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肺動脈性肺高血圧症(PAH)の症状・原因・治療方法について 2018.07.06

肺動脈性肺高血圧症(PAH)(読み方:はいどうみゃくせいはいこうけつあつしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
高橋宏樹医師(高橋医院 副院長)

肺動脈性肺高血圧症(PAH)とは

2009年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「呼吸不全に関する調査研究班」(研究代表者:三嶋理晃)では,原発性肺高血圧症(PPH)および特発性慢性肺血栓塞栓症―肺高血圧型(CTEPH)の名称変更および認定基準を含む内容の改訂を行った.PPHは肺動脈性肺高血圧症(PAH)に変更したことに伴い,その臨床分類を明確にした.

引用:「肺動脈性肺高血圧症(PAH)および慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」日本呼吸器学会雑誌 48(8),2010.
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/048080551j.pdf

肺動脈性肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔が狭くなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。心臓の中でも、肺動脈に血液を送る室を右心室といいます。この右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下してしまいます(右心不全)。長い間の研究で、さまざまな治療薬が試みられていましたが、最近、肺血管を拡張させる薬が開発され、治療効果も上がってきています。

引用:グラクソ・スミスクライン PAH.jp
http://pah.jp/about/page01.html

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
心臓から肺に血液を送るための血管を「肺動脈」といいます。この肺動脈の血圧が異常に上昇する病気が、肺動脈性肺高血圧症です。肺の血管に異常が生じるため、心臓に大きな負担がかかり、結果として全身への酸素供給が上手くいかなくなる病気です。女性の患者さんが男性の患者さんの2倍以上で、女性は加齢と共に発症が増えて、70代がピーク、男性は20代が多く、その後40代まで減り、そこからは加齢と共に増えていくという特徴があります。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の症状

肺動脈性肺高血圧症に特有の症状はありませんが、初期には軽い動作(階段を上ったり、坂を上る)をしただけで息切れがしたり、疲れやすくなったりします。また、病気が進行して右心室の機能に障害が起きてくると、症状も重くなってきます。

引用:グラクソ・スミスクライン PAH.jp
http://pah.jp/about/page05.html

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
初期は自覚症状は特にありません。ある程度進行してくると、息切れ・すぐに疲れる・体がダルイ・失神などの症状が現れます。一般的には、症状が現れてから診断確定までに平均2~3年の期間がかかります。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の原因

肺高血圧症発症のメカニズムは不明な点が多いですが、①肺動脈の血管収縮、②血栓症、③肺動脈壁の肥厚の3つの機序が考えられています。さらに第一群の肺動脈性肺高血圧症は、原因が特定されていないもの(特発性)、遺伝子変異によるもの(遺伝性)、膠原病(結合組織病)や先天性心疾患や肝疾患など他の病気に関連して発症するものなどに分類されています。

引用:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/pph/index.html#sec5

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
肺高血圧症の原因は、血管系0.3mm以下の細い肺動脈に血管変化がおき、血管が何らかの理由で狭くなることだと考えられています。要因としては①肺動脈の壁が厚く・固く変化する、②肺動脈に血栓などが付着し、狭くなる、③肺動脈の血管が収縮することで血管が狭くなる、の3つに分けられます。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の検査法

まず、病歴、主訴、身体所見などの問診を行います。息切れなどの自覚症状から肺高血圧症が疑われる場合や、症状が無くとも肺高血圧症を合併するリスクが高い膠原病などの病気を持っている場合に、スクリーニング検査を行います。
スクリーニング検査により肺高血圧症が強く疑われる場合には、本当に肺高血圧症であるか、第1~5群のどの分類であるか、重症度はどれくらいか、などの精密検査を行い、肺高血圧症の診断を確定します。

引用:日本新薬 肺高血圧症治療サポート
http://pah-support.jp/about/check.php

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療方法

肺動脈性肺高血圧症については、薬物療法が中心となります。一般的処置や支持療法を行いながら、診療ガイドラインに従って、患者さんの重症度に応じたお薬が選択されます。
これらのお薬は、大きく分けて内服のお薬と注射のお薬の2種類に分かれます。

引用:日本新薬 肺高血圧症治療サポート
http://pah-support.jp/understand/plan.php

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
血液の流れを改善させる「肺血管拡張療法」により、病気が完全に治るわけではありませんが、ある程度効果がある場合が多いのが現状です。また、補助的な治療法として、利尿薬(循環血液量を減少させて、心臓への負担を減らす)や、酸素療法(心臓の機能が低下して全身への酸素供給能力が低下しているので、吸入酸素濃度を上昇させてそれを補う)などが用いられます。過労やストレスを避け、水分・塩分の取り過ぎを避けるなど右心不全を予防する対策を行うこともとても大切になります。


この記事の監修ドクター

高橋宏樹医師 高橋医院副院長高橋宏樹 医師
高橋医院 副院長

PROFILE

東京慈恵会医科大学卒業、東京慈恵会医科大学大学院修了後、スウェーデン・カロリンスカ研究所へ留学。東京慈恵会医科大学附属柏病院・東京慈恵会医科大学附属病院勤務を経て、高橋医院副院長に。日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医。患者さんが納得していただけること、一緒に治療をしていく姿勢を何よりも大事にし、患者さんが話したいことはきちんと全部お話いただけるような診療を心がけている。
医院のホームページで
最新医学情報のブログを掲載中
http://www.hatchobori.jp/