

監修医師:
渡邊 雄介(医師)
所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長
目次 -INDEX-
鼻中隔湾曲症の概要
鼻中隔湾曲症とは、骨と軟骨でできた鼻中隔という鼻腔を左右に分ける仕切りが、中心からずれている状態を指します。軽度の鼻中隔湾曲症は多くの人でみつかり、約80%の人で何らかの鼻中隔の歪みがあるとも言われています。しかし、多くの場合は症状がないか軽微であり、治療を必要とするのは呼吸に著しい問題を引き起こす重度の場合のみです。
鼻中隔弯曲の原因
鼻中隔弯曲の主な原因には以下のようなものがあります。
- 先天的要因:生まれつき鼻中隔が曲がっている場合があります。
- 発育過程:成長に伴い、鼻中隔が片側に傾くことがあります。
- 外傷:鼻への怪我や衝撃により、鼻中隔が曲がることがあります。
- 難産:出産時の圧力により、新生児の鼻中隔が曲がることがあります。
鼻中隔弯曲の前兆や初期症状について
鼻中隔弯曲の症状は個人差が大きく、軽度であれば多くは無症状です。
主な症状には以下のようなものがあります。
- 鼻づまり:特に片側の鼻が詰まりやすくなります。
- 呼吸困難:鼻呼吸が困難になることがあります。
- 頻繁な副鼻腔感染:鼻腔内の空気の流れが悪くなることで、副鼻腔炎を起こしやすくなります。
- 鼻血:鼻中隔の表面が乾燥しやすくなり、鼻血が起きやすくなります。
- 顔面痛や頭痛:鼻腔内の圧力変化により、痛みを感じることがあります。
- いびきや睡眠時無呼吸:鼻呼吸が困難になることで、睡眠の質が低下することがあります。
鼻中隔弯曲は、多くの場合深刻な健康上の問題とはなりませんが、呼吸困難や慢性的な鼻づまり、頻繁な副鼻腔感染などの症状が生活の質に影響を与える場合は、耳鼻いんこう科を受診することをお勧めします。適切な診断と治療により、症状の改善が期待できます。
鼻中隔弯曲の検査・診断
鼻中隔弯曲の診断は、主に以下の方法で行われます。
- 問診:症状や既往歴、生活習慣などについて詳しく聞き取りを行います。
- 鼻腔内の視診:鼻鏡を使用して鼻腔内を観察し、鼻中隔の状態を確認します。
- 内視鏡検査:より詳細に鼻腔内を観察するために、内視鏡を使用することがあります。
また、自己診断の方法として、以下のような簡単なテストがあります。
- 鏡で鼻の下を観察し、左右の鼻孔の大きさが異なっていないか確認する。
- 片方の鼻孔を押さえて呼吸し、左右で呼吸のしやすさに違いがないか確認する。
ただし、正確な診断には医療専門家による診察が必要です。
鼻中隔弯曲の治療
鼻中隔弯曲もしくは弯曲による症状に対する治療方法は、症状の程度によって異なります。
経過観察
自覚症状がなければ、通常は治療を必要としません。
薬物療法
症状を軽減するために、以下のような薬剤が使用されることがあります。
・鼻腔用ステロイド薬:スプレーとして噴霧すると、鼻腔内の炎症を抑えます。
・抗ヒスタミン薬:内服薬で、アレルギー症状を軽減します。
・鼻腔用血管収縮薬:スプレーとして噴霧すると、鼻づまりが一時的に改善します。
手術療法(鼻中隔矯正術)
症状が重い場合や薬物療法で改善しない場合に検討されます。
通常は局所麻酔で行います。
鼻中隔の骨や軟骨を再形成します。傷口は鼻腔内なので外からは見えません。
必要に応じて、下鼻甲介と呼ばれる突起の骨も同時に切除する場合があります。
通常30〜90分程度で終了し、全身状態にもよりますが 程度によっては日帰り手術が可能です。
数日間は鼻の中に詰め物をして、術後の通院も必要です。
鼻中隔弯曲になりやすい人・予防の方法
先天性の鼻中隔弯曲は予防できませんが、外傷による弯曲を防ぐために、スポーツ時はヘルメットや顔面保護具を使用するなどして鼻への衝撃を避けましょう。
また、鼻中隔弯曲による症状の悪化を防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
- 適切な湿度管理:乾燥による鼻腔内の刺激を防ぐ
- 医療機関に相談:副鼻腔炎や睡眠時無呼吸を疑ったら、耳鼻科や総合診療科に相談する
- 定期的な医療機関の受診:治療効果や状態を確認するため、医師の指示に従い定期的に受診する
参考文献




