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静脈瘤の症状・原因・治療方法とは?

静脈瘤(読み方:じょうみゃくりゅう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
河瀬 勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)

静脈瘤とは

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。
下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり命の危険はありませんので安心して下さい。しかし、足のだるさや、むくみなどの症状が慢性的におこり生活の質(QOL)を低下させます。
まれに湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍(かいよう)ができ重症になることがあります。このような方は、できるだけ早く専門の病院を受診されることをお勧めいたします。

引用:コヴィディエンジャパン(メドトロニック)「知ってください下肢静脈瘤のこと」
http://www.think-vein.jp/about2.html

河瀬勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)監修ドクターのコメント
静脈瘤は身体の色んなところで起こりますが、一般的には下肢静脈瘤のことを指します。60代〜70代の女性が圧倒的に多く、男女の比率は男性1に対して女性が2.5〜3、つまり女性のほうが男性の2.5倍から3倍かかりやすい病気です。理由としては、その年齢の女性の多くは妊娠・出産を経験したことが影響しています。下肢静脈瘤は下半身に血が溜まる「うっ滞」が主な原因となって引き起こされますが、妊娠経験者以外でもデスクワークの人や立ち仕事など、長い時間、足が下がった状態でいる人に、男女問わず多く見られ、若い人にも見られます。

静脈瘤の症状

下肢静脈瘤のおもな症状はふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみなどです。これらは1日中おこるのではなく、長時間立っていた後や、昼から夕方にかけておこります。夜、寝ているときにおこる“こむら返り(足のつり)”も下肢静脈瘤の症状です。また、皮膚の循環が悪くなるため、湿疹や色素沈着などの皮膚炎をおこす事があります。皮膚炎が悪化すると潰瘍ができたり、出血することがあります。

引用:お茶の水血管外科クリニック
http://www.kekkangeka.com/kashi/index.html

河瀬勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)監修ドクターのコメント
来院される方もやはり60代〜70代の女性がもっとも多いのですが、中でも症状としてだるさなど足の不調を訴えて来院する方が多くを占めます。むくみが激しく、見た目を気にして来院する人もいらっしゃいます。下肢静脈瘤は足に血液が溜まる(うっ滞)によって起こる病気なので、症状も「足がむくむ」「だるい」さらに進んで「足が痛い」といった症状が多いです。うっ滞が進むと皮膚にかゆみや色素沈着が起こり、その不快感を訴える患者さんもいます。足がつるのもうっ滞によって筋肉が張ることで起きるので、下肢静脈瘤の症状のひとつと考えられます。

静脈瘤の原因

心臓から脚に送られた血液の還流が正常に行われなくなることで引き起こされます。血液還流が正常に働かなくなる原因を整理すると、以下のようになります。
① 下肢の筋肉が衰えている
② 呼吸が浅いため、胸腔内の陰圧状態が不十分である
③ 腹腔内圧が上昇している
④ 血液粘度が濃い(いわゆるドロドロ血)
⑤ 長時間の逆流負荷(立ちっぱなし)や過度な運動により逆流防止弁が壊れる
その他にも、肥満・背が高いといった体型、遺伝なども影響しています。
また、女性ホルモンの影響で血管硬度が柔らかく、瘤ができやすい状態にある妊娠・出産も原因になります。

引用:北青山Dクリニック
https://www.varixlaser.com/whats-varix/09.html

河瀬勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)監修ドクターのコメント
妊娠や出産時は骨盤内を赤ちゃんが占領し、足から骨盤に上がって来る血液が妨げられます。その時に負荷がかかり、静脈内の弁が傷むことで血液が逆流し、静脈瘤ができ、むくみなどの症状を引き起こします。そのために女性に起こりやすいと考えられます。60代〜70代の女性に多く見られるのも、その年代の女性は多くが妊娠・出産の経験者であることが大きく関係しています。経年によって弁の傷みが激しくなると、血液が溜まりやすくなるので、年齢を重ねるに従って症状は悪くなっていきます。一度悪くなると治りにくく、妊娠・出産の経験者だけでなく、立ち仕事の人やデスクワークの人は足が下がっている状態が長いので、やはり下肢静脈瘤にかかりやすいです。

静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の治療法には弾性ストッキングを使う圧迫療法、注射で静脈を固める硬化療法、そして手術の3つがあります。手術には、静脈を引き抜くストリッピング手術と、レーザーで静脈を焼く血管内レーザー治療の2つがあります。それぞれ良い点と悪い点があり、治療後の痛みの程度や治療費に差があります。大切なことは静脈瘤のタイプと程度を正しく診断し、ご本人の年齢や生活習慣と希望をよくうかがって、適切な治療法を選択することです。

引用:お茶の水血管外科クリニック
http://www.kekkangeka.com/kashi/index.html

河瀬勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)監修ドクターのコメント
治療法はいくつかありますが、ストッキングによる圧迫療法だけでは静脈瘤を治すことはできません。現在もっとも多いのは血管内にレーザーや高周波を照射し、高温で血管を焼いて収縮することで逆流を止める血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)という血管内治療がスタンダードになっています。静脈に硬化剤を注入し、静脈瘤を圧迫してつぶす硬化療法もありますが、数としては血管内治療の半分ほどで、見た目が気になる人が受けることが多いです。
近年、高齢者で足のむくみや足の皮膚の炎症を訴えて来院する人が増えています。おもに膝や腰が悪くなって動きづらくなり、かといって寝てしまうと寝たきりになってしまうので、椅子やソファにずっと座っているという人です。こういう人はただ座っているだけで足がむくんだり、皮膚に炎症が出たりしています。症状は似ていますが静脈瘤が見られないので下肢静脈瘤ではありませんが、それだけむくみが深刻な現代病であることの表れでもあり、生活に及ぼす影響も大きいと言えます。
下肢静脈瘤もこういったむくみと同様、命に危険を及ぼしたり将来的に切断する可能性がある病気ではありません。そのため治す・治さないといった判断も患者さん自身に任せる部分が多いです。けれども多少でも気になるのであれば、思い切って治してしまった方がいいでしょう。少しでも快適な老後を送るためにも、生活に不便を感じていたり足に不快を感じるのであれば、静脈瘤を放置せず積極的に治療を受けて、少しでも快適な老後を過ごす方がよいと思われます。高齢になるほど治療も難しくなり、合併症を引き起こす場合もありますので、既に静脈瘤が確認できている方は一度、専門医の診察を受けてみることをおすすめします。


この記事の監修ドクター


河瀬勇医師
千葉静脈瘤クリニック 院長

PROFILE

1989年 防衛医科大学校卒業。1989年〜1996年 亀田総合病院勤務(心臓血管外科)。1997年 東京船員保険病院(現:東京高輪病院)心臓血管外科長。1998年〜2003年 米国クリーブランドクリニック心臓胸部外科クリニカルフェロー、米国ミシガン小児病院 心臓血管外科クリニカルフェロー、亀田総合病院 心臓血管外科医長。2004年 防衛医科大学校 第二外科助手。2005年 三重ハートセンター 心臓血管外科部長。2009年 苑田第一病院 心臓血管外科 部長兼 東邦大学医学部 非常勤講師。2012年 苑田第一病院 心臓血管外科 部長 兼 東邦大学医学部 客員教授。2014年 船橋静脈瘤クリニック院長。2015年 千葉静脈瘤クリニック開設。