「いびき」の原因・対処法はご存知ですか?女性・子供の原因も解説!
いびきは上気道の狭窄によって生じます。狭窄が起きる原因はさまざまで、それによって治療方法や対処法は異なります。
いびきに悩まされている方は原因を特定し、適切な対処を行いましょう。うまく実践できれば、いびきの改善が期待できます。
本記事では、考えられる原因や対処法などを紹介しています。ぜひ参考にして、いびきに関する悩みや問題の解消に役立ててください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
いびきの原因
いびきとは、睡眠時に鼻や喉といった上気道の狭まりによって生じる振動音のことを指します。狭い上気道内では息の流れが乱れやすく、それが鼻や喉の粘膜を振動させるために音が出ます。睡眠中に出る音であることから、本人に影響はないと思われがちです。
しかし、狭まった上気道に無理矢理空気を通しているため、呼吸の度に負担がかかっています。また、いびきの音がかなり大きいことから、周りの人に騒音として迷惑がかかる場合もあるでしょう。いびきを治すためには、原因を特定して適切な治療を行うことが大切です。以下で考えられる原因について紹介していきます。
女性の場合
いびきは男性に多いですが、女性でも悩まされることがあります。特に、妊娠中・閉経後の女性は生じやすいです。いびきの生じやすさには、ホルモンのバランスが関係しています。
プロゲステロンという女性ホルモンには、上気道を拡げるはたらきがあります。そのため、男性より女性の方がいびきをかきにくいのです。しかし妊娠をすると、エストロゲンという女性ホルモンが増加します。これらのホルモンには粘膜を腫れ上がらせる働きがあるため、上気道が狭くなる場合があります。
閉経後の女性の場合、女性ホルモンの低下がいびきの原因になることが多いです。また、体重の増加によって上気道が狭められるケースもあります。
子供の場合
子供の場合、閉塞型睡眠時無呼吸症候群によっていびきが生じるケースがよくみられます。口蓋扁桃・咽頭扁桃が大きくなることによって上気道が狭まり、睡眠時に呼吸が上手くできなくなります。この病気は、5〜8歳頃に発症する場合が多いです。
いびきの他に、頻回の寝返り・寝汗などの症状がみられます。朝起きることが難しくなることに加え、学業成績に影響が出る可能性もあるでしょう。発達に遅れが生じるケースもあることから、早期に治療に取り組むことが大切です。
いびきをかきやすい人の特徴
いびきの原因となるのは、上気道の狭窄です。この狭窄が起きやすい身体の特徴をもっている人が、いびきをかきやすくなります。
肥満の人
肥満の人は脂肪で首などの圧迫が起こるため、上気道の狭窄が起こりやすいです。子供の場合は扁桃腺肥大によって閉塞型睡眠時無呼吸症候群になるケースが多く、大人の場合は肥満によって発症することがほとんどです。
肥満は遺伝的に起こりやすい場合もありますが、生活習慣や生活環境が原因でなることが多いでしょう。肥満によっていびきが生じている人は、一度生活を見直してみてください。食事バランスを整えたり、運動の習慣を身につけたりすると良いでしょう。
顎が小さい人
顎の大きさが要因となって、いびきをかきやすくなるケースもあります。顎が小さいと相対的に舌が大きくなります。睡眠時には筋肉が弛緩するため、舌が後退して気道を塞いでしまいやすいです。それにより、睡眠時の無呼吸やいびきが引き起こされます。顎に比べて舌が大きい人にも生じやすいです。
考えられる病気
いびきをかく人は、何らかの病気である可能性も考えられます。その場合、病気を治療すればいびきが治る可能性もあるでしょう。病気の疑いがある方は病院を受診し、治療に取り組んでみてください。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、いびきの原因となる病気の中でも代表的なものです。睡眠時の1時間あたり5回以上の無呼吸が認められた場合に診断されます。もっとも多いのは閉塞型無呼吸症候群です。肥満・舌の後退などが原因で気道が狭められた場合に発症します。この病気を発症すると、睡眠を十分に取れません。
そのため、いびき以外に日中の眠気や集中力の欠如といった症状がみられます。強い眠気に襲われるため、居眠り運転を起こしてしまうリスクもあるでしょう。日常生活にも支障をきたす厄介な病気です。この病気は、CPAPという方法で治療を行います。専用のマスクを装着して空気を送り込み、上気道の狭窄を防ぐ方法です。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、ダニ・スギ・ヒノキなどが抗原となってアレルギー反応が生じる病気です。主な症状として、鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみなどが挙げられます。鼻炎を発症すると鼻の粘膜が炎症を起こし、気道が狭くなります。
そのため呼吸の空気がうまく通らず、いびきが起こりやすくなるのです。この場合、アレルゲンを避けてアレルギー反応を防止することで、いびきをはじめとした症状が出にくくなります。薬を服用して症状を抑える方法もあるでしょう。
扁桃肥大
扁桃肥大は、口蓋扁桃・咽頭扁桃が肥大する病気です。咽頭扁桃は、「アデノイド」とも呼ばれます。肥大が起きる原因は、ウイルスや細菌に対する免疫反応です。肥大することで上気道が狭まり、いびきが生じやすくなります。扁桃が大きくなるのは子供の場合が多いです。
また、子供のいびきの多くはこの病気である可能性が高いでしょう。さらに、加齢や薬物などが原因で大人が発症するケースもみられます。扁桃肥大によって重度の呼吸障害がもたらされている場合、手術で扁桃を取り除くことがあります。
いびきの対処法
身体や病気が原因でいびきが生じていても、対処法を行うことでいびきを抑える効果が期待できます。ぜひ実践して、いびきの改善を図りましょう。
横向きで寝る
横向きで寝ることで、いびきの軽減が期待できます。特にいびきの症状が軽い場合に有効です。横向きになると咽頭がゆるみ、上気道に空気が通りやすくなります。そのため、いびきをかきづらくなるのです。
気道を拡げる方法には、マウスピースを活用するものもあります。専用のマウスピースで下顎を突き出し、呼吸に十分な気道を確保します。マウスピースに興味がある方は病院を受診して、医師に相談してみましょう。
禁煙する
タバコの煙は気道を狭くし、SASを悪化させる要因になります。喫煙の習慣がある方は、禁煙に取り組むと良いでしょう。また、その他の生活習慣にも気を配ることが大切です。とくに肥満が原因でいびきをかいている場合は、生活習慣を見直すことがおすすめです。食事の内容や運動習慣に問題があるならば、改善に取り組んでください。
必要であればダイエットも行いましょう。加えて、飲酒の習慣があると肥満になりやすいです。過度な飲酒は気道を狭めることにもつながるため、飲酒は節度を守って行うようにしましょう。
湿度を調整する
空気が乾燥していると、鼻の粘膜も乾燥します。乾燥は鼻腔抵抗を起こしやすくなり、いびきの発生につながります。そのため、部屋の湿度は適度に保つことが大切です。特に高齢になると粘膜が乾燥しやすくなるため、湿度は高めに保つようにしましょう。
行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、内科、循環器内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科です。
問診、診察、内視鏡検査、画像検査(CTやMRIなど)、睡眠検査などを実施する可能性があります。
病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
治療をする場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。
まとめ
いびきは上気道が狭まることで呼吸の際に生じる粘膜の振動音のことです。睡眠の質を低下させたり、周囲の人に迷惑をかけたりといった悪影響が生じます。
いびきが生じる原因はさまざまです。病気・身体の構造・ホルモンバランスなど、人によって原因は異なります。いびきを治すためには、原因に適した治療法を行うことが大切です。
病気の中で代表的なものは、睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に無呼吸になる症状があるため、いびきだけでなく日中の睡魔などにも悩まされるでしょう。
いびきを改善するためには、生活習慣を整えることが有効です。喫煙や過度な飲酒は控え、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。
いびきの原因によっては、病院で治療を受けることが必要になります。気になる場合は病院を受診して、いびきの改善を目指しましょう。