定の腫瘍マーカーはありません

喉頭がんの治療

早期の喉頭がんは手術放射線治療で成績が同等であることが知られています。一般的に早期の喉頭がんであれば放射線治療が選択されることが多い傾向です。喫煙や飲酒は手術や放射線治療の副作用や合併症が増加、悪化しやすくなることが知られており、病気になってからも中止するように指導されます。

実際の治療方法はがんの進行度や患者さんの健康状態により異なりますので、担当の医師と相談してください。 喉頭がんの治療は病気の状態にもよりますが発声、嚥下、呼吸といった生活への影響が大きく、悩まれる方も多い傾向です。治る確率を優先するのか、声を失う可能性を少しでも低くするのかといった患者さんの希望も踏まえて治療方針が決定されます。主な治療法は以下の通りです。

  • 手術 病変が小さく、局所に限られている場合やリンパ節転移が頸部まででとどまっている場合に適応になります。声帯を部分的に切除して声帯の機能を温存できる場合と、全摘する場合があります。
  • 放射線療法 治療後ものどの形や機能が残るので声が出せることが特徴です。ほかにも手術後の再発予防などのために放射線を用いることがあります。
  • 化学療法 進行したがんや再発したがんに対しては、抗がん剤を用いた化学療法が行われます。病気の状態によって放射線療法と併用することもあります。

治療の選択は患者さんごとの症状や生活の質(QOL)を考慮して慎重に決定されます。治療後には嚥下障害(飲み込む力の低下)が起きることがありますので、リハビリが必要になったり、食事の形態を工夫するなど、誤嚥性肺炎に注意する必要が出てくる場合があります。喉頭を摘出した場合は電気喉頭や食道発声、シャント法などを行うことで、声が出るような治療や処置をさらに行う場合があります。

喉頭がんになりやすい人・予防の方法

喉頭がんのリスクが高いのは、以下の特徴を持つ人々です。

  • 喫煙者 喫煙は最も重要なリスク因子です。
  • 過度の飲酒者 特に喫煙と併用する場合、リスクが高まります。
  • 職業的曝露 有害物質に曝露される職業(化学工場、建設業など)の人々。
  • HPV感染者 特定のHPVウイルスに感染している人。
  • 栄養不足や不均衡な食生活 野菜や果物の摂取が少ない場合。

予防のためには以下の方法が有効です。

  • 禁煙 最も効果的な予防法です。禁煙は禁煙外来を受診する方が成功率が高いとされていますので、お近くの医療機関でご相談下さい。
  • 飲酒制限 過度の飲酒を控えること。
  • 適切な職業上の防護 有害物質への曝露を避けるための対策を講じること。
  • 健康的な食生活 栄養バランスの取れた食事を心がけること。
  • 定期検診 特に喫煙歴が長い人やリスク因子を持つ人は定期的に医師の診察を受けることが推奨されます。

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