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「食欲が止まらない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「食欲が止まらない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

食欲が止まらないのはなぜ?異常な食欲を抑える方法はある?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
食欲が止まらないのはなぜ?異常な食欲を抑える方法はある?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

マイマイテイリ イマム

監修医師
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許取得。2014年10月に血液悪性腫瘍の研究を志して、神戸大学大学院に入学。2019年3月に医学博士号と日本医師免許を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院などを歴任後、2022年2月新宿アイランド内科クリニック院長に就任。内科全般の疾患を幅広く診療している。

「食欲が止まらない」症状で考えられる病気と対処法

誰しもつい食べ過ぎてしまうことってありますよね。食欲旺盛であることは基本的には喜ばしいことです。ですが、食べても食べても食欲が全く収まらない、食事量をコントロールできない状態がずっと続いているという方、もしかすると何らかの病気が隠れているかもしれません。ここでは、健康な食生活のために知っておきたいすぐに病院に行くべき症状や食べ過ぎで生じる症状の特徴と原因について紹介します。

お腹いっぱいなのに食欲が止まらない症状で考えられる原因と対処法

ふくよかな人に多い病気といえば、糖尿病を思いつく方は多いのではないでしょうか。実際、食欲が止まらない→食事量が増える→体重が増える、というのは、糖尿病に典型的な病態です。日本人の5〜6人に1人が罹患している非常に身近な糖尿病、常に何か食べたいと思っているあなたも実は予備軍かもしれません。

糖尿病

糖尿病とは、体の中の血糖値を下げるホルモン、「インスリン」が十分働かなくなってしまう病気です。高血糖の状態が長く続くことで様々な合併症が生じます。糖尿病の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な症状は、口渇・多飲・多尿の3つです。まず、血糖値が高くなることで、血液がドロドロになります。危険に感じた体がそれを改善するために水を飲むように脳に指令を出します。これが口が乾く(口渇)、大量に水分を飲む行動(多飲)に繋がります。大量に水分をとると、その分尿の量も増え、必然的に多尿になる訳です。喉の渇きの症状が出現した際に注意して頂きたいことは、水分補給はお水かお茶で行って下さい。清涼飲料水や、ジュースは血糖値を上昇させ、さらに喉の渇きがひどくなってしまいます。また、急激な体液バランスの変動で意識状態が悪化することもあるため、水分補給はお水かお茶でこまめに行いましょう。
もしかして糖尿病かもと思ったときには、病院を受診し、診断をつけてもらうのが一番です。糖尿病内科を専門に掲げている病院がベストですが、お近くのかかりつけの内科でも血液検査で簡単に検査をすることは可能です。糖尿病は自覚しにくい病気ということで有名です。つまり、症状が出現してきたときにはかなり進行してしまっていることも少なくありません。早めの受診を心がけて下さい。

急に食欲が止まらない症状で考えられる原因と対処法

ストレスを抱えていたり、ダイエットを頑張っていたり、何らかの負荷がかかったときに一気にドカ食いしてしまうのは致し方ないことです。しかし食事量のコントロールができないことを繰り返す場合、それは神経性過食症という摂食障害が原因かもしれません。

神経性過食症

神経性過食症とは、食べ過ぎてしまう、過食の症状が特徴である病気です。ストレスや過度なダイエットなどが原因となって生じます。自分でコントロールすることが難しく、症状が進行すると致命的な状態になることもあり、入院治療が必要なケースもあります。食べ過ぎてしまう衝動を抑えられない場合には、精神科や心療内科への受診をお勧めします。

生理前後や生理中に食欲が止まらない症状で考えられる原因と対処法

女性ならではのお悩みで、生理前や生理中に食欲が止まらないことが挙げられます。
食欲が増す原因は、女性にとって必要不可欠な妊娠に向けた自然な反応にあります。生理前後で、女性の体の中では、エストロゲン、プロゲステロンという2つのホルモンの分泌量が大きく変化します。エストロゲンは生理が終わると分泌が始まるホルモンです。髪を艶やかにしたり、皮膚の張りを維持したり、女性らしさを保つ働きがあります。プロゲステロンは、生理が始まる2週間前から増加し、生理直前から生理中にかけて最も分泌量が多くなります。プロゲステロンは、妊娠に必要な子宮内膜を厚くして妊娠しやすい状態を整えるはたらきがあります。しかし一方で、むくみがひどくなったり、ニキビができやすくなるといった作用があります。また、食欲が増加することも知られており、感情が不安定になりやすい作用もあることから、食事量のコントロールが難しくなります。生理中のお食事で気にかけていただきたいことは、鉄分を多く含む食事を摂取して頂くことです。生理で体内の鉄分が不足し、自覚症状がなくても貧血気味になっている方もいらっしゃいます。レバー、ほうれん草などを意識的に食べるようにしてみましょう。

ストレスで食欲が止まらない症状が起こりやすい主な原因と対処法

睡眠不足や日々の疲れが蓄積してストレスが溜まり、つい食べ過ぎてしまうということもあります。食欲をコントロールするホルモンに原因がある以外にも、自律神経が原因の可能性もあります。ストレスにさらされると、人間は緊張したときに活性化する交感神経が優位になります。一方で、リラックスしたり、食べものを消化したりする際には副交感神経が働きます。このふたつの働きで、私たちの体は常に健康的な状態を保っています。しかし、睡眠不足や緊張状態が長く持続するとこのバランス感覚が崩れてきます。これにより消化が不十分になり、胃腸の調子が悪くなったり、いつも以上に食欲が出たりするのです。このように睡眠不足、疲れは食欲に深く関わり合っています。生活習慣や食習慣を見直しても自分で解決できない場合には、内科を受診することも検討しましょう。

すぐに病院へ行くべき「食欲が止まらない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

吐き気がある場合は、精神科・心療内科へ

食欲が止まらず、ついつい食べ過ぎてしまうことはありますよね。それはそれで仕方ないですが、ダイエットを頑張っていらっしゃったり、ストレスがかかる職場や人間関係からそうなってしまうこともあるでしょう。さらに食べ過ぎて吐き気がくる、また、実際に吐いてしまったことのある方も一定数いらっしゃるかもしれません。一時的なものであれば問題ありませんが、複数回繰り返す場合は要注意です。1週間に複数回繰り返す場合、神経系過食症の診断基準に当てはまります。また、大量に食べた分を帳消しにしようと極端に激しい運動をすることなどもこれに該当します。お近くの精神科や、心療内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「食欲が止まらない」ときのセルフチェック法

  • ・食欲が止まらない以外に体重が減る場合
  • ・食欲が止まらない以外に疲れやすくなる場合
  • ・食欲が止まらない以外に体重が増える場合

「食欲が止まらない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「食欲が止まらない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

栄養不足

栄養不足?こんなに食べているのに!となる前に、まず食生活を見直してみましょう。栄養バランスに偏りはないでしょうか。より具体的には、3大栄養素「炭水化物」、「タンパク質」、「脂質」に着目しましょう。たとえ3食食べていたとしても、甘いお菓子や、菓子パン、インスタントフードばかりになっている方は要注意です。これらの食品は、高カロリーである一方、タンパク質が不足しがちです。タンパク質が不足するとどのような症状が起きるのでしょうか。タンパク質は、筋肉に多く貯蔵されています。また、体内に入ってきた病原菌に対して抵抗力を発揮する抗体は、免疫グロブリンというタンパク質から構成されています。つまり、タンパク質不足は筋力低下とそれによる肥満や、感染症に対する免疫力低下に直結します。最近食生活が乱れているせいか、どうも食べ過ぎてしまう、そんな場合はまず生活習慣、食事内容の見直しが必要です。もし風邪に罹りやすくなったり、症状が長引くことが増えた、全身の怠さがずっと続いているといった場合はかかりつけの医院を受診してみましょう。血液検査で栄養に関する項目を調べることができます。血中の総タンパク質や、肝臓で生成されるアルブミンというタンパク質量、栄養状態と相関するリンパ球数も調べることができます。

摂食障害

摂食障害のうち、食べ過ぎてしまうものが神経性過食症という病気です。
若い女性に多い疾患でストレスや、過度なダイエットなどが原因となって生じます。ご本人は過食を見られたくないと考える傾向にあり、誰かに見られないように隠れて過食を行っているケースが多いです。過食は繰り返し起きる症状で、明らかに多い量の食事を限界を超えて食べることから、嘔吐がよく見られます。また、その過食の反動から激しい運動をしたりすることも多いです。神経性過食症の患者さんは、ご自身が病気であると自覚されている場合が多く、病院を自発的に受診するケースが多いです。基本的には通院しながら治療を行いますが、症状が強く出ている患者さんや、ストレスの要因を減らすことが外来治療では難しい場合は入院するケースもあります。過食の症状は良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら進行するため、医療機関の受診を自己中断してしまったりされるケースも多いです。一旦良くなっても、何らかの精神的な負荷がかかった際に症状が出てくることは珍しくないので、根気良く治療することが大切です。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群は、生理前3日から10日の間、精神的な側面と、肉体的な側面で起こる様々な症状を指していいます。精神的な症状としては、怒りっぽくなったり、気分が落ち込んだり、眠気が強くなったりすることが挙げられます。身体的な症状としては、食欲が増したり、反対に減退したりします。また、頭痛や腹痛などが見られる場合もあります。原因としては、諸説ありますが、女性特有の生理前のホルモンバランスの変化が最も考えられています。生理前は、プロゲステロンの分泌が増加し、むくみや、食欲が増加したりする作用が起きるのですね。さらに、月経前は、味覚が鈍ることもあります。これによってより塩辛いものであったり、甘味が強いものを求める傾向にあり、食生活のバランスが崩れやすくなります。血糖値が急激に上昇すると、糖尿病についての説明でお話ししたように、すい臓からのインスリン分泌が誘発され、血糖値は時間とともに低下します。しかし、血糖値の上下が激しいことで、より空腹感もましてしまい、悪循環になってしまいます。血糖値をなるべく安定させる工夫としては、1日当たりの食べる量は変化させず、食事の1回の量を減らし、食べる回数を増やすことです。これにより、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。是非試してみてください。

うつ病

うつ病は、食欲、性欲、睡眠欲といった、人間の基本的な本能が阻害される病気です。基本的にうつ病の患者さんは、食欲低下、不眠、性欲低下といった、生理機能が低下する症状が出現します。しかしこれとは反対方向の症状が出現するうつ病も近年注目されており、非定型うつ病と呼ばれています。非定型うつ病の患者さんには、過食、過眠といった症状が見られます。そもそもうつ病は、薬理学的な病態としては、脳内のセロトニンというホルモンの神経伝達の低下が原因とされています。現在のうつ病の薬物療法は、このセロトニンをコントロールすることが第一選択の治療法になっています。一方、炭水化物の摂取が脳内のセロトニン分泌を刺激して結果的に抑うつ気分が改善することから、うつ病患者が過食を引き起こす原因とされています。一時的に気分が落ち込み、数日ですぐ回復する場合は問題ありませんが、症状が2週間ほど持続している場合や、生活に支障が出る場合は、早めに病院を受診しましょう。精神科や心療内科にかかることで、適切な診断と治療を行いましょう。

「食欲が止まらない」ときの正しい対処法は?

食欲が止まらないときは、食事内容もそうなのですが、何がそうさせているのか、原因を探ることも大切です。日々の生活でストレスを感じていませんか?ストレスを感じると、ドーパミンや、ノルアドレナリンといったホルモンが分泌されます。ドーパミンは、摂食中枢に直接作用し、食欲を増加させます。ノルアドレナリンは、心臓の全身に血液を送り出す作用を強め、血管を収縮させ、血圧を高める作用があります。一方で、食事からとった栄養を内蔵や皮下の脂肪に蓄積させる作用もあり、これによって食べたものがそのまま体に蓄えられてしまいます。ストレスは人間関係だけではありません。睡眠不足も体にとっては大きなストレスです。規則正しい睡眠を心掛けるようにしましょう。
たくさん食べてしまったり、痩せたい願望が強い方は、食事だけでなくて、痩せ薬を処方してほしいという方もいらっしゃるかもしれません。日本にもやせ薬はありますが、認可されている肥満症に対する薬剤は少数です。これは薬に依存性があったり、副作用で極端に体重減少をきたす可能性があるためで、患者さんの「痩せたい!」という希望のみで処方するこがむつかしい場合もあるのです。注意していただきたいのは、海外の痩せ薬に安易に手を出すことは控えてください。過去に複数の死亡事例を含む重大な合併症が報告されています。内分泌内科など専門の医療機関を受診して処方してもらうようにしましょう。

「食欲が止まらない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食欲が止まらない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

食べても止まらない食欲を抑える方法はありますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

何らかのストレスや、疲労が溜まったときに、一時的に食べる分には問題ありません。
ただ、長引く場合や、繰り返す場合、明らかに量が多い場合は原因を調べ、適切に対処することが必要です。糖尿病や、栄養の偏りがある場合など、食生活や生活習慣が原因なら、食事や生活リズムの改善が必要です。女性の場合は生理の周期に同期して症状が見られるようなら、食事内容をご自身の周期に合わせて変更することも有効です。精神的なストレスを感じている場合は、少しそこから距離をとったり、難しいようでしたら医師に相談し、うつや神経性過食症などの原因がないかを調べてもらうのも選択肢の1つです。

食欲が止まらないのは栄養不足なのでしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

もちろん、食事で摂取している栄養素が必要量を下回っている場合、空腹が生じることはあります。しかし、十分量食べているのにお腹が減るのは食事バランスの問題があるかもしれません。
まずはご自分が食べている食事のバランスを3大栄養素に着目して振り返ってみましょう。高カロリー、低タンパクな食生活が長く続いている方は要注意です。

食欲が止まらないのですがホルモンバランスが原因ですか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

食欲の中枢は、脳の視床下部という部分にあります。
ここには血糖値を司るホルモンであるインスリンや、エストロゲン、プロゲステロンといった女性ホルモンの分泌刺激を司る機構も存在しています。また、その他さまざまなホルモンや化学物質の受容体があり、相互作用しています。糖尿病や、女性ホルモンといったホルモンバランスが、食欲と密接に関与することは前述した通りですが、構造的にも連動していることから食欲の作用に大きな影響を及ぼすことはお分かりいただけるかと思います。

過剰な食欲と睡眠不足や疲れに関連性はありますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

交感神経と副交感神経のバランスの乱れ、いわゆる自律神経失調状態であると睡眠不足、疲れになりやすく、また食欲の状態にも関連します。

まとめ

今回は、食欲が止まらない症状に対して、医学的な観点からさまざまな病気の可能性や注意すべきことについてみてきました。食事は誰もが日々の生活の中で、幸せを感じることができる大切な時間です。1日1日の積み重ねが今の私たちであるように、食事も日々その内容に気をつけ、意識することで健康的な食生活を手に入れることができます。どうしても心配なときや、何らかの症状が出たときは私たち医療者にご相談下さい。

「食欲が止まらない」症状で考えられる病気

「食欲が止まらない」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

精神科の病気

婦人科の病気

栄養が偏ってしまうなどすると体調を崩す原因になりますので、自分で食欲を抑えることが難しい場合には、早めに医療機関へ相談することをお勧めします。

「食欲が止まらない」に似ている症状・関連する症状

「食欲が止まらない」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「食欲が止まらない」症状の他にこれらの症状がある場合でも「甲状腺機能亢進症」「栄養障害」「糖尿病」「神経性過食症」「摂食障害」「うつ病」「睡眠障害」「月経前症候群」などの疾患の可能性が考えられます。
セルフケアで改善しない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。