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「手の指がつる」症状に効果がある食べ物とは?考えられる病気も医師が解説!

「手の指がつる」症状に効果がある食べ物とは?考えられる病気も医師が解説!
手の指がつる時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「手の指がつる」原因

手の指がつる原因は、栄養素の不足、水分不足、手の使いすぎなどが考えられます。マッサージをすることで症状が和らぐこともありますが、病気の前兆の可能性もあります。

ミネラル不足

ミネラルが不足する原因は、過剰な飲酒・脱水・内分泌疾患・利尿剤の使用などが考えられます。 利尿剤を服用中に、手の指がつる症状があれば、主治医に相談しましょう。 アルコール依存症など過剰な飲酒では脱水や電解質やビタミンの不足が起こり、手の指がつる場合があります。禁酒することで症状が改善される場合が多いです。アルコール依存症の場合は心療内科の受診をおすすめします。 肝臓病・糖尿病・甲状腺機能低下症などの病気でもミネラルのバランスが悪くなる場合があります。気になる症状があれば、内科を受診しましょう。

ビタミン不足

ビタミンDはミネラルの吸収に必要な栄養素です。また、ビタミンB1が不足すると末梢神経障害が起こります。 食べ物から摂取するビタミンDが少ない場合だけでなく、日光に当たる事で皮膚でビタミンDが合成されるため、日光を十分に浴びないとビタミンD欠乏症となります。これにより、手の指のつりや筋肉のけいれんが起こる場合があります。 食事摂取量が少なく、日光にあたらない、筋肉のけいれんなどの症状があれば一般内科を受診しましょう。

脱水

脱水の原因は水分補給不足・過剰な飲酒・下痢・嘔吐などです。体内の水分が不足し脱水になると、ミネラルのバランスが崩れたり、筋肉を拡張・収縮させる機能が弱まり、手の指がつる原因になります。 こまめな飲水をすること、飲酒は適量にすること、下痢・嘔吐・大量に発汗したなどの場合は、十分に水分を補給しましょう。

冷え性

指先が冷えて血行不良になると、筋肉が固まったり、細胞に栄養や水分が届きづらくなります。冷え性などによる血行不良は筋肉を拡張・収縮させる機能が弱まり、手の指がつる原因になります。 手のマッサージをする、手を冷やさないようにするなど、血液循環が滞らないようにしましょう。

筋肉の疲労

筋肉を使いすぎたり、普段使っていない筋肉を使うと、筋肉に疲労がたまり、筋肉を拡張・収縮させるバランスが崩れてしまい、手の指がつる原因になります。 手を使いすぎて指がつってしまった時の治し方は、疲労回復のために手をなるべく使わず休ませる、ストレッチやマッサージをして筋肉の収縮を和らげるなどをしましょう。

すぐに病院へ行くべき「手の指がつる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然現れた症状の場合は、脳神経内科、脳神経外科へ

手の指がつる・手足のしびれや麻痺・ろれつが回らない・片方の目が見えない・経験したことのないような激しい頭痛などの症状は脳梗塞の可能性があります。 脳神経内科や脳神経外科を早急に受診しましょう。症状が突然現れた場合は救急要請をしてください。

受診・予防の目安となる「手の指がつる」症状のセルフチェック法

  • 手の指がつる以外に全身のつる症状が出ている場合
  • 手の指がつる以外にしびれや感覚の鈍さがある場合
  • 手の指がつる以外にけいれんの症状がある場合

「手の指がつる」症状が前兆となる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手の指がつる」に関する症状が前兆となる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が詰まることです。血管が詰まると、その先の細胞には栄養がいかなくなり、働かなくなります。脳の細胞は一度機能しなくなると再生することはないため、脳梗塞を発症した後に後遺症が残ってしまうことが多いです。 脳梗塞は脳の血管に動脈硬化が起こって血管が細くなっている部位に詰まって起こる「脳血栓症」と心臓でできた血栓が脳に運ばれて血管を詰まらせる「脳塞栓症」の2つに分けられます。 症状は手足のしびれや麻痺・ろれつが回らない・片方の目が見えない・経験したことのないような激しい頭痛などです。 高血圧などの生活習慣病により、動脈硬化が進行することや不整脈など心臓の病気が主な原因です。 治療は薬物療法・点滴・手術など、状態により異なります。予防するには、生活習慣の改善や薬物療法で生活習慣病や不整脈の管理が必要です。 疑わしい症状がある場合は、早急に救急要請をしましょう。

肝臓病

肝臓病とはウイルス感染・飲酒や食生活や運動など生活習慣・薬物などが原因で肝炎を発症し、慢性化して悪化すると肝硬変や肝臓がんへと進行する病気です。 症状は倦怠感などが現れる場合がありますが、自覚症状がない場合がほとんどです。肝硬変まで進行すると、脱水・電解質の異常・アミノ酸の代謝異常などが原因で筋肉の痙攣が起こったり、黄疸やむくみや腹水などの症状が現れます。 健康診断などで肝機能の異常を指摘されたり、倦怠感や手や足がつる、むくみなどの症状がある場合はすみやかに消化器内科を受診しましょう。

糖尿病

​​糖尿病とはインスリンという血糖値を下げるホルモンの作用不足により、高血糖が続く病気です。主な原因は遺伝や食事や運動などの生活習慣です。 高血糖が慢性化すると、動脈硬化が進行し、脳血管疾患・心疾患、糖尿病特有の合併症の神経障害・腎症・網膜症などの病気を起こすリスクが高まります。 高血糖が持続すると、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感などの症状が現れます。神経障害の症状は手足の筋肉の萎縮やしびれなどの感覚障害や立ちくらみや食欲不振など自律神経の障害などです。 健康診断で血糖やHbA1cの高値を指摘されたり、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感・手足がつるなどの症状がある場合はすみやかに一般内科を受診しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺は、のどぼとけの下にある臓器で、ホルモンを分泌して体の代謝を調節しています。 甲状腺機能低下症は甲状腺から分泌されるホルモンが低下した状態です。 筋肉のけいれん・倦怠感・むくみ・体重増加・寒がり・便秘などの症状や血液検査ではコレステロール値の上昇が現れます。 甲状腺の炎症が発症の原因で多いですが、ヨウ素(昆布やヨード卵やヨウ素を含んだうがい薬)の過剰摂取や甲状腺の治療なども原因になります。 健康診断でコレステロール値の上昇を指摘され、筋肉のけいれん・倦怠感・むくみ・原因不明の体重増加・寒がり・便秘などの症状があれば早めに一般内科や内分泌内科を受診しましょう。

副甲状腺機能低下症

副甲状腺とは甲状腺の近くにある臓器で、血液や組織中のカルシウムの濃度を調節しています。副甲状腺機能低下症は副甲状腺から分泌されるホルモンが低下した状態です。 ホルモンの分泌が低下し体内のカルシウムが不足すると、テタニー(手足の筋肉のけいれん)、手足のしびれ感やけいれんなどの症状が現れ、悪化すると症状が全身におよびます。 原因は遺伝・免疫異常・副甲状腺の異常・カルシウム感受性の異常などです。 治療は症状に合わせた薬物療法を行います。 手や足がつる、しびれ感やけいれんなどの症状がある場合は早めに一般内科や内分泌内科を受診しましょう。

「手の指がつる」ときに足りない栄養素

手の指がつるときに足りない栄養素は、ミネラルやビタミンです。ミネラルやビタミンを多く含む食べ物を摂取しましょう。手の指がつるときに不足している可能性があるミネラルは、マグネシウム・カリウム・カルシウム・ナトリウムです。 病気があり、制限が必要な栄養素がある場合は医師の指示に従ってください。

マグネシウム

マグネシウムは筋肉を弛緩させる働きがあり、体内ではカルシウムとバランスをとって、筋肉の収縮を制御しています。 マグネシウムを多く含む食品は
  • ひじきや昆布などの海藻類
  • かつおやマグロなどの魚介類
  • 玄米ご飯など精製されていない穀類
  • 豆腐や納豆などの大豆製品など
です。

カリウム

カリウムは筋肉機能の調節をする働きがあります。 カリウムを多く含む食品は
  • ひじきや昆布などの海藻類
  • さわらやマグロなどの魚介類
  • ほうれん草や春菊などの野菜類
  • 納豆や枝豆などの大豆製品
  • さつまいもやじゃがいもなどの芋類
  • バナナやりんごなどの果実類など
です。

カルシウム

カルシウムは筋肉を収縮する働きがあります。体内ではマグネシウムとバランスをとって、筋肉の収縮を制御しています。 カルシウムを多く含む食品は
  • 牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品
  • いわしやししゃもなどの魚介類
  • 小松菜や春菊などの野菜類
  • 生揚げや高野豆腐などの大豆製品など
です。

ナトリウム

ナトリウムは筋肉を収縮する働きがあります。ナトリウムは通常の食生活であれば不足することはありませんが、大量の発汗や下痢や嘔吐など、急激に体液を失った場合には不足してしまうことがあります。スポーツドリンクや経口補水液の摂取がおすすめです。

ビタミン

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。ビタミンB1の欠乏は神経障害の原因になります。 ビタミンDを多く含む食品は
  • 鮭やいわしなどの魚介類
  • まいたけや乾しいたけなどのきのこ類など
です。 ビタミンB1を多く含む食品は
  • 玄米や胚芽米などの穀類
  • 豚肉や豚や鶏のレバーなどの肉類
  • うなぎなどの魚介類など
です。

「手の指がつる」症状の正しい対処法は?

手の指がつる症状の対処法は、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の服用で症状が治まる場合があります。医師に処方してもらう以外にも、ドラッグストアなどで購入できます。継続的な服用は副作用が現れる場合があります。症状が改善しない場合や頻度が多い場合は一度、医療機関を受診しましょう。 日常生活の注意点は、手先を冷やさないようにする・ミネラルを多く含む食べ物を積極的に摂取する・脱水を予防する・手のマッサージやストレッチをして症状が現れないよう予防しましょう。 手の指がつる以外に手足のしびれや意図しない体重の増減など、病気を疑う症状が同時に現れている場合は医療機関を受診しましょう。

「手の指がつる」症状の予防法

手の指がつる症状の予防法は、食生活ではミネラルやビタミンなどの栄養素が不足しないような食事と、過剰な飲酒を避けること、脱水予防のためにこまめに水分補給をすることです。手の指を使いすぎることでもつりやすくなるため、ストレッチやマッサージで筋肉をほぐすこともおすすめです。

バランスの良い食事をしましょう

主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事はミネラルやビタミンを摂取できます。 ミネラルを多く含む海藻や大豆製品、ビタミンを多く含む野菜類やきのこ類を主菜や副菜に取り入れることがおすすめです。

飲酒を適量にしましょう

アルコールを分解する時にはビタミンB1や水分が必要になります。ビタミンB1の不足は神経障害を起こしやすく、水分不足は脱水症状を起こしやすいです。また、過剰な飲酒の習慣は糖尿病や肝臓病のリスクになります。 厚生労働省の「飲酒ガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、1日当たりの純アルコール量で男性40g以上、女性20g以上摂取した場合と定義されています。純アルコール量はアルコールの度数と摂取量で異なります。 純アルコール20g相当
種類 度数
ビール 5% 500mL
酎ハイ 7% 350mL
ワイン 12% 200mL
日本酒 15% 170mL
焼酎 25% 100mL
ウイスキー 43% 60mL

こまめに水分補給しましょう

体内の水分が不足し脱水になると、ミネラルのバランスがくずれたり、筋肉を拡張・収縮させる機能が弱まります。 こまめに水分補給をする、欠食せず3食バランスよく食べる、飲酒時や飲酒後に水分補給をして、脱水を予防しましょう。

「手の指がつる」症状を予防する可能性のある食べ物・食生活

手の指がつる原因がミネラル不足の場合、予防する可能性のある食べ物や食生活は色々な食べ物を摂取して十分な量のミネラルを補給すること、ビタミンがミネラルの吸収の助けとなるため、ビタミンも十分摂取しましょう。

野菜・果物 食べ物・食生活

ほうれん草や春菊や小松菜などの野菜類、バナナやりんごなどの果実類はカリウムやカルシウムを多く含むため、ミネラルの補給におすすめの食べ物です。

海藻・きのこ 食べ物・食生活

昆布やひじきはマグネシウムやカリウムを多く含むためミネラルの補給におすすめの食べ物です。きのこ類はビタミンDを多く含み、ビタミンDの補給におすすめの食べ物です。

乳製品 食べ物・食生活

牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品はカルシウムを多く含むため、ミネラルの補給におすすめの食べ物です。

大豆製品

豆腐・納豆・枝豆・生揚げ・高野豆腐などの大豆製品はマグネシウムやカリウムやカルシウムを多く含むため、ミネラルの補給におすすめの食べ物です。

「手の指がつる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「手の指がつる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手や足の指がつる原因について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

手や足がつる原因はいくつか考えられます。ミネラルやビタミンの摂取不足・脱水・血行不良・筋肉の疲労・加齢などと、脳梗塞や肝硬変などの病気が原因で手や足がつることがあります。

手の指がつるのは脳梗塞の前兆症状なのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

手の指がつるだけでは脳梗塞の前兆症状なのかを判断するのは難しいですが、同時に脳梗塞を疑う他の症状がある場合は脳梗塞を発症している可能性があります。

まとめ

手の指がつる原因として、栄養不足・過剰飲酒・脱水・血行不良・筋肉の使いすぎなどが考えられます。それ以外の原因では、脳梗塞・肝硬変・糖尿病などの病気を発症している場合があります。 健康診断で異常値を示した項目があったり、対策をしても改善しない場合や、他の病気の症状もある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

「手の指がつる」で考えられる病気

「手の指がつる」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

消化器系の病気

内分泌系の病気

整形外科系の病気

いろいろな病気により水分、電解質やビタミンのバランスが崩れることで手の指がつることもあります。つる症状を繰り返したり、なかなかつる症状が治らない場合には原因を調べるためにも内科を受診しましょう。

「手の指がつる」に似ている症状・関連する症状

「手の指がつる」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 足や全身がつる
  • 手や足がしびれる
  • 手や足に痛みがある
  • 手や足がけいれんする
手以外にも全身でつる症状があったり、つる症状以外にもこわばったりしびれたりといった他の症状がある場合には内科で相談をしてみましょう。