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白内障の手術が不安…どんなリスクがあるか教えて!

高齢になると、白内障の手術を受ける人が多くなりますが、メスを使う手術はやっぱり不安。どんなリスクがあるのか、ご自身のクリニックと大学病院で白内障手術を数多く経験されてきた、しんかい眼科クリニックの新海篤先生にうかがいました。

監修医師
新海 篤(しんかい眼科クリニック 院長)

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獨協医科大学卒業後、獨協医科大学越谷病院に臨床研修医として勤務。同病院の眼科助教を経て、国際医療福祉大学熱海病院の眼科講師を務める。2018年11月に、静岡県熱海市にしんかい眼科クリニックを開院。日本眼科学会眼科専門医、日本抗加齢医学会専門医、光線力学療法(PDT)認定医、視覚障害者用補装具適合判定医師、身体障害者福祉法第15条指定医師、ボツリヌストキシン療法認定医。

 

術後2~3日以内に発症リスクが高い「眼内炎」に要注意

編集部編集部

白内障の手術が不安です。どんなリスクがあるのでしょう?

新海先生

手術中にはいくつか合併症の可能性はありますが、もし発症しても対処が可能で、失明など大事に至る可能性は極めて低いと言えます。ただ術後には、感染症が発症する可能性があり、最悪の場合は失明にいたってしまうこともあるため、注意が必要です。白内障の手術に伴う感染症は「眼内炎」といい、まぶたにいる菌が、眼の中に入ってしまうと引き起こされます。術後2~3日以内に発症することが多く、発症率は5000人から1万人に1人といわれています。

編集部編集部

術後の感染症予防のために、どんな対策が行われているのでしょう?

新海先生

感染症予防には、手術前の洗眼がポイントとなります。当院では、ポビドンヨードという消毒薬を使って手術前に眼全体をしっかり消毒し、原因菌を排除するよう細心の注意を払っています。また、術後には抗生物質の目薬や飲み薬を処方しています。


 

白内障の根治治療は手術のみ。手術時間はわずか10~15分

編集部編集部

手術以外に白内障を治す方法はありますか?

新海先生

白内障の進行を遅らせる予防の目薬はありますが、症状が改善するわけではありません。根治治療としては、今のところ手術以外の方法はないとされています。基本的には、一度白内障の手術をすれば、白内障が再発することはありません。

編集部編集部

そもそも白内障とはどんな病気なんでしょう?

新海先生

眼の虹彩のすぐ下には水晶体という、カメラのレンズのような役割をしているところがあります。水晶体は、本来は透明なのですが、加齢、糖尿病、外傷、ステロイドの薬などの影響で、白く濁ってしまいます。中には先天性の方もいらっしゃいますけどね。ここが濁ると、すりガラス越しに物を見ているような状態になります。また、光が散乱することで通常よりまぶしく感じることもあり、徐々に視力が落ちていきます。こうした症状がある眼の病気を白内障といいます。

編集部編集部

白内障の手術はどんなことをするのでしょうか?

新海先生

手術は、まずはあおむけに横になっていただいて、目薬による点眼麻酔をします。それから、黒眼の表面の角膜にメスで切れ目を入れ、その下にある水晶体を包んでいる透明な袋を少しだけ切り抜くと、水晶体の中の濁った部分が出てきます。これを超音波で砕いて、吸引除去します。すると、水晶体の中身が空になって袋だけになりますから、そこに、水晶体の代わりとなる直径6ミリのレンズを入れます。レンズは、折りたたんだ状態で水晶体の袋の中にいれ、中で広げて袋の中に固定して、終了です。この間わずか10~15分です。

編集部編集部

手術による痛みはないのでしょうか?

新海先生

目薬による麻酔だけですが、痛みを訴えられ方はほとんどいらっしゃいません。ただ、ずっと意識はありますから、「手術している様子が見えるのが怖い」という患者さんはいらっしゃいます。とはいえ、10~15分と短時間で終わりますし、手術すれば不快な症状は改善されますから、怖がらないで受けていただければと思います。


 

日帰り手術が普及。ただ病院によってはどちらか選択が可能

編集部編集部

手術は日帰りでも可能なのでしょうか?

新海先生

当院では、すべて日帰りで行っています。仕事が忙しい方や自宅で介護をしている方などが多いですから、日帰りで白内障手術をしている眼科は、現在全国に広まっています。日帰りの場合、手術後はしばらく休んでいただいたあと、手術した眼に眼帯をして帰っていただきます。その日はさすがにお風呂には入れませんが、次の日また来院いただいて眼帯を外したら、あとは普通に生活していただけます。中には入院による手術を希望される方もいらっしゃいますので、その場合は、私が週1回担当医として行っている大学病院で行います。

編集部編集部

手術中に考えられるリスクは何でしょう?

新海先生

水晶体の中身を吸引し、そこにレンズを入れるとお話しましたが、水晶体を包む袋は非常に薄くてペラペラな膜(嚢)なんです。そのため、奥のほうの膜が破れてしまうと、レンズを入れたときに眼の奥に落っこちてしまいます。そのリスクがある場合は、レンズを少し手前に入れて対処します。

編集部編集部

患者側で気をつけられることはありますか?

新海先生

水晶体の奥の膜は、患者さんが力み過ぎて水晶体のさらに奥にある硝子体の圧が高くなると、破けやすくなります。ですから、手術のときはあまり力まないようにしていただいたほうがいいですね。こちらも、力んでいらっしゃるのがわかるときは、「力を抜いてくださいね」お声かけするようにしています。

編集部編集部

手術で気をつけたほうがよい体質などはありますか?

新海先生

瞳孔が広がらない方ですね。というのも、手術は、瞳孔が開いて水晶体が見える状態でないとできないからです。糖尿病、また前立腺肥大の薬を飲んでいる方の中には、広がりにくい方がいらっしゃいます。その場合も瞳孔を開く目薬を使い、気をつけながら行えば、日帰りでの手術も可能です。また、落屑(らくせつ)症候群がある方も注意が必要です。

編集部編集部

落屑症候群とはなんでしょう?

新海先生

落屑症候群の方は、落屑物質というフケのようなものが、水晶体を支えているチン小帯という細い筋肉に付着して断裂させるリスクがあります。もしチン小帯断裂すると、手術中に水晶体の中身を吸引したときに、水晶体が眼の奥に落ちてしまう可能性があるため、さらに注意して手術をする必要があります。ただ、その確率はかなり低く、リスクがある場合はしっかりご説明いたしますので、ご安心ください。


 

手術で装着するレンズは2タイプ。見え方と値段に違いが

編集部編集部

白内障手術で装着するレンズにはどんな種類がありますか?

新海先生

レンズには、単焦点多焦点の2種類あります。単焦点というのは、近くか遠くの一つにピントを合わせるレンズです。たとえば遠くにピントを合わせたときは、近くは見えにくいので、近くを見るときはメガネを使用します。近くにピントを合わせた場合は逆ですね。一方の多焦点レンズは、近くから遠くまで全部見えます。ですから、術後にはメガネがいらなくなるレンズとして知られています。どちらも手術方法は同じですが、術後の見え方が大きく違います。

編集部編集部

多焦点レンズのほうが優れているということですね。

新海先生

多焦点レンズにもデメリットがないわけではないですが、そう言っていいと思います。その分、値段も異なります。単焦点レンズは保険適用され、3割負担の場合で片目あたり5~6万円であるのに対し、多焦点レンズは自費診療となり、費用相場としては片目あたり35~70万円になっています。

編集部編集部

最後に、白内障に不安がある方にメッセージをお願いします。

新海先生

白内障手術は、たしかに昔は、結構トラブルがあったようです。ただ、現在は使用する機械や技術が格段に進歩していますから、トラブルはほとんどなくなりました。顕微鏡一つとっても、かなり進歩し、精度がよくなって手術もしやすくなっています。手術方法も昔と異なり、手術中にもしトラブルが起こっても、対処できる体制が整っています。心配な方は、専門医に相談して納得してから受けるようにしましょう。


 

編集部まとめ

白内障手術は昔に比べると使用する機械や技術の向上にともない、リスクはかなり減っているとのこと。手術時間も10~15分と短く、日帰りでの手術も一般的となっているため、信頼できる医師のもとで手術を受ければ、それほど心配する必要はなさそうです。

あえてリスクを挙げるとすれば、まぶたにいる菌が原因の「眼内炎」という感染症には注意が必要。現在でも、5000人から1万人に1人の割合で発症しているそうです。対策もしっかりとられてはいますが、ごく稀に失明することもあること。しっかりリスクを確認したうえで、手術を受けることが大切なようです。

それ以外には、瞳孔が広がりにくい人は、手術をする水晶体部分が見えないため、術者は注意する必要があるということ。落屑症候群のある方や、糖尿病、前立腺肥大の薬を飲んでいる方は瞳孔が広がりにくい傾向があるため、注意が必要です。


 

医院情報

しんかい眼科クリニック

しんかい眼科クリニック
所在地 〒413-0015 静岡県熱海市中央町17-15
アクセス 東海道本線・伊東線「来宮駅」より車で5分
診療科目 眼科

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