目次 -INDEX-

緊張型頭痛
大坂 貴史

監修医師
大坂 貴史(医師)

プロフィールをもっと見る
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

緊張型頭痛の概要

緊張型頭痛は、身体的・精神的なストレスなどが誘因となって引き起こされる頭痛です。無理な姿勢の維持や長時間のパソコンなどのデスクワークで頭部や頸部の筋肉が緊張し、血流が悪くなることなどで神経が刺激され、頭部や頸部に締め付けられるような重い痛みが生じると考えられています。また、末梢性因子だけではなく、中枢神経も頭痛の形成に関与していることも認識されています。痛みは持続的で、数時間から数日間続きます。

一般的には頭痛の前に前兆(嘔気・嘔吐、光過敏や音過敏など)は見られませんが、少数ながら例外もあります。頭痛の性状は圧迫感、被帽感が主体であり、拍動性ではなく、動作(階段昇降や頭部の屈伸運動など)で増悪しません。

治療は急性期薬物療法(NSAIDsや筋弛緩薬など)と予防療法(抗うつ薬など)がありますが、非薬物療法として、頭痛の原因となっている生活習慣を改善するだけで良くなることがあります。

緊張型頭痛の原因

原因として、口・頸部の機能異常、心理社会的ストレス、不安、うつ、妄想や妄想概念としての頭痛、筋性ストレス、緊張型頭痛に対する薬剤過剰摂取やほかの器質性疾患により緊張型頭痛が増悪する、などが挙げられます。特に精神的ストレス(緊張、不安、心配、イライラなど)、生理的ストレス(疲れ、睡眠不足、不適切な姿勢など)、物理的ストレス(照明不足、騒音、天候、空調など)は緊張型頭痛の大きな要因となります。

緊張型頭痛の患者数

緊張型頭痛はきわめて一般的であり、頭痛の原因の7〜8割を占めます。日本では成人口の20%で、年齢は中高年に多く、男女差はありません。さまざまな調査で一般集団における生涯有病率は30〜78%と言われています。社会経済に損失をもたらす大きな問題となっております。

緊張型頭痛の前兆や初期症状について

頭の両側が締め付けられるような頭痛が、予兆や前兆といった症状がないまま、いつの間にか始まっていることが多いようです。

緊張型頭痛の経過

緊張型頭痛は、原因となるストレスや生活習慣(長時間のデスクワーク、パソコン作業、運動不足など)を放置しておくと、頭痛の頻度が高まって慢性化となり、頭痛の程度が強くなる可能性があります。

緊張型頭痛の前兆や初期症状が見られた場合に受診すべき診療科は、内科、脳神経内科や脳神経外科の診療科です。緊張型頭痛はストレスや筋緊張による頭痛であり、上記での診察と治療が適しています。

緊張型頭痛の検査・診断

頭痛の診断には、頭痛分類と診断基準の知識が必要です。現在の頭痛分類は、2018年に国際頭痛学会(HIS)から提案された国際頭痛分類第3版(ICHD-3)が新しい版(日本語版もあり)です。これに基づいて、問診、神経所見、画像所見、採血検査などを行います。

問診では、頭痛の頻度(稀発、頻発、慢性)、持続時間(30分〜7日間、数時間から数日間、絶え間なく続く)、特徴(両側性、非拍動性、軽度〜中等度、日常動作で増悪しない)、随伴症状(悪心・嘔吐、光過敏・音過敏の有無)などを丁寧に聞き取ります。

神経学的診察では、項部硬直の有無、麻痺や感覚障害など身体的な異常の有無を確認します。特に触診による頭蓋周囲の圧痛の増強は、とても重要な異常所見となります。圧痛は、典型的には非発作時にも見られ、頭痛の強さと頻度とともに増強し、実際の頭痛発作時にさらに悪化します。

画像検査では、ほかの原因がありその症状として起こる頭痛(二次性頭痛)を否定するために頭部CTやMRI・MRA検査、頸動・静脈エコーなどを行います。

生化学検査では、採血を行い、頭痛をきたす全身性疾患の鑑別を行います。

緊張型頭痛の分類

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では緊張型頭痛を発作頻度により分類しています。

稀発反復性緊張型頭痛頻度が稀(<1日/月)であり、一般的に両側性で、性状は圧迫感または締め付け感、強さは軽度から中等度で、数十分から数日間持続する頭痛です。痛みは日常的な動作により増悪せず、悪心は伴いませんが、光過敏または音過敏を呈することがあります。

頻発反復性緊張型頭痛:頭痛の頻度が高く(<15日/月)、一般的に両側性で、性状は圧迫感または締め付け感、強さは軽度から中等度で、数十分から数日間持続する頭痛です。痛みは日常的な動作により増悪せず、悪心は伴いませんが、光過敏または音過敏を呈することがあります。

慢性緊張型頭痛:頻発反復性緊張型頭痛から進展した疾患で、連日またはとても頻繁に発現し(≧15日/月)、一般的に両側性で、性状は圧迫感または締め付け感であり、強さは軽度から中等度で、数時間から数日間、または絶え間なく持続する頭痛です。痛みは日常的な動作により増悪しませんが、軽度の悪心、光過敏または音過敏を呈することがあります。

緊張型頭痛の疑い:上記の緊張型頭痛のサブタイプの診断に必要な基準項目のうち、1項目を欠いた緊張型頭痛様頭痛、かつほかの頭痛の診断基準を満たさないです。

より詳しい診断基準は国際頭痛分類第3版(ICHD-3)を参照下さい。

鑑別診断

片頭痛と緊張型頭痛の鑑別方法のポイントは、片頭痛は身体を動かすとひどくなり、緊張型頭痛は身体を動かすと楽になることです。片頭痛は「脳と血管の感作」が病態であるので頭蓋内の痛覚過敏があり、身体を動かすと頭痛がひどくなる動作過敏があります。両者を臨床的に鑑別すると、ジャンプする、頭を振る、階段昇降などの動作で頭痛が誘発される・悪化するのが片頭痛です。

また二次性頭痛には生命予後に影響を及ぼす疾患が多くあります。特に見逃してはいけない疾患として、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎・脳炎、脳腫瘍、高血圧性脳症、内頸動脈・椎骨動脈解離、緑内障や側頭動脈炎などがあります。

頭痛をきたす全身性疾患には、膠原病、高カルシウム血症、褐色細胞腫、甲状腺疾患、肝疾患、腎不全、貧血、低血糖、低酸素・高二酸化炭素血症などがあり、これらの鑑別を行います。

緊張型頭痛の治療

治療は、緊張型頭痛の病型により異なります。稀発反復性緊張型頭痛では、通常治療の対象とはなりませんが、頻発反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛で、日常生活に支障をきたす場合には治療を行います。急性期治療と予防治療に分けられ、それぞれに薬物療法と非薬物療法があります。

緊張型頭痛は悪しき生活環境が原因となる「生活習慣病」なので、生活指導が大切です。長時間のデスクワーク、パソコン作業、暗い環境での作業や猫背、うつ向き姿勢などは控えるようにします。

また、慢性緊張型頭痛は難治であることが多く、数多くの薬剤が試みられていますが、中でも抗うつ薬やSSRIなどの薬剤を使用します。しかし、薬物治療に抵抗するケースもあり、認知行動療法など心療内科的な治療介入が必要となる場合もあります。

薬物療法

(1)急性期治療薬

  • アセトアミノフェン、NSAIDs、複合鎮痛薬、筋弛緩薬、選択的COX-2阻害薬

 
(2)予防薬

  • 抗うつ薬(三環系・四環系抗うつ薬、NaSSA、SNRI)
  • 抗てんかん薬

非薬物療法

緊張型頭痛は悪しき生活環境が原因となる「生活習慣病」なので、生活指導が大切です。長時間のデスクワーク、パソコン作業、暗い環境での作業や猫背、うつ向き姿勢などは控えるようにします。

認知行動療法、頸部指圧、鍼灸やその他の方法が用いられることもありますが、診断がついていることが前提であり、頭痛外来などで相談して実施することが重要です。

緊張型頭痛になりやすい人・予防の方法

予防としては、日頃から、首や肩の血行をよくして筋肉の緊張をほぐすことも大切です。タオルで首や肩まわりを温めたり、ホットアイマスクを使用することも有用かもしれません。また、長時間のデスクワークの合間に、机を離れて頭痛体操やストレッチを行うなどの工夫も可能でしょう。

関連する病気

この記事の監修医師