歯科のオンライン診療にできることとは? 歯科医療の未来についてオンライン診療の有識者たちが解説

公開日:2020/07/02

4月24日、オンライン診療に関わる5人の医師・弁護士らによるディスカッションイベント(主催・日本遠隔医療学会、歯科遠隔医療分科会、後援・ムツー株式会社)が、インターネット上のコミュニケーションシステムを通じておこなわれた。そのテーマは、本邦初となるであろう「歯科のオンライン診療では、どのようなことができるのか」。新型コロナウイルスの感染が広がるなか、医療従事者やメディア関係者を含む一般参加者約120人から、熱い視線が注がれた。

加藤 浩晃

医師
加藤 浩晃(かとう・ひろあき)

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浜松医科大学卒業。AI、IoTなどのデジタルヘルスを専門とし、眼科遠隔医療も手掛けている。厚生労働省医療ベンチャー支援(MEDISO)アドバイザー、日本遠隔医療学会運営委員、遠隔医療モデル分科会長などを歴任。デジタルハリウッド大学院客員教授、東京医科歯科大学臨床准教授、千葉大学客員准教授、アイリス株式会社取締役副社長CSO。

長縄 拓哉

歯科医師
長縄 拓哉(ながなわ・たくや)

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東京歯科大学卒業。医学博士。都内大学病院歯科口腔外科勤務を経て、現在はムツー株式会社代表取締役を兼任。デンマークと日本の遠隔医療推進プロジェクト「JD-Teletech」日本代表。日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会会長。日本口腔顔面痛学会評議員。日本口腔内科学会代議員。

齊藤 朋愛

歯科医師
齊藤 朋愛(さいとう・ともよし)

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齊藤歯科医院院長。日本口腔外科学会、日本老年歯科医学会の各会員。本セッションの発起人。

竹山 旭

歯科医師
竹山 旭(たけやま・あきら)

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大阪歯科大学歯学部歯学科卒業。大阪歯科大学大学院歯学研究科口腔外科学専攻博士課程修了。2019年より竹山歯科口腔医院(大阪府堺市)院長。歯学博士。株式会社ノーブナイン代表取締役。日本抗加齢医学会認定抗加齢医学専門医、AHA認定BLSヘルスケアプロバイダー。BOCプロバイダー講座統括医師。

落合 孝文

弁護士
落合 孝文(おちあい・たかふみ)

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慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業。弁護士、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー。オンライン診療やAI、IT活用など、さまざまな公的機関の委員などを歴任。厚生労働省オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会委員。

オンライン診療の現状

長縄 拓哉長縄先生

みなさんはじめまして、本日のモデレーターを務めさせていただきます、日本遠隔医療学会の長縄と申します。今回のテーマは「Tele-dentistry(遠隔歯科診療)」。具体的にどのようなことができるのかを共有したいと考えています。それではさっそく、オンライン診療の現状について、加藤先生お願いします。

加藤 浩晃加藤先生

よろしくおねがいします。私からは「歯科領域の遠隔診療とオンライン診療の基本」について、お話させていただこうと思います。

遠隔医療の運用場面は3つ

遠隔医療は、大きく2つに分かれます。「D to P(医師と患者)」と「D to D(医師と医師)」です。「D to P」は、対面によらず、テレビ電話などの“通信機器”を通して患者さんの容体をうかがうオンライン診療・遠隔診療のことです。

対する「D to D」は、担当医が感じた疑問などの所見を、先輩の医師や他領域の先生方にうかがって、その所見によって診察していくような進め方です。

本日は、「D to P」を中心に取り扱っていこうと思います。「D to P」の運用場面は3つ考えられます。①保険診療、②自由診療、③医療相談です。このうち、③医療相談は、歯科医師法に定める医療行為を“含まない”ものを指します。

歯科と医科のオンライン診療を比較

まず、医科と歯科における「オンライン診療の制度」の比較をしたいと思います。もともと医師法や歯科医師法は、「目の前に患者さんがいること」を前提に制定されています。しかし、平成9年(1997年)の局長通知により、医科と歯科を問わず、「(オンライン診療は)無診察診療の違反とならない」との指針が示されました。その後、医科領域では、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が整えられました。

他方の歯科領域では、ルールづくりができていません。診療点数においても、医科領域では、「オンライン診療料」に加え、新型コロナウイルスに対応した“時限的な”「電話等再診」の点数が認められています。他方、歯科領域はというと、医科の「オンライン診療料」に相当する点数制度はありません。「電話等再診」にしても決まりはなく、「実施しても違反にはならないのではないか」といった状況のなかで進められています。

医科の「電話等再診」についての定めは、令和2年度(2020年度)の診療報酬改定によって、「定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」とされています。しかし、歯科の「電話等再診」の項目には、特段の記載がありません。「歯科で実施しても違反にはならないのではないか」と考えられる根拠です。

ここまで、①保険診療と②自由診療についての現況ですが、最後の③医療相談についても触れさせてください。正式名称「遠隔健康医療相談」は、前述のように、医療行為を含みません。患者さんごとの事情に踏み込んでいくと診療になりますので、ご注意ください。あくまで一般論によるマニュアル的な対応が、その中身です。また、非医療行為ですので、企業主体による取り組みも可能です。現状、新型コロナに対する医療相談を、国による費用負担で無料実施しているケースなどもあります。

オンライン診療の可能性

長縄 拓哉長縄先生

加藤先生、ありがとうございます。次に私より、「歯科オンライン診療の現状と可能性」について述べさせていただきます。私の専門である「口腔(こうくう)顔面痛」には確立された検査や治療法がないこともあり、お話や投薬が中心の外来診療をおこなっていました。「オンライン診療をやってみよう」と思い立ったのは、口腔顔面痛診療との相性がよかったためですね。

オンライン診療における法律の現状

さて、法整備についてのおさらいですが、2015年に厚労省医政局長から、「遠隔診療の実質解禁」と受け取れる連絡が発出されました。当時、医科と歯科は同列に扱われていて、事務連絡の中に「歯科」というワードが12カ所確認できます。

他方、厚労省のまとめた平成30年(2018年)の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を見ると、「歯科」というワードが1カ所しか使われていません。同指針の趣旨は、「保険診療でも自由診療でも、この内容を守りましょう」というものですが、歯科は想定されていなかったようです。

ですから現在、同指針を見直す検討会が開かれていて、とりわけ「D to P」の必要性を議論しているところです。ただし、いまだ具体的な内容までには至っていません。もちろん、「D to P with DH(歯科衛生士)」「D to P with N(訪問看護師など)」というケースについても想定する必要があります。

オンライン診療をおこなう上での留意点

そこで本題ですが、このセッションにあたっての“心構え”があります。歯科のオンライン診療にはたくさんの可能性があるものの、現段階の明確な指針がありません。なんでもかんでもオンラインで診療すればいいというものではなく、「既存の制度に従って慎重に進めるべき」だと考えています。

私自身オンライン診療を、「病院」から、「自費」でおこなっていましたが、「保険診療ではできないのか」という質問もよくあります。歯科では「オンライン診療料」がありませんが、以前から電話やTV電話を用いた診療を行った場合に「電話等再診料」を算定することができますので、保険診療が行える医療機関でしたら保険診療で行うことが可能です。

医療相談は医療行為ではありませんので注意が必要です。例えば、「あなたの症状でしたら何科を受診した方がいいですね」といった「あなた」に対して個別対応してしまうと、相談の範疇を超え診療に該当します。総論的なマニュアル対応の範囲を超えないよう、また、自分の立場・資格、自宅なのか院内なのかという場所、電話での内容含め、「医療行為に該当しない」ことの認識が求められます。

歯科衛生士とオンライン診療

では、歯科衛生士さんが院内にいるケースでのオンライン診療はどうなのか。歯科にオンライン指導料は存在しませんので、そもそも算定項目がありません。院内で医師の指示の下、歯科衛生士さんがオンラインで歯科保健指導することは問題ないと思いますが算定する項目がないのが現状です。

平成26年(2014年)に改定された歯科衛生士法では、「歯科医師の指導の下におこなうこと」の明記はあるものの、医師と同席する必要があるとは書かれていません。ですから、「D to P with DH(歯科衛生士)」自体はできるのかなと。

歯科衛生士さんにできることはさまざまにあると思いますが、医療相談で「あなたは……」とすると、診断に該当しかねません。注意をしてください。

「D to P」でできることをまとめてみます。原則として、歯科オンライン診療で算定できる項目は、時限措置を除いて「電話再診料」しかありません。ほか、「医療行為なのか、マニュアル対応なのか」「歯科医師なのか、歯科衛生士なのか」「自分はどこにいるのか(院内か自宅か)」「患者さんはどこにいるのか」など、一つ一つ法律による決まり事を確認していただきたいと思っています。

そのうえで、やれることはたくさんあります。各種指導関連スマホのセルフ画像などを用いた抜歯後の経過観察補てつ物装着後の経過観察食事の仕方や中身の把握などですね。また、絶対に触られないという安心感がありますし、歯科特有の音や臭いもしませんので、歯科に恐怖心がある患者さんへの対応に向いています。加えて、初めてのお子さんとオンラインで知り合っておくと、初回面会時の緊張感が薄れます。

介護施設との連携

次は、患者さんが介護施設にいる場合などの「D to P with N(看護師など)」です。現場の介護士さんなどと一緒に仕事をする場合について、考えてみたいと思います。

例えば医師は遠隔地にいて、患者さんが「舌の痛み」を訴えているとします。スマホのビデオ通話で、舌の画像(動画)を共有し、「大丈夫なんじゃないか」とか、「これから行くのでそっとしておいてください」とかお話します。緊急性の有無が判断できます。また、食事の様子を確認することもできます。「食事の姿勢が良くない」「食べ物のとろみが少ないね」といった周辺情報も入手できます。毎食の様子を見ることはなかなかできませんから、「D to P with N」は使いやすいという印象です。

他方、「歯科用語が伝わらない看護師・介護士」または「看護用語が伝わらない歯科医師・歯科衛生士」という知識のギャップが問題になります。前者の例としては補てつ物などの名称、後者の例としては全身疾患で服用しているお薬の名前などです。言語的コミュニケーションに頼らざるを得ない(口腔内を見ながら指差し確認ができない)オンライン診療においては、このギャップを埋めるための根本的な教育が不可欠です。

そのこともあって始めたのが、「BOCプロバイダー」という資格講座です。歯科衛生士は医師から医学を学び、看護師は歯科医師から歯学を学ぶことで、コミュニケーションギャップを埋める取り組みになります。オンライン診療に対応できる知識と技術をもった看護師、歯科衛生士の育成をめざしています。

歯科医療はオフライン+オンラインの時代に突入する

竹山 旭竹山先生

歯科医師の竹山と申します。私からは、先んじて遠隔歯科診療や遠隔歯科相談に取り組んでいるプレーヤーとして、お話させていただこうと思っています。

私は歯科医師として臨床に立ちながら、株式会社ノーブナインというベンチャーを2018年に設立しました。なぜ、歯科医師の私が起業したのかというと、日本の歯科業界は、数々の課題を抱えているからです。その一例として挙げられるのが、「予防歯科の重要性が浸透しきらないこと」でしょう。

株式会社ノーブナインのミッションは、「予防歯科・予防医療の文化を醸成する」ことです。同ビジョンは、「全ての人が歯の悩みにとらわれない、自分で自分らしい人生を創出する」となっています。弊社のメンバーとして、医薬会社や保険会社のほか、医療機器メーカー、広告代理店出身の者を迎えています。

次に、開発している商品です。IoT電動歯ブラシ「SMASH」には口臭センサーが付いていて、スマホのアプリと連動しながら「歯周病のリスク判定」をおこなうことができます。虫歯や歯周病は、プラークコントロールが十分できていないことで、徐々に進行していきます。その前段階として、一定レベルで発生する口臭を検知し、早期受診につなげるという発想です。お口の状態を“見える化” するという切り口で開発しました。

オンライン診療に取り組んでいる歯科医師の所感

本題の遠隔歯科相談サービスですが、我々による最初の取り組みは2018年からスタートしました。それが、オンライン小児歯科相談サービス「ブラシる」です。

現場の声として、「わざわざ歯科医院へ行くのはおっくうである」、「ちょっとしたことでも相談したい」がありました。加えて、子育て世代のお母さんには、「決まった時間に通院しづらい」というお悩みがあるのではないか。そこに、ニーズを感じました。

一般的に、歯みがき時に出血したり、歯に食べ物が挟まりやすくなったりすると、まず、①同一症状をインターネットなどで確認するのではないでしょうか。それでも、なかなか通院に結びつかず、口臭などの慢性トラブルが生じてから、②歯科医院を探し始めます。なかには、絶えられない痛みといった急性症状が出て、③やっと受診に至るという方もいらっしゃるでしょう。その後、④メンテナンスの重要性に気づき、定期通院のフェーズに入るといったところでしょうか。

「ブラシる」の位置づけとしては、①と②をつなぐものだと考えています。インターネットなどで同一症状を調べても、本当に該当するのかがわからない。けれども、わざわざ歯科医院に問い合わせるほどでもないと思ってしまう。そうした不満や不安が埋められるようなサービスを心がけました。

患者さんからの声

続いて、「ブラシる」全体のアンケート結果です。「ブラシるの遠隔歯科相談は、外来の対面診療と比較してどうでしたか」という設問の回答を見てみると、「専門性があった」「セカンドオピニオンとして有用」という評価をいただいています。ネガティブな要素としては「価格が高い」でしょうか。企業サービスとして1回980円という設定です。他社のなかには、500円や無料で実施している電話相談もあると思います。

今回、新型コロナウイルスの影響ということもあり、遠隔診療や遠隔相談への関心が高まると予想されることから、「ブラシる」の無償開放を始めました。先ほどのアンケートにあった「専門性」の担保という意味では、口腔外科、小児歯科、摂食嚥下リハビリテーションなど、各分野の医師・専門家からご協力をいただいています。

オンライン診療の“可能性”と“課題”

現状、「なにができる」とは言いきれませんので、あくまで今後の「可能性」と「課題」としてまとめてみました。ノーブナインでは、これらの課題を解決するための商品・サービスを開発しているところです。

可能性
・オンライン唾液検査
・オンライン歯科健診
・オンライン歯ブラシ処方
・オンラインTBI(指導)
・コンプライアンス管理(自宅での自己管理などの追跡)

課題
・自宅で診察することができる口腔内写真が撮影できるか
・口腔外科的知識が豊富か
・医療IoTデバイスを有しているか
・医科歯科連携の経験があるか
・在宅医療の経験があるか
・言語力があるか(メディアリテラシー、コミュニケーション力)

歯科医師の皆さんが診察時に重きを置くのは視診だと思います。スマホの写真でも“歯科医師であれば”、たくさんの情報が拾えるはずです。未来的な話ですが、ある程度の判断はできると考えています。ただし、繰り返しになりますが、現状で必ずしも認められている方法ではありません。

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もし、「歯科医療は外科的な処置が多いから、オンライン診療に向いていないのでは」とお考えだとしたら、根本的なところから発想を変える必要があるでしょう。予防医療の最たるは「教育」です。オーラルケアグッズの使い方も定期メンテの必要性も教育です。オンライン診療は先生方の強い武器になると信じています。一方で、「夢のツール」ではないことも、申しあげておきます。

オンライン相談のパターンについても考えてみました。パターン1は、「1つのサービスで、多数のドクターと利用者をマッチングさせる」タイプです。パターン2は、「1つの医院で、担当医師と患者さんをオンラインで結んでやりとりする」タイプ。パターン3としては、「担当医師が外部の専門家とやりとりする」タイプです。「現場の歯科衛生士が遠隔地の歯科医師から指示を受ける」タイプも、このパターン3に含まれるかもしれません。

ディスカッション

長縄 拓哉長縄先生

では、ディスカッションに移ろうと思います。落合先生、これまでのお話のなかで、補足はございますか?

落合先生落合 孝文

歯科の現状を一言で言うと、2018年に医科でオンライン診療の指針と診療報酬改定をおこなったときに、「歯科だけが取り残された」ですね。それが、新型コロナの影響で、歯科もオンライン診療の利用が求められ、アップデートの必要に迫られたのが、今の状況だと思っています。

長縄 拓哉長縄先生

なるほど。我々医師にとって関心があるのは、オンライン診療の報酬面だと思われます。加藤先生、医科の進め方も含めて、その点はいかがでしょう。

加藤先生加藤 浩晃

自由診療の費用は自由に決めるとして、保険診療の場合、合法的な混合診療と言いますか、保険診療に自由診療を乗せられる枠組みがあります。「保険外併用療養費」という制度です。ほか、インフルエンザワクチンの接種のように、療養の枠組み以外の部分で給付される項目もあります。また、歯科にも保険の電話等再診料が認められていますので、通信料に相当する費用を好きに決めてプラスアルファできます。保険の費用体系だけでは「やっていけない」というときに、組み合わせてみてください。

長縄 拓哉長縄先生

私が行きついた結論は「無料」です。将来的に外来へ戻ってきていただくことを優先しました。患者さんとの信頼関係を保つために、オンライン診療を使っていただきたいと思っています。

落合先生落合 孝文

補足させていただくと、医科の場合ですが、2018年にオンライン診療の診療報酬が改定されました。それ以前は、加藤先生のおっしゃったように、保険でおこなう電話等再診料と予約料の組み合わせが多かったように思います。ところが2018年の診療報酬改訂後は、保険適用条件のハードルそのものが上がり、予約料の徴収も禁止されたため、オンライン診療プラットフォーム事業者が調べたところでは、オンライン診療を自費でおこなう割合が増えたということでした。

他方の歯科は今現在、初診からの保険適用が検討されていると報道されています。この結果いかんによりますが、現在のコロナ対応の医科と同様の保険適用条件であれば、オンライン診療で広く保険が利用される可能性があります。

※編集注 : セッション後の2020年4月24日付けで、厚労省により正式に適用承認

 

長縄 拓哉長縄先生

落合先生、ありがとうございました。オンライン診療が初診からできるようになると、患者さんの情報をどこまでくみ取れるか、いかに事故を防ぐかが問われます。無理をせず、慎重に進めていただきたいなと思います。

落合先生落合 孝文

同じく医科についての議論ですが、まったく情報をもっていない患者さんへのオンライン初診については、現時点でもより厳しい制限がかかっています。医科の先生は、次第に皮膚感覚を得られてきているようですが、始まったばかりの歯科に関しては、おっしゃるとおり、慎重に進めたいですね。

 

長縄 拓哉長縄先生

ほか、関心があるのは、歯科衛生士さんにどう働いていただくかということですよね。おのおのの自宅で、医療行為に近い個別指導を自費でおこなってもいいように思いますが。

竹山先生竹山 旭

この点については、かなり研究しました。我々の答えとして、自費によるブラッシング指導(TBI)はできると思っています。「相談」という枠組みなので、定型的なやりとりになりかねないのですが、それでも「わかりやすかった、伝わった」という患者さんからの反応を得ています。

 

落合先生落合 孝文

歯科衛生士さんは、どこまで医療行為をおこなえるのですか?

 

長縄 拓哉長縄先生

医師の指示があれば、ある程度は認められています。医師による指示をオンラインでおこなっても、同じように進められると考えています。

落合先生落合 孝文

看護師さんは、一定の条件の下、タブレットなどを使った医師からの指示の下なら、通常通りの業務が行えるとの解釈も示されています。このような規定は、オンライン診療と関係なく示されていました。歯科衛生士さんにもそのような整理が明確にされると進めやすいですね。

 

長縄 拓哉長縄先生

歯科衛生士は歯科医師の指示のもとで(歯科医師がその場にいなくても)保健指導を行うことでできますので、保険診療、自由診療でのオンライン診療においても多くの可能性があると思っています。

落合先生落合 孝文

ただし、“医療行為”と“医療行為外”の医療相談の差は、自費であっても存在します。また、最低限のところで、歯科医師法に定められた歯科衛生士さんの業務範囲を遵守してください。

 

長縄 拓哉長縄先生

わかりました。では、お時間になりましたので、こちらで終了ということにさせていただきます。本日はありがとうございました。

 

編集部まとめ

歯科におけるオンライン診療は、明確な指針が出ておらず、現場の歯科医師も手探りの状態で進めているということが、今回のセミナーでわかりました。しかし、歯科のオンライン診療にも医院側、患者側の両者に大きなメリットの可能性が示唆されていました。患者側の我々の目線から見れば、「歯のセルフケア方法について、画面を通じて間違ったやり方を注意してもらえる」という点は大きなメリットではないでしょうか。これからは歯科医院を「治療に行くための施設」ではなく、「病気にならないための施設」として活用していきましょう。