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「肺が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が徹底解説!

「肺が痛い」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が徹底解説!

疲労やストレスが溜まったときに肺が痛くなったり、心臓を圧迫されるような苦しさに襲われたりした経験はありませんか?

肺が一時的に痛むときはゆっくり休養をとれば回復していきますが、息切れや動悸などを伴うときは何らかの症状が進行している危険性があります。

そこで以下では肺にどんな痛みが走るのかを場合分けして原因を探り、考えられる病気の症状や治療方法をご紹介していきます。特にたばこを吸う人はしっかり確認してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肺が痛い症状と原因

まずは大前提としてですが、肺自体には痛覚神経がありません。そのため実際に肺が痛むことはなく、肺を包む膜(胸膜)・肋間神経・心臓の痛みが原因であることを抑えておきましょう。よって肺の痛みから原因を探るときは、痛みの種類を参考にすることが基本です。針を刺すような痛み・電気が走るような感覚・圧迫感のある苦しさなど、どのような症状があるかを確かめてみてください。ここでは4つのパターンに分けてご紹介していきます。

肺がチクチク痛む症状の時の原因

肺がチクチク痛むときは、ストレスや寝不足などによる自律神経の乱れが原因であることがほとんどです。落ち込みやすかったり、疲れが溜まったりしている人によく見られます。なかでも心臓に異常がないことが明らかでありながら、胸が痛むことによる恐怖心で心臓病を疑ってしまう「心臓神経症」という症状が代表的です。痛みとともに動悸や息切れなども見られるときは、できるだけリラックスできる環境に身を置くようにしましょう。場合によってはカフェインの摂りすぎや高血圧の初期症状であることも考えられるので、生活習慣を見直すことも大切です。

肺がピリピリと痛む症状の時の原因

ピリピリと電気が走るような痛みを感じるときは「肋間神経痛」を発症している可能性が高いです。肋骨に沿って痛みが走っているときはほぼ確定と言っていいでしょう。過去に肋骨を骨折していたり、肺の手術を行ったりしている人は発症しやすくなります。肋間神経痛に関しては次項で紹介しているので、細かな原因や症状の参考にしてみてください。

息を吸うと肺が痛む症状がある時の原因

息を吸ったタイミングで肺が痛むうえ、やや呼吸の苦しさもあるときは「自然気胸」を発症していることが考えられます。自然気胸は何らかの影響を受けて肺に穴が空いてしまい、漏れだした空気が臓器を圧迫してしまうという症状です。この「何らかの影響」とは、身体の急速な成長や喫煙などが挙げられます。特に25歳未満の男性は短期間で身長が伸びることがあるため、臓器の成長が間に合わないと自然気胸を発生しやすいです。

強い痛みが15分以上続く症状がある時の原因

長時間肺が痛むときは「虚血性心疾患」や重度な「気胸」である可能性が高いですが、肺を包む2枚の膜が炎症を起こす「胸膜炎」であることも考えられます。胸膜炎は体勢を変えたときに痛みやすい症状ですが、併せて息を吸うときに痛みが走ったり、発熱や咳などを伴ったりすることもあります。また炎症を起こした膜を起点として肺の内部に水が溜まると、圧迫されるような強い痛みが襲うので危険です。呼吸困難に陥る可能性も十分に考えられるので早急に対処しないといけません。

肺が痛い症状が現れる代表的な病気

肺が痛いと感じていても、病気の原因は肋骨や心臓の筋肉が根本的な要因になっている場合もあります。
一時的なストレス性のときは別ですが、なかには重い病気の前兆として痛みが現れている可能性も示唆されるので注意してください。ここでは代表的な病気を3つご紹介します。

気胸

気胸とは何らかの影響で肺に穴が空き、空気が漏れだす症状を指します。交通事故などによって肺を直接傷つけた際に起こるのが「外傷性気胸」、何の前触れもなく突発的に発生するものを「自然気胸」と呼びます。主な症状は呼吸困難・乾いた咳・胸の痛みです。一般的に漏れだした空気は体内に溶け込まれていきますが、うまく処理がされないと他の臓器を圧迫してしまう恐れがあります。特に正常な肺や心臓を押しつぶしてしまうと呼吸困難が加速し、最悪の場合は命に関わります。治療は注射針を刺して溜まった空気を逃がすことが基本です。自然気胸で特に緊急性がないときは経過観察で終えることもあります。ただし喫煙の頻度が多い方や過去に肺の疾患を経験している方は重症化しやすいので、異変を感じたら素早い対応を心がけましょう。

虚血性心疾患

虚血性心疾患は労作性狭心症・異型狭心症・不安定狭心症・急性心筋梗塞の4つの症状の総称です。いずれも肺や心臓に痛みを伴ううえ、それぞれ以下の症状や特徴がみられます。

  • 労作性狭心症:顎・歯・みぞおちの痛みや圧迫感を伴う
  • 異型狭心症:特に朝方の決まった時間に痛みを発症する
  • 不安定狭心症:比較的安静時に、これまでにない胸の痛みを20分程度発症する
  • 急性心筋梗塞:胸を締め付けるような痛みが30分以上続き、冷や汗が出る

これらのどの症状であっても、根本の原因となっているのは生活習慣病が大半です。糖尿病や高血圧である人は特に注意が必要ですが、その他にも運動不足・飲酒・ストレスなど理由はさまざまあります。治療法は動脈硬化を改善する薬を投与することを基本として、日常の中から病気に繋がる危険因子を取り除いていきます。健康的な食生活や運動習慣が身についていれば、発症する確率は格段に下がる病気です。

肋間神経痛

肋間神経痛は字のとおり、肋骨の流れに沿って走っている「肋間神経」が痛む症状を意味します。締め付けられたり圧迫されたりするような痛みではなく、電気が流れるようなビリビリとした痛みを発症するのが特徴です。基本的には脇腹や胸など肋骨の周辺にみられますが、症状が重いと背中や足の付け根まで影響を及ぼすことがあります。肋間神経痛が発症する原因は詳しく特定されていないものの、胸椎椎間板ヘルニアをはじめとする脊椎の病気を経験した人はリスクが高いとされています。もしくは何らかの影響で帯状疱疹を発症した場合は、肋間神経痛を併発しやすいと考えられています。治療方法は鎮痛薬を服用することが一般的です。帯状疱疹由来の場合は急を要するので、抗ウイルス薬を取り入れて対処します。その後慢性期となった際に痛みが残っていれば、ストレッチなどの運動療法を実施していきます。専門医師に相談するときは内科か整形外科を受診するようにしてください。

肺が痛いのはタバコの影響?

結論からお伝えすると、喫煙は間違いなく肺の痛みに影響を与えています。前項でもご紹介した気胸や虚血性心疾患は、普段の生活習慣に加えて飲酒や喫煙が大きく関与することが知られています。根本的にたばこに含まれるニコチン・タール・ダイオキシンなどは、気管支や肺胞にダメージを与える有害物質です。これによって肺の機能が低下し息切れや動悸を起こすだけでなく、物理的に肺胞を破壊する恐れもあります。結果的に気胸にも繋がり、命に関わる重病の引き金になりかねません。たばこが与える影響の度合いは概ね3段階です。咳や痰が出る初期段階、息切れが起きやすくなる中程度、呼吸困難に陥ることもある重度が目安になっています。もし喫煙者が肺の痛みを感じたときは、できるだけ身体を温めて呼吸を整えるようにしてください。

肺が痛いときは何科を受診する?

肺の痛みを専門医師に相談するときは、どのような痛み方をしているか、考え得る原因はあるかで診療科が変わります。以下に代表的な例をいくつかご紹介します。

  • 肋骨周辺が痛む:整形外科
  • 息苦しさがある:呼吸器内科
  • 心臓を中心に強い痛みを感じる:循環器内科もしくは心臓血管外科
  • 帯状疱疹など皮膚に炎症がある:内科もしくは皮膚科

概ね上記の判断基準を設けていれば、痛みの原因を特定することが可能です。ただしご自身で判断しにくいケースもあるので、お近くの医院での受診結果を参考にして特定する流れでも構いません。特に痛みが強いときや呼吸が苦しいときは早急な対応が必要なため、迷った際には内科を受診するようにしましょう。

まとめ

肺の痛みは呼吸器に関わってくる場合があるので、症状の度合いによっては命の危険性があるほど重大な病気が潜んでいます

特に喫煙者は肺の機能が低下し、脆くなっている状態です。さまざまな病気の引き金になりやすいため、呼吸の変化や動悸の有無にはより一層気を配る必要があります。

一方で、普段から生活習慣を整えていれば発症のリスクが低減する病気も多いです。身体の健康には注意して安全な毎日を過ごしてください。

この記事の監修医師