「ほてり」は「更年期障害」や「自律神経失調症」が原因?医師が監修!
発熱があるわけでもないのに、体や顔が急に熱くなった経験のある方もいるのではないでしょうか。
体や顔が強い熱感を持った状態のことを、一般的にほてりと呼びます。
ほてりといえば更年期障害を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は更年期障害だけがほてりの原因ではありません。
今回は、ほてりの原因・対処法・よくある質問などについてお話していきます。急にやって来るほてりに悩まされているという方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
ほてりは更年期障害の代表的な症状
顔や体の急なほてりは、更年期障害で起こるものだというイメージを持っている方も多いでしょう。更年期障害で起こるほてりはホットフラッシュと呼ばれる症状のうちのひとつであり、経験したことがある方もいるのではないでしょうか。
ホットフラッシュについて詳しくみていきましょう。
ホットフラッシュとは
ホットフラッシュとは、更年期障害の症状のひとつでほてり・のぼせ・発汗などが起こります。
発熱や運動などといった原因がないにもかかわらず急に体や顔が熱くなり、寝ている時に起こった場合には寝巻がびっしょりになるほど汗をかいてしまうケースもあります。
ホットフラッシュの多くは数分で収まりますが、起こる頻度には個人差があり、1日に何度も起こることもあるのが特徴です。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の主な原因は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが揺らぎながら低下していくことだといわれています。
さらに発症には、加齢などの身体的因子・育った環境や性格といった心理的因子・人間関係などの社会的因子が関わり合っているとも考えられています。
更年期障害ではホットフラッシュのほかにも動悸・頭痛・肩こりといった身体的症状や、情緒不安定・不眠・無気力といった精神的症状が起こることがあるのも特徴です。
更年期障害以外でほてりを引き起こす病気
顔や体の急なほてりが起こるのは更年期障害だけとは限りません。甲状腺機能亢進症や自律神経失調症といった病気でもほてりが起こることがあるため、しっかりと見分けて対処することが大事になってきます。
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
甲状腺機能亢進症
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの分泌が盛んになった状態を甲状腺機能亢進症といいます。女性に多い病気で、バセドウ病とも呼ばれます。
甲状腺機能亢進症は、TSH受容体抗体・甲状腺刺激抗体といったたんぱく質が直接甲状腺を刺激し、血中の甲状腺ホルモンの濃度が高くなってしまった状態です。ほてりや発汗のほか、動悸・疲れやすい・生理不順・体重減少・指先の震えなどの症状がみられます。
首に柔らかめの腫れがあり、血中の甲状腺ホルモン値が高い場合には甲状腺機能亢進症が疑われるでしょう。甲状腺機能亢進症の治療は抗甲状腺薬を用いて行われるのが一般的です。
更年期障害とは治療法が異なるため、更年期障害なのか甲状腺機能亢進症なのか分からないという場合には、医師の診察や検査を受けて判別することが大事です。
自律神経失調症
もうひとつ、更年期障害と似たほてりの症状が出る自律神経失調症があります。
自律神経失調症とは、自律神経のコントロールがうまくいかなくなることによってみられるほてり・動悸・めまい・腹痛・頭痛・全身倦怠感・のどの詰まりなどさまざまな症状の総称です。
自律神経失調症の原因としては起こりやすい体質・ストレス・精神症状などが挙げられますが、原因を区別するのが難しいケースもあります。
自律神経失調症はストレスが原因となって起こることも多いため、予防するためにはなるべくストレスを溜めないようにし、リフレッシュできる方法をもつようにしましょう。
ほてりの対処法
顔や体の急なほてりは適切な治療を受けることによって対処できます。
症状が強く辛い場合には、適切な治療を受けるようにしましょう。顔がほてった場合、身体がほてった場合の対処法について解説していきます。
顔の場合
顔にほてりがある場合、まずは発熱によるものか、そうでないものか見分ける必要があるでしょう。検温をしてみて熱がない場合やほかに動悸・頭痛・イライラなどの症状がある場合は、更年期障害によるほてりが考えられます。
更年期障害だった場合で症状がひどい場合には医師に診てもらい、ホルモン補充療法(HRT)などの治療を受けるのがよいでしょう。
ホルモン補充療法は、ほてりやのぼせといった症状には特に効果があるとされています。
身体の場合
身体にほてりが起こった場合にも、まずは原因を確認することが大事です。身体のほてり以外に、どんな症状があるか確認しましょう。
そのうえで更年期障害が原因だった場合には、ホルモン補充療法(HRT)や食事療法などを行って症状の緩和をはかりましょう。
同時に、ストレスを溜めないことや規則正しい生活をすることも大事になってきます。
寝ている時にほてりが起こってたくさん汗をかいてしまう場合には、枕元に着替えを用意しておくとよいでしょう。また、日中は体温調節のしやすい服装がおすすめです。
すぐ病院に行った方が良い「ほてり」症状は?
日常生活に支障が出る場合や、薬の副作用としてほてりが出て服薬を続けることがつらい場合は、近日中に医療機関を受診しましょう。
行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、内科、循環器内科、内分泌内科、婦人科です。
問診、診察、血液検査、画像検査(CTやMRIなど)、自律神経機能検査などを実施する可能性があります。
病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬・外用している薬がある際には、医師に申告しましょう。
いつから症状があるのか、症状が出現する頻度はどの程度か、他に気になる症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。
治療する場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
まとめ
発熱時や運動後など以外に顔や身体にほてりが見られる場合、更年期障害・甲状腺機能亢進症・自律神経失調症などであることが考えられます。
原因によっても治療や対処法が違ってくるので、まずはどのような原因でほてりが起こっているのかを確認することが大事です。
そのうえで、原因に合った治療や対処を行いましょう。
更年期障害によるほてりが辛い場合は、婦人科を受診してホルモン補充療法(HRT)を行うことで症状を緩和することができます。
なかには、男性でも更年期症状の症状が出てほてりがみられることもあります。
40代後半くらいから急に身体や顔のほてりを感じるようになった男性は、更年期障害を疑ってみてください。
顔や体のほてりに辛さを感じる方は、まずは医師の診察を受けることをおすすめします。