「セックス依存」の原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!
自身がセックス依存症ではないかと悩んでいるものの、恥ずかしくて誰にも相談できないという方もいるのではないでしょうか。性に関することであるため、周りの目が気になる方も多いかもしれません。
しかし、このような依存症は自然に治る例は少なく、病院などで治療を受けて改善する必要がある場合が多いです。
今回は、セックス依存とはどのようなものなのか解説をします。症状・原因・リスクに加え、パートナーが依存状態になってしまった場合の対処法・注意点についても紹介するのでぜひ参考にしてください。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
セックス依存(性依存)とは
セックス依存とは、性依存とも呼ばれる病気です。過剰なまでに性的な欲求が高まってしまうため、恥ずかしいと感じて誰にも相談できず困っている方も多いかもしれません。
まずは、このような依存は治療しないと治らないという意識を持って、ためらうことなく専門医に相談しましょう。症状や原因及びリスクなどを理解して、適切な対策を講じましょう。
セックス依存の症状
セックス依存になると、どのような症状が表れるでしょうか。依存状態になると、過剰に性行為を求める状態が継続します。単に性欲が強く性行為を好んでいる状態とは異なり、衝動的な行動に歯止めがかけられない状態に陥ってしまいます。
頭の中が性行為のことでいっぱいになってしまい、場合によっては法に触れて刑罰の対象となる行動をしてしまうケースもあるでしょう。自身の性的衝動が問題になることがわかっていても、どうしても止められない苦しい症状が表れます。
セックス依存の原因
依存状態となる原因としては、様々な要素があると考えられています。その多くは、精神的な問題であるケースが多いです。例えば、以下のようなことが原因となりやすいと考えられています。
- 親子関係の問題
- 過去のトラウマ
- ストレス・不安・焦燥感
- 現在の置かれている環境
また、他の依存症の影響を受けるケースもあるとされています。改善するためには、その原因がどこにあるのか、整理して解明する行程が必要になるでしょう。
自分だけで考えても原因を特定できないケースも少なくありません。少しでも違和感を覚えた場合は、恥ずかしがることなく専門医に相談することをおすすめします。
セックス依存のリスク
セックス依存に陥った場合には、どのようなリスクがあるでしょうか。性行為自体は、相手との合意を得たうえで行う分にはもちろん問題にはなりません。
しかし、衝動的に欲求を抑えられず、相手の気持ちを無視した行動を取ってしまう場合が多いのが問題です。依存してしまうリスクとして、代表的な事項を以下に4種類紹介します。
- 性感染症
- 不貞行為
- 望まない妊娠
- 性犯罪
リスクをしっかりと理解し、問題ある行動を起こす前に対策を講じましょう。
性感染症
不特定多数と性行為を行ってしまうことで、性感染症にかかるリスクが高まります。性感染症とは、性行為によって感染する病気の総称です。以下のような疾患があります。
- 性器クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- 性器ヘルペス感染症
- エイズ
性感染症は、放置していると性器などに炎症が起こって慢性化し、場合によっては不妊症につながってしまう恐れがあります。性病を持っている方との性行為により、伝染してしまう病気です。
不貞行為
不貞行為は、民法に離婚事由として定められている行為です。既婚者が、配偶者以外の者と性的関係に及ぶことを指します。
セックス依存になってしまうと、相手の意思に関係なく、衝動的に性行為への欲求が止められなくなってしまいます。配偶者がいる既婚者が依存状態となると、配偶者以外の方と性行為をしてしまい不貞行為と認定されてしまうでしょう。離婚につながり生活が一変してしまうリスクが考えられます。
望まない妊娠
セックス依存になり、頻繁に性行為を行ってしまうことで、望まない妊娠につながってしまうリスクがあります。避妊をきちんとしておけば妊娠に発展しない可能性は高いでしょう。
しかし、このような依存の場合は衝動的に性行為に及んでしまうため、正しい避妊をしないケースが多いです。妊娠してしまった場合、堕胎するための費用がかかりますし、何より女性にとっては精神的に大きな苦痛を背負ってしまうでしょう。
性犯罪
セックス依存になると、性犯罪に及んでしまうリスクが高まってしまいます。性犯罪とは、刑法上の強制性交等、強制わいせつなどの性的な犯罪のことです。レイプや痴漢などが代表例で、本人が厳しく罰せられるのはもちろん、性犯罪の対象となる方に身体的・精神的ダメージを与えてしまうでしょう。
性犯罪に及ぶことをどうしても止められない場合もあるかもしれません。しかし、依存症だから仕方がないということにはならず、犯罪であることに変わりはないため、取り返しのつかないことになってしまいます。
- メディカルドック
セックス依存の治療方法
セックス依存になってしまった場合は、どのような治療方法があるのでしょうか。治療せず放置してしまっていると、前述のリスクで紹介したように、取り返しのつかない問題に発展してしまうかもしれません。
治療方法について理解をして、できるだけ早く対処しましょう。専門医に相談して、早めの治療に取り組むことをおすすめします。
薬物療法
セックス依存の治療方法としては、薬物療法が挙げられます。薬物を活かして、以下のような効果を取り入れます。
- 性欲の抑制
- 衝動性の抑制
- 強迫観念・強迫行為の緩和
薬物によって直接的に依存症が治療されるというわけではありません。以上のような問題行動を抑えた生活を送り、正常な生活スタイルを確立することが最終目標です。
認知行動療法
セックス依存の治療方法として、認知行動療法も用いられます。認知行動療法とは、精神療法の一種で、認知に働きかけて気持ちを楽にする手法です。ストレスに上手に対応できるこころの状態を作っていきます。
セックス依存に陥る原因には、精神的なものが多くあります。認知行動療法で精神的なストレスと上手に取り組めるようになれば、症状が改善されると考えられるのです。ストレスや孤独感・不安などを受け入れ、コントロールできるようになれば、依存症の状態も改善に導ける可能性が高くなります。
パートナーがセックス依存の場合の注意点
もしパートナーがセックス依存になってしまった場合には、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。
パートナーに依存の傾向がみられるようになってしまった場合に、まず問題となるのが、浮気・不倫でしょう。衝動的に誰とでも性行為を行いたくなる状態になるパートナーに対して、冷静に対処するのは難しいかもしれません。依存症の状態に陥っていることを理解できていないと、なおさらパートナーの行動を浮気・不倫ととらえてしまい、許すことはできないでしょう。
パートナーの行動に疑問を感じた場合には、早めに専門医に相談をして、対応方法を検討するのが良いです。
この依存は、すぐに治るようなものではありません。ストレスや不安などの精神的な原因を究明し、生活習慣から改善していく必要があります。時間がかかることも多いかもしれませんが、パートナーとの関係を継続するためにも、根気よく対処することが求められます。
まとめ
セックス依存は、自分が気付かないうちに陥ってしまっている可能性があります。また、個人の性に関することですので、周りに相談するのが恥ずかしいと感じてしまう方も多いでしょう。
しかし、依存状態を放置したままで改善される可能性は低いです。そのままにしていると、浮気・不倫や不貞行為に及び、場合によっては性犯罪に関わってしまう危険性も考えられます。
少しでも違和感を覚えたら、早めに専門医に相談をしましょう。また、パートナーの行動に不信感を抱いたら、相手の浮気・不倫を咎める前に、セックス依存の可能性を疑ってみるのも重要です。