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夏バテ
久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

夏バテの概要

夏バテは、暑い季節によく見られる身体的な不調です。気温と湿度の上昇が原因で、身体機能が低下します。この状態は誰にでも起こり得るもので、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

夏バテの原因

夏バテの主な原因は以下の通りです。

  • 気温と湿度の上昇
    夏の気温の上昇は体温調節に大きな負担をかけます。特に湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温を効果的に下げることが困難になります。これが、熱中症のリスクを高め、疲労やだるさを引き起こします。
  • 水分と塩分の不足
    暑い日には汗を多くかきますが、その際には水分だけでなく塩分も失われます。適切な水分や塩分の補給が行われない場合、脱水症状が出現します。
  • 栄養不足
    暑さにより食欲が落ちることも夏バテの一因です。栄養不足はエネルギーの低下を招き、さらに体調を崩しやすくします。特にビタミンやミネラルの摂取が不足すると、疲労が蓄積しやすくなります。
  • 適切な休息の欠如
    熱い夜は睡眠の質を低下させることがあり、これが翌日の体調不良につながることがあります。身体がリカバリーする時間が不足し、夏バテを悪化させる原因となります。

夏バテの前兆や初期症状について

疲労感の増加
日常の活動で普段以上に疲れを感じ始めることがあります。例えば、軽い家事や少しの歩行でも疲れやすくなることがあります。
食欲不振
暑さによって食欲が減少します。特に暑い日には、重い食事よりもさっぱりとした食べ物や冷たい飲み物を好むようになることがあります。
頭痛
脱水や熱中症の初期段階で頭痛が生じることがあります。これは体内の水分が不足しているサインかもしれません。
だるさと集中力の低下
暑い環境下での活動は、身体へのストレスが増大し、全体的なだるさや仕事、勉強時の集中力の低下を招くことがあります。
睡眠の質の低下
暑さで夜間の睡眠が不十分になり、それが疲労感をさらに悪化させることがあります。

夏バテになった時に受診する科

夏バテは、高温多湿な環境下での活動によって引き起こされる体調不良です。夏バテ自体は通常、休息と適切な自己管理で改善されますが、症状が長引く場合や重度の場合は医療機関の受診が必要になることがあります。ここでは、どの科を受診すれば良いかを優しく解説します。

受診すべき科

  • 内科
    夏バテの主な症状は、疲労感、食欲不振、だるさなどです。これらの症状で日常生活に支障をきたしている場合は、内科の受診をおすすめします。内科医は、これらの症状に対して全体的な診断を行い、適切な治療を提供できます。
  • 家庭医
    家庭医またはかかりつけ医に相談することも有効です。特に既往症を持っている場合や、他の薬を服用している場合は、全身の健康管理をしてくれる家庭医が最適です。
  • 総合診療科
    症状が多岐にわたる場合、総合診療科での診断を受けることが有効です。総合診療科の医師は、様々な症状に対して幅広い知識を持っており、必要に応じて適切な専門科への紹介も行います。

夏バテの検査・診断

夏バテの診断プロセス

夏バテは通常、以下の手順により診断されます。

  • 症状の確認
    医師は患者さんの具体的な症状を詳細に聞き取ります。例えば、疲労感、食欲不振、だるさ、頭痛、睡眠の質の低下など、日常生活に影響を与える症状の有無について確認します。
  • 医学的背景の確認
    既往症や、現在服用中の薬、過去に類似の症状があったかどうかも含め、患者さんの医学的背景を把握します。
  • 身体検査
    脱水症状や熱中症を含む他の健康問題を除外するため、身体検査を行うことがあります。血圧の測定や心拍数のチェック、体温の測定などが含まれます。
  • 追加検査の可能性
    症状がほかの疾患によるものかを確認するために、必要に応じて血液検査や尿検査を行うことがあります。これにより、電解質バランスや脱水の程度、その他の可能性のある健康問題を評価します。

診断後のアプローチ

夏バテと診断された場合、治療は主に生活習慣の調整に焦点を当てます。適切な水分補給、栄養のある食事、適度な休息、適切な室内環境の維持が推奨されます。

夏バテの治療

夏バテの治療方法

  • 水分と電解質の補給
    夏バテの治療には、適切な水分補給が非常に重要です。水分だけでなく、経口補水液を利用して必要な電解質を補給することも推奨されます。これにより、脱水状態の回復と体内の電解質バランスの維持が可能となります。
  • 適切な栄養摂取
    食欲不振が見られる場合でも、体力を維持するためにバランスの取れた食事を心がけましょう。特にビタミンB群やC、ミネラルを豊富に含む食品(果物、野菜、全粒穀物)を積極的に取り入れることが効果的です。
  • 適度な休息
    過労は夏バテの症状を悪化させるため、十分な休息を取ることが重要です。特に、日中の暑い時間帯には屋内で涼しい環境で休むことをおすすめします。
  • 環境調整
    屋内の温度と湿度を適切にコントロールすることが、夏バテの治療において効果的です。エアコンや扇風機を使って室温を快適に保ち、定期的に換気を行うことで室内の空気の質を向上させます。
  • 軽い運動
    体調が許す限り、軽い運動を取り入れることで血行が促進され、身体のだるさが改善されることがあります。ただし、過度な運動は避け、早朝や夕方など涼しい時間帯に行うようにしましょう。

夏バテ対策の実践例

たとえば、夏バテを感じた時には、朝食にはヨーグルトやフルーツを取り入れ、昼食にはサラダと全粒穀物を含む食事を心がけます。また、午後の休憩時には足を高くしてリラックスする時間を設け、身体を冷やさないように注意しながら適度に水分を取り入れます。
夏バテの治療は、これらの日常生活の中での小さな注意点によって大きく改善することができます。毎日のケアを意識することで、夏を健やかに過ごすことが可能です。

夏バテになりやすい人・予防の方法

夏バテになりやすい人の特徴

  • 高齢者
    加齢により体温調節機能が低下しているため、高温多湿の環境に弱いです。
  • 基礎疾患を持つ人
    心臓病や呼吸器疾患などの基礎疾患がある人は、暑さによる身体への負担が大きくなります。
  • 屋外での作業者
    建設業や農業など、屋外で長時間労働する人々は、直射日光と高温に晒されるため夏バテになりやすいです。
  • 不適切な生活習慣を持つ人
    不規則な食生活や睡眠不足、運動不足を続けていると、身体の抵抗力が低下し、夏バテを招きやすくなります。

夏バテの予防方法

  • 水分と電解質の補給
    こまめに水分を取ることが重要です。特に外出時や運動後は、スポーツドリンクで水分と塩分を補給すると良いでしょう。
  • 適切な栄養摂取
    ビタミンやミネラルを豊富に含む食事を心がけてください。例えば、野菜や果物、魚介類をバランス良く摂取することが効果的です。
  • 適度な冷房利用
    屋内では適度に冷房を利用し、室温を快適に保ちましょう。しかし、冷房の温度設定はあまり低すぎないように注意が必要です。
  • 休息の確保
    十分な休息を取ることで体力を回復させ、夏バテを予防できます。特に熱中症を避けるためにも、暑い時間帯は屋内で休むようにしましょう。
  • 軽い運動の継続
    室内でできるストレッチや軽いエクササイズを行うことで、血行を促進し体調を整えることができます。

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