どうして「ぎっくり腰」は再発しやすいの?

公開日:2021/07/05
どうして「ぎっくり腰」は再発しやすいの?

ぎっくり腰は一度痛めると、強烈な痛みからしばらく動けないこともしばしば。しばらく安静にしていて、ようやく回復したと思って、普段通りの生活をしていたら再び発症……。このようなぎっくり腰の再発に悩む人も多いのではないでしょうか。一体なぜ、ぎっくり腰は再発するのか。また、その再発を予防することは可能なのか。「理学療法士」として日々腰痛患者さんと向き合っている澤田さんに、これらの疑問を投げかけてみました。

澤田悠介

監修理学療法士
澤田 悠介(師勝整形外科リハビリテーション科 理学療法士)

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トライデントスポーツ医療看護専門学校卒業。春日井整形外科に就職、2016年からスポーツ障害リハビリテーション班のリーダーに就任。2020年4月から同法人の師勝整形外科に異動。臨床では腰椎椎間板ヘルニアを中心とした脊椎疾患、五十肩、変形性膝関節症など幅広い整形外科疾患の患者さんを多く担当。年2回の野球少年メディカルチェックや、豊田合成トレフェルサ(現・ウルフドッグ名古屋)メディカルサポートを担当、障害予防にも精力的に活動している。

腰への負担が蓄積されるとぎっくり腰になる

腰への負担が蓄積されるとぎっくり腰になる

編集部編集部

まず、どうしてぎっくり腰は起こってしまうのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

諸説ありますが、加齢や運動不足による筋力や柔軟性の低下や腰に負担のかかる作業の反復が原因だと考えられています。負担が蓄積された状態で、さらに大きな負担が腰に加わることによって、ぎっくり腰が起きやすくなってしまいます。

編集部編集部

ぎっくり腰の痛みの原因を詳しく教えてください。

澤田悠介澤田さん

痛みの原因として、腰にある靭帯や筋肉、関節などが損傷することにより、その部位で炎症が起こるためと考えられます。炎症が起こると、損傷した組織から発痛物質、つまり痛みを感じさせる物質が産生されます。この物質が大量に産生されることで、強い痛みを感じるようになるのです。また、その中でも「起立筋」と呼ばれる腰にある筋肉や、腰椎と腰椎の間に左右1つずつ存在する「椎間関節」と呼ばれる関節などが、特に痛みやすい部位として挙げられます。

編集部編集部

どのような動作で起きやすいのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

腰に負担がかかる動作が最も危険です。特に重たい物を持ち上げたり、反復して身体を曲げたりねじったりする作業、長時間同じ姿勢を保持してから急に腰を動かすといった動作は、ぎっくり腰を招きやすいので注意が必要です。また、くしゃみや咳、立ち上がりなど日常生活の些細な動作でも起こる可能性もあります。

編集部編集部

ぎっくり腰は再発しやすいとよく聞きます。実際のところ、どうなのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

ぎっくり腰の再発率は高いかどうかは、はっきりと分かっていません。ただし、ある研究では、腰痛患者の中で再発を経験する割合は60%と報告しており、再発率が高い可能性があります。

再発の原因は、主に筋力や柔軟性の低下

再発の原因は、主に筋力や柔軟性の低下

編集部編集部

ぎっくり腰が再発しやすい原因はなんでしょうか?

澤田悠介澤田さん

筋力や柔軟性が低下したままの状態で生活していると、ぎっくり腰が再発しやすくなります。痛みが出ると、しばらく腰を動かすことができません。この時期に、腰や股関節周りの筋力や柔軟性が低下してしまいます。

編集部編集部

なるほど。筋力や柔軟性以外で原因はありますか?

澤田悠介澤田さん

筋力や柔軟性以外の原因として「腰に負担のかかる身体の使い方」があります。例えば、腰を曲げて重たい物を持ち上げたり、同じ方向ばかりに腰をひねったりするような、腰に負担のかかる動作を日常で繰り返しおこなうことで、腰に負担が蓄積します。そして、溜まった負担が限界を越えると、再びぎっくり腰になってしまう可能性があります。

編集部編集部

再発しやすい体質や習慣とかってありますか?

澤田悠介澤田さん

現時点で体質に関しては、再発の危険因子として報告されているものはありません。また、2019年の腰痛診療ガイドラインによると、「喫煙」や「飲酒」などの生活習慣と腰痛についての研究はされているものの、関連性そこまで高くないとのことです。なお、腰痛の発症の危険因子と再発の危険因子は異なるので、留意が必要です。

日頃の運動習慣がカギを握る

日頃の運動習慣がカギを握る

編集部編集部

再発を防ぐ方法について教えてください。

澤田悠介澤田さん

腰痛後、「安静にしていて痛みが無くなったから大丈夫」と油断しがちです。しかし、先述したとおり、筋力や柔軟性が低下したままの状態が続くと、ぎっくり腰を再び引き起こしてしまいます。そのため、腰痛後の「運動療法」を取り入れ、失われた筋力や柔軟性を取り戻すことが、ぎっくり腰の再発リスクの防止につながります。

編集部編集部

実際、どのような運動をすればいいのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

今回は、再発予防に重要な運動を2つご紹介します。1つ目は、背筋の筋力強化です。四つ這いになり、片手を前方へ、反対側の足を後方へ伸ばす動きを交互に繰り返します。これを左右10回ずつ、3セットおこないましょう。この運動は、腰を守るための背中の筋肉である「多裂筋(たれつきん)」のトレーニングになります。

編集部編集部

ありがとうございます。もう1つはどんなトレーニングですか?

澤田悠介澤田さん

2つ目は、お腹の筋肉の強化です。両膝を立てて仰向けになり、下腹部を凹ますように息を強く吐きます。この時、下腹部をできる限り凹ますことがポイントです。そして、最後まで息を吐き切ります。10回を1セットとし、3セットおこないましょう。この運動は、腰を守るための「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉のトレーニングになります。

編集部編集部

日常生活で再発予防のために気をつけた方がいいことはありますか?

澤田悠介澤田さん

ぎっくり腰の再発予防のためには、腰に負担のかかりにくい動作をするよう心掛けましょう。例えば、重たい物を持つ時は、できるだけ身体に近づけ、重心を低くしてから持ちます。また、持ち上げる時、へその下あたりに力を入れ、腹圧を上げてから持ち上げるようにします。そのほかにも、腰をひねるような動きには注意が必要です。

編集部編集部

食生活の面からも再発予防はできますか?

澤田悠介澤田さん

そうですね。腰の筋肉疲労や負担蓄積などによって再発リスクが高まるため、疲労や負担蓄積を改善するためのバランスの取れた栄養摂取が重要です。特に、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、筋肉や神経の状態を保つために必要な栄養です。また、ビタミンB群やビタミンCなどは、疲労回復の効果が期待できます。これらの栄養素を積極的に摂ることで、ぎっくり腰の再発リスクを減らせるかもしれません。

編集部まとめ

ぎっくり腰の再発予防には、筋力や柔軟性の強化と腰に負担のかかりにくい動作をするのがいいようです。繰り返されるぎっくり腰に悩んでいる人は、これを機に日頃の運動習慣から見直してみてはいかがでしょうか。