「睡眠中にしゃっくりが出る」のは『大丈夫』?しゃっくりが出る原因と考えられる病気を解説!

睡眠中にしゃっくりをしていると、健康に問題がないか不安になる方もいるのではないでしょうか。一般的にしゃっくりは、一時的なもので健康にも問題がないことがほとんどですが、稀に病気が隠れていることもあります。この記事では、睡眠中にしゃっくりが出る原因や考えられる病気、そして具体的な対処法を詳しく解説します。しゃっくりが続いて困っている方は、ぜひ参考にしてください。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
目次 -INDEX-
睡眠中にしゃっくりが出る原因

しゃっくりは突然出てくることがほとんどです。状況に関係なく現れるため、困った経験をする方も少なくありません。しゃっくりはどのような原因で起こるのか、ここでは詳しく解説していきます。なぜ睡眠中でもしゃっくりが出てしまうのか、ぜひ参考にしてみてください。
横隔膜のけいれん
しゃっくりが出るのは、横隔膜のけいれんが関係しているといわれています。横隔膜とは、肺と胃の間にある筋肉の膜のことで、収縮すると声帯が閉じて「ヒック」という音がします。横隔膜のけいれんが起こる原因はさまざまではっきりしたものはわかっていません。
夕食を食べすぎたり、アルコールを多量に摂取したりすると、睡眠中でも横隔膜のけいれんを引き起こしてしゃっくりが出てしまいます。
胃腸の不調やガスの影響
胃腸にガスが留まると、横隔膜が圧迫されてしゃっくりを引き起こします。
ガスが留まって胃が膨張している状態では、横隔膜の神経が刺激され続けます。その結果、横隔膜のけいれんが起こりしゃっくりが発生してしまいます。
病気が隠れている可能性
数日間しゃっくりが続く場合では、病気が隠れている可能性も考えられます。
しゃっくりは、ほとんどの場合で無害とされていますが、重篤な病気の症状として現れることがあります。一般的に、しゃっくりが続く期間が48時間以内の場合、急性のものといわれ特に問題はありません。しかし、2日以上続いている場合は、持続性のしゃっくりとも考えられるため、医師に相談するようにしましょう。
持続性のしゃっくりが出る病気として、以下があげられます。
- ・胃食道逆流性
- ・胆嚢疾患
- ・肝炎
- ・膵炎
- ・肺炎
- ・アルコール依存症
- ・脳腫瘍や脳卒中
しゃっくりは、さまざまな病気が原因で発生します。
何年もしゃっくりが続いている方が脳検査をしたところ、腫瘍が見つかり、手術で摘出したらしゃっくりが止まった、ということもあります。
しゃっくりとは関係がなさそうな病気でも、隠されている可能性があるため、何日もおさまらなくて気になる方は病院への受診を検討してください。
睡眠中にしゃっくりが続くときのリスクと注意点

睡眠中にしゃっくりが続く状態を放置していると、以下のようなリスクが存在します。
- ・睡眠の質が低下
- ・身体の疲れやストレスが蓄積する可能性
- ・睡眠障害につながる可能性
それぞれ具体的に解説します。
睡眠の質が低下
しゃっくりが睡眠中に出ていると、眠りが浅くなって、睡眠の質が低下してしまうリスクがあります。この状態が何日も続いてしまうと、体内時計が乱れてしまい、日中の生活への影響も出てしまいます。
- ・集中力や活力の低下
- ・朝起きても眠気を感じる
- ・イライラ感や倦怠感がある
- ・食欲不振や消化不良がおこる
- ・血圧の変動や心拍数の乱れ
睡眠の質の低下は、身体にさまざまな不具合を起こしてしまいます。これらの症状が気になったら、早めに医師に相談するようにしましょう。
身体の疲れやストレスが蓄積する可能性
十分な睡眠が取れてないと、日中の疲れを身体が回復しきれず疲れやストレスが蓄積してしまいます。睡眠不足によって免疫系の働きが低下してしまうと、感染症にかかりやすくなってしまいます。
慢性的な疲労感は、日中の生活の質も低下させてしまいます。ストレスに伴う異常なホルモン分泌により、心身の健康に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
睡眠障害につながる可能性
しゃっくりが長時間続くと、睡眠障害の原因になることがあります。不眠症などの問題も引き起こす可能性があるため、注意しなければなりません。
慢性的な睡眠不足に陥ると、記憶力や判断力の低下、さらには生活習慣病のリスクが高まる可能性もあります。睡眠の質を確保するためには、早めの対策が大切です。
しゃっくりが続く場合に考えられる病気

持続的なしゃっくりの場合、深刻な病気が隠れている可能性があります。
- ・胃食道逆流症
- ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- ・中枢神経系の疾患
- ・呼吸器や消化器のトラブル
たかがしゃっくりと放置するのではなく、しゃっくりが続いている場合は、早めに病院を受診することも検討しましょう。
胃食道逆流症
胃食道逆流症とは、胃酸が食道に逆流して食道の粘膜を損傷させ炎症を引き起こす病気です。胃酸の逆流が横隔膜を刺激して、しゃっくりを誘発するとされています。
食事の後で横になると症状が悪化することがあり、胸焼けや喉の違和感も併発します。胃食道逆流症は、治療せずに放置していると、食道がんにも発展してしまうリスクのある病気のため、必ず医師に相談するようにしましょう。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、何らかの原因によって粘膜の表面が炎症を起こし、深くえぐれたような傷を負っている状態です。胃や十二指腸の粘膜が損傷していると、横隔膜付近の神経が刺激され、しゃっくりが発生することがあります。
これらの病気は、しゃっくり以外にも胃痛や胸やけを伴うことが一般的です。空腹時に強い痛みを感じたり、食後に症状が軽減したりする特徴があります。進行すると消化管出血や胃がんにもなるため早期診断が重要です。
中枢神経系の疾患
脳梗塞や脳腫瘍といった、中枢神経系の病気が原因でしゃっくりが続くことがあります。これらの病気は、横隔膜をコントロールする神経に影響を及ぼして、しゃっくりを引き起こしています。
中枢神経系の病気によるしゃっくりは、言語障害や視覚の異常など、ほかの神経症状と併発することが少なくありません。しゃっくりと併せて、これらの症状が見られた場合には、すぐに病院を受診することが推奨されます。
呼吸器や消化器のトラブル
肺炎などの呼吸器系の病気でもしゃっくりが続くことがあります。咳や発熱といった症状と併発して続いている場合は、呼吸器疾患が原因と考えられます。
肝臓疾患でもしゃっくりは併発することがあり、その際は、黄疸や倦怠感が現れることが少なくありません。
しゃっくりと、これらの症状が同時に起きる場合は、病気が進行している可能性もありますので、早めに医療機関に受診するようにしましょう。
しゃっくりが続く場合の治療方法
しゃっくりには、具体的な治療方法がありません。原因となる病気が特定できれば、病気に対しての治療を行います。
- ・胃食道逆流症では、胃酸を抑える薬で対処する
- ・脳梗塞や脳腫瘍では、原因となる病気の治療や手術
- ・肺炎が原因なら、抗生物質の投与と療養
これらのように、しゃっくりの原因となる病気の治療が優先されます。
しゃっくりを止める薬として、向精神薬が処方されることがありますが、これは、しゃっくりを引き起こしている横隔膜への神経の刺激を遮断してけいれんを抑えるものです。
向精神薬は副作用も強いため、しゃっくりの原因がどうしてもわからないときに、一時的に処方されることもありますが、基本は原因疾患の治療が優先です。
しゃっくりへの対処方法

短時間のしゃっくりであれば、以下の方法で止められることがあります。
- ・深呼吸をする
- ・水をコップ一杯程度飲む
- ・少し息を止める
一時的な対処法ですが、しゃっくりが続くと不快感や不安感を覚える方も少なくありませんので、気になる方はやってみてください。
深呼吸をする
深呼吸をゆっくり行うことで、しゃっくりが止まることがあります。横隔膜をリラックスさせることで、けいれんや収縮を抑えようとするものです。
腹式呼吸を意識するとより効果的です。深呼吸を繰り返すことで、自律神経のバランスが整って、しゃっくりを引き起こしている緊張を和らげる効果が期待できます。
水をコップ一杯程度飲む
しゃっくりを止めるのに、水をゆっくり飲むのも効果的といわれています。ゆっくり水を飲むと横隔膜の副交感神経が刺激されて、しゃっくりが収まるといわれています。ただし、たくさんの水を飲むのではなく、コップ一杯程度に留めるようにしましょう。水を飲む際には、ストローを使うとゆっくり飲みやすくなります。大量に水を飲んでしまうと水中毒
や多飲症などの問題も生じてきますので、しゃっくりがおさまらなくてもコップ一杯程度までにしておきましょう。
少し息を止める
少しの間、息を止めるのもしゃっくりを止めるのに効果的とされています。
息を止めることで、横隔膜の動きを一時的に抑えることができます。しゃっくりの原因である横隔膜のけいれんを止められることがあります。
息を止めるのは、10秒程度を目安に無理のない範囲で行いましょう。息を止めた後に、一気に吐き出すと、横隔膜の緊張が緩和され効果が高まります。
編集部まとめ
睡眠中にしゃっくりが出るのは、ほとんどの場合は、一時的なもので深刻な病気が隠れていることは少ないです。しかし、持続的にしゃっくりが出ている場合や、ほかの病気が疑われる症状も伴っている場合には注意が必要です。
持続的なしゃっくりは、48時間以上続いているかどうかを目安に判断するのもよいでしょう。睡眠の質を守るためにも、原因を特定し適切に対処することが大切です。
もし、気になる症状がある場合やなかなか治らないという場合は、早めに病院を受診しましょう。大きな病気の早期発見・早期治療につながるケースもあります。専門家に判断を仰ぎ、健康維持につなげてみてください。この記事がしゃっくりでお困りの方の参考になりますと幸いです。




