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毛細血管拡張症
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

毛細血管拡張症の概要

毛細血管拡張症は、皮膚や粘膜に小さな血管が拡張して目に見える状態を指します。
通常はあっても特に問題はなく、痛みを伴わないことが多いものの、美容的な観点から治療を求める人もいます。一部のケースでは特定の基礎疾患の徴候であることがあり、その際には基礎疾患の治療が必要となることがあります。

毛細血管拡張症の原因

遺伝的要因

遺伝性の疾患として、遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)があり、オスラー病とも呼ばれます。現在までに、原因遺伝子として代表的な3つの遺伝子(Endoglin、ACVRL-1、SMAD4)がわかっており、ENG異常によるものはHHT1、ACVRL1異常によるものはHHT2と分類され、HHT1では肺及び脳動静脈奇形が、HHT2では肝動静脈奇形が多く併発することが知られています。

環境要因

  • 紫外線曝露
    長期間の紫外線曝露は皮膚のコラーゲンを破壊し、毛細血管の拡張を引き起こします。
  • 気温の変化
    極端な温度変化にさらされることで、毛細血管が拡張します。

生活習慣

アルコールの過剰摂取
アルコールは血管を拡張させる作用があり、過剰摂取によって毛細血管拡張症が出現しやすくなります。

皮膚の炎症

  • 酒さ
    慢性の炎症性皮膚疾患で、毛細血管拡張症を呈するものがあります。主に顔面に認められ、赤みや毛細血管の拡張が特徴です。
  • 慢性光線性皮膚炎
    日光による皮膚の慢性炎症も毛細血管の拡張を引き起こします。

基礎疾患

毛細血管拡張症に関連する具体的な基礎疾患について以下に説明します。
これらの疾患は、毛細血管拡張症が症状として現れることがあり、基礎疾患の適切な治療が重要です。

  • 強皮症
    自己免疫疾患で、皮膚や内臓の線維化・硬化とともに毛細血管が拡張します。自己免疫反応による結合組織の異常増殖が原因と言われており、皮膚の硬化、関節痛、毛細血管の拡張など多彩な症状が現れます。
  • 肝硬変
    肝硬変は肝臓の慢性炎症性疾患であり、肝細胞の破壊と再生の過程で線維化が進行します。それによって肝臓の機能不全に陥り、エストロゲンの代謝機能が低下し、それによって毛細血管が拡張します。肝硬変で認められる血管腫は、特にくも状血管腫と呼ばれ、直径が針頭大から1cm程度で、中央の細動脈から多数の細く蛇行した毛細血管が遠心性に広がったもののことを言います。顔面、頸部、胸部、上腕などの上半身でしばしばみられます。なお、肝硬変の原因としては、慢性肝炎(B型、C型)、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝炎など、さまざまなものがあります。黄疸や腹水などを伴うこともあります。

毛細血管拡張症の前兆や初期症状について

毛細血管拡張症の初期症状は主に視覚的な変化です。以下が代表的な前兆や症状です。

  • 赤い斑点
    小さな赤い点が皮膚に現れます。
  • 糸状の血管
    細くて曲がりくねった血管が見えます。
  • 局所的な痛みや不快感
    特定の基礎疾患が原因の場合、また、稀ながら痛みやかゆみ、不快感を伴うことがあります。
  • 軽い腫れや熱感
    炎症を伴った場合、軽度の腫れや熱感を伴うことがあります。

毛細血管拡張症の検査・診断

毛細血管拡張症の診断には以下の方法が用いられます。

視診

医師が直接観察して診断します。特徴的な赤い斑点や血管の形状を確認します。

ダーモスコピー

拡大鏡を使用して皮膚の病変を拡大し、毛細血管の詳細な構造を観察します。

生検

必要に応じて皮膚の一部を採取し、組織学的に検査します。拡張した小血管の集簇や小血管の増加を示すことがあります。

基礎疾患の評価

血液検査や画像診断を用いて、潜在する基礎疾患の有無を確認します。
なお、遺伝性の疾患である遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT、オスラー病)の診断基準としては以下のものがあります。

症状

  • 鼻出血
    自然かつ反復性に出現。
  • 末梢血管拡張症
    鼻腔、眼瞼、口唇、口腔、手指などに出現する拡張性小血管病変(圧迫により退色)。

検査所見

  • 内臓病変
    胃腸末梢血管拡張、肺、脳、肝、脊髄の動静脈奇形
  • 家族歴(遺伝性)
    HHTと診断されている1親等の血縁者(兄弟、姉妹は1親等の血縁者に含まれる)。

鑑別診断

単純性肺動静脈奇形など、遺伝性でない各臓器における単純性動静脈奇形

遺伝学的検査

ENG(Endoglin)、ACVRL1(ALK1)、SMAD4遺伝子の変異

<診断のカテゴリー>

  • Definite
    A-1、2+B-1、2の中の3項目を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの、あるいはDを満たすもの。
  • Probable
    A-1、2+B-1、2の中の2項目を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの。
  • Possible
    A-1、2+B-1、2の中の1項目を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの。

気になる症状が現れたら皮膚科を受診してください。

毛細血管拡張症の治療

毛細血管拡張症は基本的にあっても特に問題ないため、多くの場合は治療の対象となりません。ただし、本人が気になる場合や顔面に認められた場合は治療の対象となることがあります。

レーザー治療

  • パルスダイレーザー
    血管を特異的に破壊することで、毛細血管拡張症を治療します。血管をターゲットにするため、酸化ヘモグロビンの吸収が最も良い585nm〜595nmのスペクトルの間に調整された特定の波長のレーザー光を使用します。血管内のヘモグロビンがレーザーを吸収し、熱を発生させて血管を破壊します。周囲の組織にはほとんど影響を与えないため、肌へのダメージが少なく効果的です。
  • Nd:YAGレーザー
    Nd:YAGレーザーは、波長1.064μmの近赤外光で、連続波やパルス波の両発振が可能です。集光性や安定性に優れ、高調波(532nm、355nm、266nm)の発振もできるため、非常に多用途です。そのため、比較的太い血管や深部の血管にも効果的で、広範囲の毛細血管拡張症に使用されます。

光治療

フォトフェイシャル
IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれるさまざまな波長の光を肌に照射します。IPLの高周波エネルギーが皮膚の奥まで届き、コラーゲンやエラスチンなどの生成をサポートすることで、肌の自己再生力を高め、毛細血管を凝縮させて血管を目立たなくします。赤ら顔や赤あざ、全身の血管拡張の改善にも効果的とされています。

薬物療法

  • 局所用クリーム
    ブラディキニン拮抗薬や抗炎症薬を含むクリームを使用します。
  • 内服薬
    基礎疾患に対する治療薬として、抗炎症薬や免疫抑制剤が使用されることがあります。

生活習慣の改善

  • 禁酒
    アルコール摂取を控えることで、血管の拡張を抑えます。
  • 紫外線対策
    日焼け止めを使用し、紫外線曝露を避けることで症状を緩和します。

毛細血管拡張症になりやすい人・予防の方法

なりやすい人

  • 遺伝的素因がある人:遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)などの家族歴がある人。
  • 紫外線曝露が多い人:屋外での作業やスポーツが多い人。
  • アルコールを多量に摂取する人:過度のアルコール摂取がある人。
  • 特定の基礎疾患を持つ人:酒さ、硬皮症、肝硬変などの基礎疾患がある人。

予防の方法

  • 紫外線対策:日焼け止めクリームの使用、帽子や長袖の着用が有効です。
  • 適度なアルコール摂取:アルコールの摂取を控えめにしましょう。
  • 肌の保湿と保護:乾燥を防ぎ、肌を保護するための保湿剤を使用すると良いです。
  • 定期的な医療チェック:基礎疾患の早期発見と治療を目的とした定期的な健康診断により、毛細血管拡張症の発症を予防できることがあります。

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