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じんましんの原因は?効果的な対処法もご紹介します

 更新日:2023/03/27

この記事の監修ドクター:
司馬 清輝 医師(むすび葉クリニック渋谷 院長)

赤みや強いかゆみを伴うじんましん。
アナフィラキシーが起きると、ときには命の危険も伴う場合もあります。
効果的な対処法や、大人と子どもそれぞれの場合の病院選びまで詳しく解説します。

 ストレスが原因となることをご存知ですか?

仕事や家庭の用事に追われてイライラ気分でいたら、かゆみが出てきて自然に体をポリポリ・・・。ふと見ると、かゆみのある部分には赤いポツポツがたくさんできていてびっくり!

そんなときにとっさに頭に思い浮かぶのではないでしょうか?なんとなく意識のなかに、「かゆみ+赤い発疹(ほっしん)=じんましん」という計算式ができてしまっている方も多いと思います。

そもそも「アレルギーの症状じゃないの?」という疑問があるかたも中にはいるのではないでしょうか?

しかし実は、ストレスが要因となって発症することもあるのです。

 ストレスが原因の場合について

多忙な状況が続いたりストレスで快適な睡眠が阻害されたりすると、自立神経のバランスが悪くなります。

このことによって免疫機能が正常に作用しなくなり、普段は影響のない要素に対しても刺激を感じてしまうことによって、発症してしまうケースがあります。

ストレスからくるものは、「何か特定のストレスが直接の原因となって発症する」という解釈ではなく、「ストレスがもたらす体へのマイナスの影響により、発症しやすい体質になってしまう」というように考えることができます。

また、もともとじんましんを発症しやすい方にとっては、「ストレスにより刺激物への反応がより過敏になったり、症状の度合いが増す」ということになります。

 じんましんが起きるメカニズムについて

私たちの体のなかで一体どのような変化が起こることによって発症してしまうのでしょうか?

ここではそのメカニズムについてひも解いてみたいと思います。

 発症の原因は?

原因となる作用(外部からの刺激・アレルギー物質との接触や摂取など)が働いたときに、血管のまわりに待機している細胞から血管を拡張する働きのあるヒスタミンという物質が過剰に分泌されることによって起こります。

ヒスタミンが血管を拡張し、余分な血液の成分が皮膚の方にもれ出てしまい、そこがむくみとなってふくらみます。このふくらみがじんましんの発疹です。

また、ヒスタミンが痛みやかゆみを感じ取る知覚神経を刺激して脳にかゆみの情報を送ることにより、「かゆい」という感覚をもたらします。

 ヒスタミンの正体は?

ヒスタミンとは、生体がそれぞれの機能を維持発揮するための調整役や活性化をうながす役割などを担う生理活性物質(せいりかっせいぶっしつ)のひとつです。

体のいろいろな部位に存在しており、その役割によって日々活動しているものもあれば普段は眠っていていざというときに活動を始めるものもあります。そのため発症する場合に活動するのは後者の場合です。

 直接的な要因とは?

一般的によく知られているのは、冒頭で少し出てきたアレルギー性によるものと非アレルギー性によるものがあります

アレルギー性のものは、その人のアレルゲンとなるもの(食物・薬剤・植物など)に接触したり体内に入ることによって引き起こされます。

非アレルギー性のものは、人の体質によって刺激物となるもの(寒暖の差や日光・物との接触や圧迫・汗など)に影響を受けて引き起こされます。

さらに実際には、要因が特定できない突発性じんましんというケースも多くあります。

 症状について

症状について、その発症時期から特徴的な症状を少し詳しく見てみましょう。

 いつから症状に現れる?

症状がでやすいのは、夕方から夜に現れることが多いといわれています。

大体翌日のお昼ごろまでには一旦消えて夕方になるとまた新たに症状が出てくるというように、しばらくの間繰り返されることがあります。

体温が上がると症状が出やすいということもありますので、お風呂上がりや睡眠時に現れることもあります。

 特徴的な症状について

ここで、じんましんの特徴的な症状を「感覚的・外見的・体の防御作用・その他」の分類別にご紹介いたします。

 感覚的な症状(かゆみ)

かゆみはその程度や感じ方などが人それぞれとなっており、さまざまなかゆみが現れます。

特に多いのがとにかくかきむしりたくなるような激しいかゆみや、触るとピリピリとした痛みを感じるようなかゆみなどがあります。

 外見的な症状(皮膚の発疹)

外見的に表れる赤いポツポツはよく見ると「皮膚がポッコリふくらんでいて赤みを帯びている」ことが解ります。

これが発疹というものですが、大きさや形は大小いろいろなものがあり一定していません。

この発疹は体液がたまった一過性の皮膚のむくみとなりますので、時間の経過とともにほぼ消滅していきます。消滅する目安は発疹ひとつに対して、大体数十分程度から24時間以内といわれています。

ただし、発疹は一つが消滅しても時間差で次から次に出現してくる場合がありますので、見た目的には「一度出現した発疹がなかなか消えない」というふうに見えてしまうことがあります。

 体の防御作用による症状(発熱)

刺激物が体内に入ると体はそれをやっつけようとして発熱します。そのため、患部が熱を持つこともあります。

この場合はかゆみの症状と相まって「焼けつくような痛がゆさ」を感じることもあります。

 実は要注意!その他の症状

症状が体内の粘膜に現れた場合には、非常に注意が必要です。

症状が気管に現われると、のどが閉塞(へいそく)され呼吸が苦しくなることがあります。

また、消化管である腸などに影響が出た場合は下痢などを伴うこともあります。

いずれにしろ、早急な対応が必要になる場合がありますので、すぐに医療機関に相談しましょう。

 症状に関する留意点について

じんましんの症状についてさらに疑問点を掘り下げてみます。

 伝染について

最初は少しだけだった赤いポツポツがだんだん広がってくると「これってもしかして人にうつるの?」と心配になる方も多いかと思います。

しかし、これは細菌やウイルスが原因ではなく生体の生理作用によるものなので、基本的には感染性はないといわれています。

しかしながら、逆に細菌やウイルスの感染によって症状が誘発される場合があります。

このケースでも人にうつすというわけではありませんが、別の病気で細菌やウイルスが感染している状態となっていますので罹患(りかん)しているときには注意をしましょう。

 アナフィラキシーについて

アレルギー性じんましんのときに、まれに「アナフィラキシー」と呼ばれる発疹や呼吸困難・おう吐などの症状が短時間に全身に現れ重篤化してしまうことがあります。

この場合は命に関わる大きな問題となりますので、救急車を呼ぶなどすぐに専門家による対応が必要です。

 効果的な対処法について

かゆみ・皮膚の赤み・発熱などの症状が私たちにとっては不快なものばかりであり、何とか早めに症状を抑えてすっきりしたいものです。

 

ここで、効果的な対処方法をまとめてみました。

 効果的な薬について

最も効果的な対処方法はやはり薬を使用することです。

対処法として、内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があります。外用薬は主にかゆみへの対応として用います。

内服薬・外用薬にはさらに西洋薬と漢方薬があります。一般的に症状の緩和に速効性を求めるときには西洋薬を使用し、再発防止も兼ねて体質改善を行いながら症状の緩和を目指す場合には漢方薬を使用されることが多くみられます。

薬剤を使用する場合は、必ず医師や薬の専門家の指示を仰ぐよう心がけましょう。

それでは各薬剤について、その特徴や成分などをみてみましょう。

 西洋薬

【内服薬(飲み薬)】

じんましんはヒスタミンという物質による体内への働きかけによるものであるため、その対処療法としてヒスタミンの活動をストップさせる抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の服用が一般的です。

この成分としては、ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン剤)が挙げられます。

【外用薬(塗り薬)】

内服薬と同じように抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤、加えて麻酔の作用があるものやかゆみの鎮静作用があるものでかゆみへの対応を強化しているものがあります。

成分としては、ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン剤)、リドカイン(麻酔作用)、クロタミトン(かゆみの鎮静作用)などが挙げられます。

少しひどい症状の場合に弱いステロイド剤が入っているものを使用する場合もありますが、副作用等を考慮した適切な使用管理が必要となります。

 漢方薬

【内服薬(飲み薬)】

漢方薬は「体の不調を整えて体調を良くしていくことでトラブルを改善していく」という考え方のもとで服用するお薬を選択します。

まずは突発的に発症した急性のものなのか、すでに慢性化しているものなのかによって分けられ、それをさらに体質や症状のタイプ別で分けていきながら適切な漢方薬を選んでいきます。

そのため、似たような症状のタイプでも対応する漢方薬はさまざまです。

一例として、急性の赤みやかゆみが激しく体に熱がこもっているようなタイプでは、銀翹散(ぎんぎょうさん)、同じ急性でも体が冷えているタイプでは葛根湯(かっこんとう)などが挙げられます。

また、慢性化しているもので、もともと虚弱体質で疲労をためやすいタイプには人参湯(にんじんとう)、皮膚のバリア機能が低下しているタイプには衛益顆粒(えいえきかりゅう)などが挙げられます。

【外用薬(塗り薬)】

漢方の外用薬は、トラブルを改善するとともに皮膚の修復をうながす作用が加わっているものなどがあります。

解毒や抗菌・抗炎症作用のあるシコンが入っている紫雲膏(しうんこう)、血行を改善する当帰・芍薬・地黄や炎症の鎮静作用がある玄参・大黄など合わせて7種類の生薬が含まれる神仙太乙膏(しせんたいつこう)などがあります。

 市販薬について

病院へ行く暇がないときなどに頼りになるのが、近隣にある薬局で販売されている市販薬です。

病院で処方されるお薬と同様の成分を含むものが薬局でも購入できますので、とっさのときの応急処置として重宝します。

 お薬のアドバイザーに相談しましょう

薬については前述のように多種多様ですので、薬局に行った際には自己判断をせず必ずその薬局に在職している専門家に相談しましょう。

薬局にはお薬の専門家として、薬剤師または登録販売者の方がいます。

より適切なアドバイスをしてもらうためには、症状が現れた日付・その前後の生活環境・思い当たる刺激物などの情報を細かくメモしたものを持参するとよいでしょう。

 今すぐ症状をやわらげるために

時や場所を選ばずに出現するのがじんましんの悩ましいところ。かゆみなどは余計にストレスとなってしまうため、少しでも早くやわらげたいものです。

ここではそんなときに効果的な方法をご紹介します。

 クーリング(冷やす)

激しいかゆみがあるときなどはついかきむしってしまいがちですが、そこはぐっと我慢して冷たいタオルなどを用意して患部を冷やします。

冷やすことで炎症が鎮まりかゆみや発疹が軽減することがあります。

ただし、要因が寒冷刺激によるものであれば、冷やすことは逆効果となります。

 肌にやさしい素材の服を着用する

肌への刺激を少しでも少なくするために、着替えが可能であれば肌にやさしい素材のゆったりとした服を着用しましょう。肌と衣類との摩擦が少なくなり症状の緩和へとつながります。

 生活習慣の改善

早期回復のために薬剤の使用に併せて生活習慣の改善にチャレンジしましょう。

睡眠不足などストレスの原因となっているものに心当たりがある場合は、できる限り早めに対処します。

生活習慣を改善することにより、早期回復とともに再発防止へと導きます。

 発症しやすい部位について

皮膚のむくみとなるじんましんの発疹は体中のいたるところに出現しますが、一般的には皮膚が盛り上がりやすいやわらかい部分に発症します。

具体的にはどの辺りに現れるのでしょうか?注意点も含めてご紹介いたします。

 ケース1:顔周り

顔周りでいえば、ふわふわした頬や伸縮性のある首などに多く出現します。

顔や首は汗をかきやすいので、汗をかいたときはこまめにやさしくふき取りましょう。

この場合も決してこすらず、ガーゼなどをぬらしそっと押さえるように汗を取り除きます。

 ケース2:足

太ももの内側や臀部(でんぶ)・膝の裏側など、やはり皮膚が薄くてやわらかい部位に多くみられます。

足の裏にもやわらかな部分がありますので、まれにこちらに症状が出る場合もあります。

足の裏などは特に知覚に過敏な部位でもありますので、かきこわしに気を付けましょう。

 ケース3:体幹

体幹では腹部に多く出現します。腹部の場合はやわらかい部分が多いため症状が広範囲に広がっていくことがあります。

 ケース4:体内の粘膜

上記「じんましんの症状」の項でも触れましたが、体内の粘膜に症状が出るケースがあります。

イメージとしては皮膚の表面にできる外見上のものだと思われがちですが、体内の粘膜も内側の皮膚ということを忘れてはいけません。

想定される部位としては、のどの気管や腸の粘膜などが挙げられます。

 発症したときの病院選び

応急処置として薬局でお薬を求め症状が軽減したとしても、完治しているかどうかは定かではありません。

また、今後同じ症状に悩まされないためにも一度病院を訪れて、専門的なサポートを受けておくことが重要です。

そこで、「何科を受診すればいいの?」という悩みが出てくるかと思います。

ここでは、大人と子どもの場合に分けてご説明します。

 1:大人の場合

大人の場合は皮膚科を受診するとよいでしょう。

皮膚科での検査結果により、要因が内科的なもの・あるいは全身的なものである場合にはさらに専門機関へ紹介してもらえます。

そのようなケースをかんがみると、皮膚科のある総合病院へ行くという選択肢もあります。

 2:子どもの場合

子どもの場合はまずは小児科を受診するとよいでしょう。
じんましんの症状は子どもにもよく現れます。原因として主要なものはアレルギーによるものであり、そのなかでも食べ物によるアレルギーが多くみられます。

しかし、ほかにも幾つかの要因が重なって発症している場合があったり症状の出方が大人より激しい場合などがありますので、子どもの病気を全身的に診てくれる小児科が適切です。

子どもに症状を発見したら、食欲や発熱・機嫌などに注意し早めに受診しましょう。

 まとめ

いかがでしたか?

なんとなく知っているようでおぼろげだったストレスとの関係性や症状・対処方法などについておわかりいただけたかと思います。

また、症状が一時的なものであると思わず、病院を受診してしっかりと向き合うことが大切です。

医療機関のサポートを受けながらじんましんに悩まない健やかな生活を送りましょう!

司馬 清輝 医師 むすび葉クリニック渋谷 院長監修ドクターのコメント

蕁麻疹にはアレルギー性と非アレルギー性のものがあり、症状も多様です。急性期に治療をしないと症状が慢性化し、治療が難しくなってしまうことが多いため、早い段階での受診をおすすめします。
当院では、非アレルギー性のものについて病歴や皮膚以外の症状から疑われる疾患に対して、一般的な内科の検査も行っております。
どうぞ一度ご相談下さい

 

監修ドクター:司馬 清輝 医師 むすび葉クリニック渋谷 院長



じんましんに関する症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

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