

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
プロフィールをもっと見る
浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
目次 -INDEX-
動物アレルギーの概要
動物アレルギーとは、犬や猫などの動物の毛やフケなどに由来する過敏反応です。体内で異物を排除する免疫システムがはたらき、さまざまなアレルギー症状を起こします。 花粉にアレルギーがあれば「花粉症」、食べ物にアレルギーがあれば「食物アレルギー」となるのと同じように、動物アレルギーは「動物」にアレルギー反応を示す状態です。動物アレルギーの場合、原因となる毛やフケなどを吸い込んだとき、動物に触れたときなどに症状があらわれます。 動物アレルギーのおもな症状は、以下のとおりです。- 鼻炎症状
- 皮膚症状
- 気管支喘息
- アナフィラキシー
動物アレルギーの原因
動物アレルギーの原因は、動物の毛、フケ、唾液、尿、糞など多岐にわたります。実際は毛やフケそのものというよりは、含まれる特定の「たんぱく質」がアレルギーの原因です。 アレルギーの原因となる動物の例を、以下に紹介します。- 犬
- 猫
- ハムスター
- ウサギ
- セキセイインコ など
- 動物の毛に対して免疫がはたらいてIgE抗体が作られ動物アレルギーを起こす体質になる(感作)
- 動物の毛に触れたとき、かゆみや赤みなどのアレルギー症状が出る(誘発)
動物アレルギーの前兆や初期症状について
動物アレルギーの前兆や初期症状は以下のとおりです。 鼻炎症状 くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎の症状 皮膚症状 皮膚のかゆみ、湿疹、赤みなどの症状 気管支喘息 咳、息苦しさ、呼吸困難などの呼吸器症状 動物アレルギーが原因で気管支喘息が悪化する場合もあり、気管支喘息から動物アレルギーの存在が判明することもあります。 動物アレルギーによる鼻水は、花粉症と同様に「さらさらとした水のような鼻水」が出るのが特徴です。ただし、どのような症状が出るかはアレルギーの重さや接したアレルゲンの量によって異なります。 直接動物に触れなくても、「近くに寄る」「動物を飼っている人と接触する」などでもアレルギーが出る可能性はあります。動物アレルギーがある人は自分の体調変化に注意を払うようにしましょう。 また、場合によっては、動物に触れた直後から顔や舌のむくみが起きて、息苦しさが出るアナフィラキシー症状が出るケースもあります。気になる症状が出たら、早めにアレルギー科を受診しましょう。動物アレルギーの検査・診断
動物アレルギーのおもな検査は、以下の3種類です。| 問診 | ・症状が出るタイミング、頻度、動物との接触状況などの聞き取りから判断する |
|---|---|
| 血液検査 | ・血液中の特異的IgE抗体を測定する |
| 皮膚テスト (プリックテスト・パッチテスト) | 皮膚テストには即時型アレルギーと遅延型アレルギーをみる方法があります。動物アレルギーは即時型アレルギーのため、皮膚テストが行われる場合にはプリックテストとなります。 ・プリックテストは「即時型アレルギー」の検査で、皮膚内に少量のアレルゲンを針で入れ、15分後の反応をみる ・パッチテストは「遅延型アレルギー」の検査で、アレルゲンを皮膚に貼付して約2日後の皮膚状態をみる |
動物アレルギーの治療
現在、動物アレルギーを根本的に治療することは困難です。何においても抗原(アレルゲン)から回避を行うことが最重要の治療となります。また、症状に合わせて以下のような薬剤を組み合わせて使用します。| 代表的な薬 | 治療に使われる症状 | 成分の例 |
|---|---|---|
| 抗アレルギー薬(内服) | ・鼻炎症状 ・皮膚症状 | ・フェキソフェナジン ・エピナスチン ・ロラタジン |
| 抗アレルギー薬(気管支喘息予防の内服) | ・気管支喘息 | ・プランルカスト ・モンテルカスト |
| 抗アレルギー薬(点鼻) | ・鼻炎症状 | ・フルチカゾン ・モメタゾン |
| ステロイド外用薬 | ・皮膚症状 | ・ベタメタゾン ・デキサメタゾン ・ヒドロコルチゾン |
| 吸入ステロイド薬 | ・気管支喘息 | ・ブテゾニド ・フルチカゾン ・シクレソニド |
動物アレルギーになりやすい人・予防の方法
動物アレルギーになりやすい人
動物アレルギーになりやすい人は、以下のとおりです。- 家族や本人にアレルギー疾患がある人
- アレルゲンとなる動物との接触が多い人
予防の方法
動物アレルギーの症状を少しでも出にくくする予防法は以下のとおりです。- こまめに部屋の換気をする
- 動物に触れた後は手を洗う
- ペットを清潔に保つ、ペットを屋外で飼育する
- カーペットやカーテンなども清潔にする
- ペットを飼う床はフローリングにする
- 寝室に動物を入れない
- 空気清浄機を使用する
- 動物を洗う
参考文献
- 経皮感作について | 町田市医師会
- Washing the dog reduces dog allergen levels, but the dog needs to be washed twice a week - ScienceDirect
- Can f 1 levels in hair and homes of different dog breeds: lack of evidence to describe any dog breed as hypoallergenic - PubMed
- Human allergy to cats: A review for veterinarians on prevalence, causes, symptoms and control - PMC
- TiO2-Photocatalyst-Induced Degradation of Dog and Cat Allergens under Wet and Dry Conditions Causes a Loss in Their Allergenicity
- 健康・快適居住環境の指針 東京都保健医療局 指針(平成28年度 改定版)指針No.30 住居に起因するアレルギー疾患




