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むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
勝木 将人

監修医師
勝木 将人(医師)

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2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の概要

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、主に脚に不快感が生じ、安静を保つのが難しくなる病気です。むずむずするような不快感があることから、むずむず脚症候群と呼ばれています。
症状の感じ方には、むずむずする・痛がゆい・痺れるなど個人差があります。不快感は患部を動かすことで軽減されるため、動かしたりさすったりする行動が特徴です。
夕方から夜にかけて症状が強くなるため、不眠や過眠の原因になることもあります。むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の患者さんは、眠ろうと布団に入ると症状が出るため、じっとしていられず入眠できません。
脚をばたばたと動かしたり、マッサージしたり叩いたりと、不快感を軽減するために動いてしまいます。
またむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の患者さんは、睡眠中に周期性四肢運動が頻出する方が多いです。周期性四肢運動は20〜40秒に1回程度の間隔で、手足が数秒間動きます。
周期性四肢運動によって、寝付けても目覚めてしまったり、眠りが浅くなったりすることもあります。その結果、睡眠の質が低下することで不眠だけでなく、日中の過眠につながることも少なくありません。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の原因

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、栄養素の鉄の欠乏に関連しています。鉄が欠乏すると神経伝達物質のドパミンの生成がうまくいかなくなり、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)が引き起こされます。

そのため鉄が欠乏しがちな方に多い病気で、鉄欠乏性貧血の方や慢性腎不全の方、妊娠中の方の発症頻度が高いです。

ほかにはビタミンDの欠乏や喫煙、カフェインの過剰摂取が、この病気の発症に関わっているとされています。ビタミンDは日光を浴びることで皮膚でも生成されます。日光を浴びる機会が少ない方は、ビタミンDが不足しているケースも少なくありません。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)を発症している方は、ビタミンDを摂取することで改善が期待できます。この病気は不眠の原因にもなる疾患です。喫煙やカフェインの過剰摂取は不眠の原因の一つであり、禁煙によって症状が軽減したという報告がされています。しかし現状では、喫煙やカフェインとこの病気の関連性ははっきりとしていません。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の前兆や初期症状について

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は夕方から夜にかけて、リラックスしているときに症状が強く出ます。じっとしていることができないくらいの不快感があるため、発症を原因に不眠に悩みはじめる方も少なくありません。そのためこの病気を治療することで、不眠症治療の薬を減らせたり、中止できたりする可能性があります。

前兆らしいものは確認できず、習慣として脚を安静に保てなくなっており、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)だと自覚せずに過ごしている方も少なくありません。

貧乏ゆすりや脚をばたつかせたい衝動が強くなったり、寝つきが悪くなったり不眠のような症状がではじめた場合は、すでに発症している可能性があるため、一部の精神科・神経内科・内科・循環器内科・呼吸器内科を受診しましょう。この病気は、動いているときと止まっているときで、症状が変動するのが特徴です。動いているときには症状が軽減しており、止まると症状が強くなります。

初期症状では、安静にしているときや眠りにつくときにあらわれる足の不快感が軽度です。また症状があらわれる頻度も少ないことがあります。症状が軽度のうちは、温めたりマッサージしたりすることで完全に抑えられるため、早期発見と治療が重要です。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の検査・診断

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の検査・診断方法は、主に問診と血液検査です。

医師による問診

問診では以下のような内容を確認して診断し、適切な治療をし改善を目指します。

  • 不快症状があらわれた時期
  • 不快症状の頻度
  • 不快感がある体の部位
  • 症状が強くなる時間帯
  • 症状がおさまる時間帯や状況
  • 睡眠時の不快感について
  • 過去の病歴や服用中の内服薬

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)を発症しているのかセルフチェックしたい場合でも、上記の内容から判断できます。正確な診断には医師の判断が必要ですので、セルフチェックで終わらせるのではなく、不快感がある場合は医療機関を受診しましょう。

血液検査

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)には、原因不明とされる一次性と何らかの原因がある二次性があります。いずれの場合も脳にある神経伝達物質のドパミンの不足が、症状を引き起こすとされています。二次性の場合は、鉄分の不足や腎不全などが原因でこの病気を引き起こしているため、原因にアプローチする治療が必要です。この病気の検査で行う血液検査では、血清フェリチンという貯蔵鉄の指標を確認することで、鉄の不足状況が確認が可能です。女性のむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)では、鉄分不足が原因の場合が多く、この検査で原因を特定します。さらに不眠症状などがある場合などには、必要に応じて睡眠ポリグラフ検査が実施される場合があります。睡眠ポリグラフ検査では、脳波や眼球運動、いびきなど睡眠時の生体活動を計測可能です。ほかにも周期性四肢運動障害や閉塞性睡眠時無呼吸などの睡眠障害の診断に役立つデータを収集できます。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の治療

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の治療は、症状の重症度によって2つの方法から選択されます。

日常生活の改善

症状が軽い場合は、日常生活の改善で症状がおさまることがあります。就寝前の飲酒を控えたり、カフェインの摂取を控えたりするように指示が出る場合もあります。また冷たいシャワーを患部に当てることで、症状が軽減して寝つきが良くなるケースもあり、医師の指示にしたがって日常生活の改善を実施しましょう。

薬物療法

症状が重い場合には、薬物療法による治療が行われます。多くの場合は、ドパミンの生成がうまくいかないことが原因でむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)を発症するため、ドパミン作動薬が有効です。ドパミン作動薬は一般的にパーキンソン病に使用される薬です。むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の場合は、パーキンソン病の場合よりも少ない量の投薬で症状の軽減がみられます。鉄分やビタミンDの不足もむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の原因となるため、鉄分やビタミンDを補充するための薬物療法も行われます。むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は治療できる病気です。不快感に悩んでいる方や不眠に悩んでいる方は、医療機関で相談してみてください。完治できない場合でも、症状を軽減できる可能性があります。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)になりやすい人・予防の方法

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)になりやすい人は、次のような人です。

  • 家族に発症者がいる
  • 鉄欠乏性貧血
  • 腎不全による人工透析を受けている
  • パーキンソン病
  • 糖尿病
  • 妊娠中の方

この病気は子どもから高齢者まで発症することがあります。特に多いのは40代以上の中年以降の年代で、中年以降の年代では、1対1.5と男性より女性に少し多い病気です。女性は鉄分不足に陥りやすいため、発症しやすいと考えられます。

予防には、日々鉄分が不足しないように補充することが大切です。ビタミンDの欠乏も発症に関係しますので、日光をよく浴びてビタミンDを生成しましょう。喫煙やカフェインの過剰摂取もこの病気の症状と関連している可能性があるため、症状を予防するために控えるとよいでしょう。不眠改善にも効果が期待できます。

この病気は早期発見と治療を行うことで、スムーズな改善が期待できます。下肢の不快感や不眠などの思い当たる症状がある方は、早めに医療機関を受診することが大切です。


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