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好中球減少症
山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

好中球減少症の概要

好中球減少症とは、白血球の一種である好中球が減少する(1μℓ当たり1500以下)状態です。

好中球は、白血球に含まれる「顆粒球」の一種で、白血球全体の約45〜75%を占めます。
細菌やウイルスなどから体を守る機能があり、感染防御に重要な役割を果たしています。

通常、好中球を含む白血球は、骨髄に存在する「造血幹細胞」から作られます。造血幹細胞で作られた血球は、成熟して血液中に放出されます。

しかし、好酸球減少症では、何らかの原因によって骨髄で好中球が正常に作られなくなったり、成長段階で壊されたりします。その結果、好中球の数が減少し、免疫機能が低下して感染症にかかりやすくなります。全身のさまざまな臓器に感染症を起こすこともあり、「細菌性肺炎」や「髄膜炎」を合併するケースもあります。

なお、好中球減少症は原因や病態によって「自己免疫性好中球減少症」「慢性本態性好中球減少症」「周期性好中球減少症」などにわけられ、いずれも先天的・後天的な問題によって発症します。

先天性の場合には、主に遺伝子の異常が原因で、発症頻度は少ないです。後天性の場合は、疾患や自己免疫、感染症、薬剤による影響で発症します。

好中球減少症の治療は薬物療法や造血幹細胞移植が行われることがあります。

出典:国立研究開発法人国立がん研究センター 用語集「好中球」

好中球減少症

好中球減少症の原因

好中球減少症では、何らかの原因によって好中球が骨髄で正常に作られなくなったり、成長段階で壊されたりすることで発症します。明確な原因は不明であることが多いですが、好中球減少を伴う疾患や自己免疫、遺伝、感染症、薬剤などの影響によって起こります。

好中球減少症の原因となる疾患の代表的なものとして、「膠原病」や「再生不良性貧血」「急性白血病」などが挙げられます。
遺伝によって起こる場合は、「Gfi1」や「ELA2」などの正常ではみられない遺伝子が現れるケースで起こります。
薬剤が原因で発症するケースでは、抗がん剤などの使用で起こりやすいです。

好中球減少症の前兆や初期症状について

好中球減少症の初期では、細菌やウイルスに感染しやすくなります。喉の痛みや寒気、高熱などがみられたり、皮膚や腎臓、膀胱、腸、肺などの合併症が現れたりすることもあります。

何らかの細菌やウイルスに感染していなければ無症状で経過することもありますが、感染症によって重篤な状態に陥るケースもあります。細菌性肺炎を合併した場合は、発熱や呼吸困難をきたしたり、髄膜炎を合併した場合は、意識障害が起きたりします。

好中球減少症の検査・診断

好中球減少症の診断は、問診や血液検査によって行われます。問診では、既往歴や使用している薬剤の有無、症状などを確認します。

血液検査では好中球や白血球、赤血球の値を調べて、感染兆候などを確認します。好中球に対する抗体の有無を調べることもあります。また、家族内に同じ病気を発症している人がいる場合は、遺伝子検査を行うこともあります。

血液中の好中球の値が1μℓ当たり1500以下の場合に好中球減少症と診断されます。

好中球減少症の治療

好中球減少症に対する治療は原因や症状によって異なります。

無症状や軽症の場合は、経過を観察するのみで特別な治療を行わないケースもあります。

感染症によって発症を認める場は、原因となるウイルスなどに有効な薬剤を用いて感染症に対する治療が行われます。薬剤が原因の場合は、原因となる薬剤の使用を中止したり、他の薬剤に変更したりすることで症状の改善が期待できるケースもあります。

何らかの原因によって好中球が正常に作られない場合は、「G-CSF(顆粒球刺激因子)」と呼ばれる薬剤を用いることがあります。また、自己免疫が原因と考えられる場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬などが用いられます。

一部の疾患や遺伝によってG-CSFの効果が十分に得られない場合は、造血幹細胞移植が行われることもあります。造血幹細胞とは、好中球を含む白血球などを作る元となる細胞です。造血幹細胞移植では、健康なドナーから提供された造血幹細胞もしくは患者さん本人の造血幹細胞を移植します。造血幹細胞移植には重篤な副作用のリスクもあるため、慎重に適応を判断して行われます。

好中球減少症になりやすい人・予防の方法

好中球減少症は明確な原因が不明のまま発症することもあるため、完全に予防することは困難です。

しかし、後天的な原因として何らかの薬剤や感染症、膠原病などの疾患によって発症することもあります。膠原病や感染症に罹患している場合や、薬剤を使用している場合は、少なからず好中球減少症を発症するリスクがあります。

疾患の治療中や薬剤の使用中に異変を感じた場合は、できるだけ早くかかりつけ医に相談しましょう。


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