1. Medical DOCTOP
  2. プールの水が耳に入ると中耳炎になるってウソ?ホント?

プールの水が耳に入ると中耳炎になるってウソ?ホント?

子どもに多い耳の病気の典型が中耳炎だろう。鼓膜の中に水やウミがたまる病気だ。このことから、「プールの危険性」が一部で取り沙汰されているものの、その真偽はどうなのか。インターネットで調べてみても、是非の両論が展開されている。この点について、はたのクリニックの波多野先生に解説を願った。

監修医師
波多野 篤(はたのクリニック 院長)

プロフィールをもっと見る
岡山大学医学部医学科卒業、同大学院博士課程終了。徳島大学、岡山大学、東京慈恵会医科大学などの附属病院、および岡山済生会総合病院の耳鼻咽喉科にて臨床経験を積む。2018年からは東京慈恵会医科大学にて非常勤診療医長を務める。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医、耳鼻咽喉科専門研修指導医、騒音性難聴担当医、日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医制度暫定指導医、身体障害者福祉法15条指導医。

 

中耳炎で問題になるのは、むしろ鼻という事実

編集部編集部

プールの水が耳に入ると、中耳炎になるのでしょうか?

波多野先生

結論からすると、「耳から水が入る」ことでは中耳炎にはなりません。中耳炎は、耳の鼓膜の内側で起きる炎症です。通常なら、プールの水が鼓膜を貫通することは考えられません。鼓膜より外の外耳炎なら考えられるでしょう。

編集部編集部

なぜ、一部でプールの危険性が取り上げられているとお考えですか?

波多野先生

中耳炎は、耳というより鼻から起きる病気です。中耳と鼻はつながっていて、風邪などをきっかけに、鼻水の中にいるばい菌やウイルスが中耳へ侵入してくるんですね。ですから、プールの水を誤って飲み込んだときなどに鼻へ抜け、その結果として中耳が感染することは考えられます。また、消毒のためにプールへ入れている塩素は、粘膜を痛めやすい傾向があります。直接的ではなく間接的な意味で、「プールの水が中耳炎を起こしやすくする」ということも言えるでしょう。

編集部編集部

すでに中耳炎の場合、プールは可能でしょうか?

波多野先生

中耳炎には、風邪をきっかけに発症する急性のものと、耳の中に水がたまる慢性のものがあります。急性で風邪をひいているときは、プールに入らないほうがいいでしょう。他方、慢性の場合は風邪と無関係なので、考え方のわかれるところです。個人的には、健康増進もかねた運動をしてもいいと思っています。夏のプールって気持ちがいいし楽しいですからね。

編集部編集部

急性と慢性は、どう見わけるのですか?

波多野先生

風邪の諸症状や耳の痛みを伴っているときは、急性が疑われます。慢性の自覚症状は、耳だれや聞こえの悪さなどです。飛行機に乗ったときなど、耳がポーンとなる状態ってありますよね。あれに近い感覚なのですが、お子さんの場合、自分では気付かないこともあります。


 

子どもが中耳炎になりやすいのは、「免疫力の谷間」にあるから

編集部編集部

中耳炎の治療方法について、教えてください

波多野先生

程度によります。受診のタイミングが早ければ早いほど、軽い処置で終わらせられるでしょう。軽度であれば、風邪の対策を優先し、耳については経過観察をします。繰り返しになりますが、中耳炎は鼻から起きる病気です。鼻水が出ないようにする処置も重要なのです。

編集部編集部

重度の場合は、どうするのですか?

波多野先生

中等度であれば、抗生物質の処方をします。重度になると、場合によっては鼓膜の一部を切り、中耳にたまった水やウミを出します。そうすることで菌の有無が調べられますから、より効果的なお薬の処方へ結び付けられるのです。

編集部編集部

なぜ子どもは、中耳炎にかかりやすいのでしょう?

波多野先生

生後6カ月前後までのお子さんは、母乳に含まれる免疫を持っています。やがて断乳し、次第に免疫力を失ってくるのが2歳ころなんですね。自己免疫力が付いてくるのは6歳くらい。つまり、この間で発症しやすいのです。また、保育園のような集団保育が始まるのもこのころ。風邪をお子さんの間でキャッチボールのようにやりとりしますから、ウイルスへさらされやすいのです。

編集部編集部

大人も中耳炎にかかるのですか?

波多野先生

もちろんです。ただし、大人は自覚があるので受診していただけます。その点、小さなお子さんは、症状を口に出さないで泣きます。自分で言えない分、親が注意してあげてほしいですね。なお、泣き叫んでいる場合、耳鼻科のほかに小児科を受診するという選択肢も考えられます。お子さんの対応に、より慣れていらっしゃるでしょう。


 

家庭環境も中耳炎を悪化させる一因

編集部編集部

子どもに多い耳の病気には何がありますか?

波多野先生

プールと関係するものとしては、中耳炎、外耳炎、鼓膜炎、副鼻腔(びくう)炎といったところでしょうか。お子さんの副鼻腔は発達しきっていないため、大人より炎症を起こしやすいようです。鼻水が黄色っぽくネバネバしていたら要注意。プールは悪化の原因になりますし、前述のように中耳炎を発症しかねません。

編集部編集部

その他、耳の病気について気をつけたいことがあれば

波多野先生

受動喫煙ですね。中耳炎に悪影響をもたらす報告が、エビデンスとして出ています。当院でも、中耳炎が長引いたりたびたび再発していたりしたら、ご家族に確認しています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば

波多野先生

中耳炎の原因となる菌やウイルスは種類が多く、最初に処方したお薬ですぐに治るとは限りません。したがって、一週間といった長期のお薬を処方しても、効果的ではない場合があります。できましたら、初診から数日後に再受診してください。また、お薬が苦くてはき出す姿を見ると、かわいそうに思ってしまうかもしれません。しかし、定められた服用回数に満たないと、本当の効果が得られないのです。お子さんのためだと思って、処方上の注意を守っていただけると助かります。


 

編集部まとめ

中耳炎は、鼻の中にいるばい菌が、鼓膜の奥の「中耳」へ達することによって生じるのでした。耳と鼻をセットで考えておいたほうが良さそうですね。一方、プールの水は鼓膜というフタで遮られるため、直接的な関係となりえないようです。また、受診の指示やお薬の注意点を守らないと、症状を悪化させてしまうかもしれません。これは親の務めです。医師の言うことをよく聴くようにしましょう。


 

医院情報

はたのクリニック

はたのクリニック
所在地 〒156-0056 東京都世田谷区八幡山1丁目11番地4号
アクセス アクセス 京王線八幡山駅 徒歩13分
京王線上北沢駅 徒歩12分
京王線桜上水駅 徒歩18分
小田急小田原線千歳船橋駅 徒歩18分
京王バス【経2経堂行き・烏51両水無行き】朝日新聞社前停留所から徒歩1分
小田急バス【経01千歳船橋行き・経02八幡山駅行き】朝日新聞社前停留所から徒歩1分
診療科目 耳鼻咽喉科 小児耳鼻咽喉科 外科 内科 各種健康診断 各種ワクチン接種(要予約)

© Medical DOC.