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「朝起きれない」のは「うつ病」や「起立性調節障害」が原因?医師が徹底解説!

「朝起きれない」のは「うつ病」や「起立性調節障害」が原因?医師が徹底解説!

朝なかなか起きられなくて遅刻ギリギリになってしまうことがあったり、アラームを何度もスヌーズさせてしまったりといった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

起きなければと思っているのに、スッキリと起きられないのはなかなか辛いものです。中には病気が原因で朝起きられなくなっているケースもありますので注意が必要です。

この記事では、朝起きられない原因・対処法・スッキリと目覚める方法を解説しています。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

朝起きられない原因と対処法

朝起きられないのにはいくつかの原因が考えられます。原因を突き止め適切な対処をすることで改善できる場合もありますので、思い当たる原因を探してみてください。

寝不足が原因の対処法

朝起きられないときにまず疑うべき原因として寝不足を挙げることができます。日本人は慢性的な寝不足に悩まされている人も多く、中には自分でも気付いていないうちに寝不足の状態に陥ってしまっていることもあるので注意が必要です。寝不足が原因となって朝起きられない場合、対処法は寝不足を解消することです。成人が一日に必要な睡眠時間は、およそ7~9時間だといわれています。しかし慢性的な寝不足を解消するためには、休日にたくさん寝てもあまり意味がありません。1日7時間前後の睡眠時間を毎日確保し、その睡眠習慣を続けることが大切です。夜なかなか眠れなくて睡眠時間を確保することが難しいと感じている場合は、部屋を暗くするなど入眠しやすい環境を整えましょう。

ストレスが原因の対処法

人はストレスが溜まると自律神経が正常に機能しなくなり、睡眠に悪影響を及ぼすことがあります。眠りが浅くなったり、朝になってもスイッチが入らずなかなか起きられなくなったりなどの事態が起こってしまうのです。ストレスの原因は主に気温の急激な変化や、生活面において不安や緊張を感じていることなどが挙げられます。ストレスが原因で朝起きられなくなっていると感じた場合は、ストレスを取り除くことが解決への近道です。具体的な対処法として、以下の3点を実践することをおすすめします。

  • 音楽を聴いたりアロマを焚いたりして、自分なりのリラックス方法を見つける/li>
  • 適度な運動とバランスの取れた食事を心がける/li>
  • 趣味や旅行などで気分転換を図る

それでもなかなかストレスが解消しない、常に憂鬱な気持ちでいることが多いといった場合にはうつ病などの病気が潜んでいることが疑われます。うつ病などの病気が疑われる場合は速やかに病院を受診し、自分が今どのような状態にあるのかを診察してもらいましょう。

病気が原因の対処法

朝起きられないのは病気が原因になっているケースも考えられます。寝不足やストレスを改善してもなお起きられない状態が続く場合には、病院を受診してみることをおすすめします。この場合に受診する科は、内科・精神科・心療内科です。ただ眠れない状態が続き、心身に異常をきたしていないと判断できる場合は内科を受診してください。眠れないことが原因で倦怠感や疲労感・集中力の低下など心身に影響が出ている場合は、精神科もしくは心療内科を受診することをおすすめします。
 

朝起きられない場合に考えられる病気

どうしても朝起きられないという日が続く場合、寝不足やストレスの他にも病気が原因として潜んでいることがあります。起きられない原因が病気にあると考えられる場合は自分で解決することが難しいため、心療内科もしくは精神科を受診してください。早めに治療を開始することが、早期の回復に繋がります。

概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害(がいじつりずむすいみんしょうがい)とは、体内時計に狂いが生じ、社会生活を営むうえで望ましい生活時間帯と大きくずれてしまう病気です。人の体内時計は1日約25時間で、地球の1日24時間の周期とはおよそ1時間のずれがあります。健康な状態のときは、日常生活で光・食事・運動などのさまざまな刺激(同調因子)を受けることによって体内時計の約1時間のずれを修正しています。この体内時計の1日約25時間の周期と、地球の1日24時間の周期を長期に渡って修正できない状態が続くと睡眠のリズムに狂いが生じてしまい、身体的な不調が現れるようになってくるのです。概日リズム睡眠障害の主な症状としては以下が挙げられます。

  • 眠気
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 立ちくらみ
  • 食欲不振

概日リズム睡眠障害は生活習慣が原因で起こりやすく、体内時計を整える治療を行う必要が出てきます。

起立性調節障害

起立性調節障害は、自律神経のバランスが崩れることにより発症する病気です。十分な量の血流が身体や脳に行き渡らないことによりさまざまな症状が現れます。主な症状は以下の通りです。

  • 朝起きられない
  • 立ちくらみ
  • めまい
  • 慢性疲労
  • 思考力の低下

主に午前中に強く症状が現れ午後には落ち着くことが多いため「怠けている」と誤解されやすいのが特徴となっています。この疾患は思春期前後の小児期に多く発症し、成長とともに治まっていく傾向があります。また、小児期に発症した患者の約40%は大人になってからの再発(または症状の継続)が確認されており、長い付き合いになる可能性も否めません。起立性調節障害を発症すると、朝起きられず学校や会社に遅刻してしまったり、午前中はぼんやりとしてしまいなかなか集中できなくなってしまったりといったことが起こります。しかし病気である以上、本人の意思や努力でどうにかなるものではありません。早期に病院を受診し、適切な治療を受けることが必要です。

うつ病

うつ病というと気分が落ち込む病気をイメージする人が多いかもしれませんが、朝起きられないことにも深く関わっています。うつ病はストレスなどの精神的な重圧が引き金となり発症し、主な症状は以下の通りです。

  • 朝起きられない
  • 逆に早朝に覚醒してしまう
  • 朝は無気力で夕方になると元気が出てくる
  • 気分が落ち込んで何をしても楽しいと感じられない
  • 倦怠感・疲れやすい
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 息苦しさ・喉の違和感 など

症状には個人差がありますので、全てが当てはまるわけではありません。また、うつ病は自分でも知らないうちに発症しているケースが多いことも特徴です。特に早朝に覚醒してしまったり、朝は無気力で夕方になると元気がでてきたりする症状が見られた場合には、早めに心療内科もしくは精神科を受診してください。

朝スッキリ目覚めるための方法

朝のスッキリとした目覚めは一日の活力源になります。朝スッキリと目覚めるためには、脳に「朝だから起きましょう」と信号を送ることがポイントです。とはいえ特別難しいことをする必要はありません。スッキリとした目覚めのために毎朝取り入れやすい習慣をご紹介しますので、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみてください。

朝陽を浴びる

太陽光などの強い光には、体内時計を調整してくれる働きがあります。また、日光を浴びることによって脳内で働く伝達物質のひとつであるセロトニンが作られます。セロトニンが不足すると、うつ病や睡眠障害の原因になってしまうのです。光には、浴びてからおよそ14時間以降に眠気が生じてくるという効果があります。朝はなるべく毎日同じ時間に起きて、すぐに朝日を浴びる習慣を付けましょう。朝に光を浴びると夜寝付く時間が早くなり、結果的に早寝早起きのリズムが整ってくるのです。朝日を浴びるには、窓から1m以内に入ることが効果的だといわれています。朝起きたら部屋のカーテンを開け、窓辺でニュースをチェックしたり、朝食を摂ったりすると無理なく続けられるのでおすすめです。

軽く身体を動かす

人間の脳は、体温が上がると覚醒する仕組みになっています。

  • 手をグーパーする
  • 脚をバタバタさせる
  • 身体を左右にゴロゴロ転がす
  • 大きく伸びをする

朝起きたら布団の中で上記のような動きを実践してみてください。徐々に体温が上がり、スッキリと目覚めやすくなります。

就寝前の習慣を見直すことも大切

朝スッキリと起きられるようにするためには、就寝前の習慣を見直して眠りの質を高めることも大切です。上質な眠りのためには副交感神経を活発にさせ、心と体を「お休みモード」へいざないましょう。おすすめは心臓への負担が少ない半身浴です。ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かりリラックスすることで、心身の緊張がほぐれます。入浴は就寝の2~3時間前に済ませることが理想的だとされています。好きな音楽を聴いたり静かに読書をしたりするのも効果的です。気分を落ち着かせる効果のあるラベンダー・ベルガモット・オレンジなどのアロマを焚くのもおすすめです。寝付きが良くなると思われがちなお酒は、眠りが浅くなってしまい早朝覚醒の原因になります。睡眠にとっては悪影響を及ぼしますので、寝る前の深酒は避けてください。睡眠の質を向上させるためには、リラックスして眠ることができる環境づくりも大切です。まずはベッドや布団の固さ、枕の固さや高さは自分に合ったものを選びます。そして寝室の照明は赤っぽい暖色系の照明を使い、就寝時間に合わせて照度も落としておきましょう。温度や湿度にも注意が必要です。快適な睡眠のためには室温は20℃前後、湿度は40~70%程度を保つと良いとされています。また、就寝前にスマホ・PC・テレビの画面を注視すると脳が覚醒してしまい、上質な睡眠の妨げとなります。就寝前はこれらの画面を極力見ないように努めましょう。

まとめ

朝起きられないと体が辛いだけでなく、学校や会社などで社会生活を送るうえでも支障をきたしてしまう恐れがあります。

自分でも気付かないうちに睡眠不足に陥ってしまっていることもあるので、自分の睡眠習慣を一度見直してみると良いでしょう。

また、朝起きられない原因には病気が潜んでいる可能性もあります。

病気が原因で朝起きられなくなってしまっている場合は、本人の努力だけで改善することが困難です。

朝起きられない状態が続くようなら、早期改善のためにも専門の医療機関を受診することを検討してみることをおすすめします。

朝起きられない原因を突き止め、適切な対処をしてスッキリとした朝の目覚めを手に入れましょう。

この記事の監修医師