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「足首が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「足首が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

足首の痛みの原因は外傷だけではありません。捻ってしまったり、長期間歩行したり、長時間のスポーツだったりと原因は様々です。

対処は応急処置が一般的ですが、中には2週間以上の固定が必要になることもあります。

また、足首は関節リウマチなどの病気でも痛くなることもあります。どんな病気で痛みが生じるのでしょうか?

ここでは、足首の痛みの原因・対処法・受診の目安について解説します。考えられる病気についてもご紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

足首の痛みを感じる原因と対処法

足首は複数の筋肉と関節が複雑に絡み合っている部分です。そして立つ・歩く・ジャンプするという基本的動作の根幹を担っている部分でもあります。それぞれの動きに対して負担のかかる部分が違うため、同じ足首の痛みでも痛む箇所を細かく見てみると原因や対処法が変わるのです。まずは、足首の痛みを感じる原因とその対処法について解説します。

足首の内側が痛む症状の原因と対処法

足首の内側が痛む場合、考えられる疾患としては「後脛骨筋症候群」「後脛骨筋腱炎」が多いです。後脛骨筋とは、足首の関節の内側(内くるぶし)の後ろから下に向けて通っている筋肉のことを指します。この筋肉は主にランニングなどのスポーツや長時間の立ち仕事など、長時間立っていたり足を動かすことで負荷がかかる筋肉です。ランニングやジャンプで後脛骨筋が伸長したり断裂することで炎症を起こします。後脛骨筋が炎症を起こしたり断裂を起こすのは、主に足関節周囲筋の柔軟性もしくは筋力不足や、シューズが合わないなど様々な要因が考えられています。そのため、ただ運動疲労が原因というわけではありません。もし痛みを感じた場合は、すぐに運動をやめてアイシングや温熱療法での対処が一般的です。また、シューズが合っているか、足関節周囲筋が弱っていないかなどを調べることで再発防止に繋げられます。痛みが和らいだからといって対策をせずに運動を再開すると、いずれ足関節の動きが制限され、下半身の障害を引き起こす原因となる可能性もあるため注意が必要です。

足首の外側が痛む症状の原因と対処法

足首の外側が痛むのは、足首の外側にある靭帯を痛めている場合が多いです。ふとした時に足関節を内側にひねったり段差でつまずくと、靭帯が伸びて痛むことがあります。少し足をひねったくらいだと思って放置していると、段々と痛みや腫れが生じてくることがあるかもしれません。これらの外側靭帯が伸びて痛む症状を一般的に「捻挫(ねんざ)」と呼びます。足をひねった場合、靭帯だけではなく骨折の疑いもあるため、X線検査も行われることがあります。基本的にはスポーツ応急処置の1つ「RICE処置」での対処が一般的です。しかし、靭帯の断裂がみられる場合は2~3週間ほど足首を固定する場合があります。

足首の表面から内部にかけて痛む症状の原因と対処法

足首の表面から内部にかけて痛む場合、考えられる疾患の1つとして「足根洞症候群」があります。足根洞は外くるぶしの少し前方を触ると感じられるへこみの更に奥にある部分です。ここに炎症が起こると、歩く際に足首の表面から中にかけてが痛むという症状が生じます。しかし、どこが痛いのかははっきりわからないという感じ方をされる患者さんが多いようです。主に捻挫の後遺症や扁平足が原因と考えられています。捻挫の際に断裂した靭帯が出血を起こした際、足根洞内に血が溜まったことにより痛みが生じるのです。基本的には保存療法での治療が試みられます。痛みが続く場合は消炎鎮痛剤やステロイド注射での治療が行われることがあります。

歩くと足首が痛む症状の原因と対処法

上記のような痛みではなく、歩いているときにだけ足首が痛くなる場合は、足関節軸が不整合を起こしていることが考えられます。足首には関節が9つあり、それぞれが連結しています。しかし、その中のいずれかが他と比べて小さくなっている場合、関節のバランスが崩れて他の関節にも負担がかかってしまうのです。そのため足関節全体が歩行だけでもオーバーワークとなり、痛みや腫れを引き起こします。一般的にはアイシングや温熱療法での対処となりますが、歩くたびに痛むのであれば早めに医療機関での受診を検討したほうが良いでしょう。

足首が痛い時の対処法・ストレッチ法

足首が痛む場合、軽く足首を回すようなストレッチ法も有効です。足首の柔軟性が保たれ、足の滞った血流も促進されやすくなります。もしスポーツ中や歩行中に足首が急激に痛くなった場合は応急処置が必要です。足首の場合でもスポーツ応急処置の1つ「RICE処置」が効果的といわれています。RICE処置は、以下の4つの処置の頭文字を取って名付けられました。

  • Rest(安静)
  • Icing(冷却)
  • Compression(圧迫)
  • Elevation(挙上)

まず「Rest(安静)」は、歩行やスポーツなどを中止して安静にすることです。痛めた部位の悪化を防ぎます。「Icing(冷却)」は、氷の入った袋や冷却材で足首の痛む部分を冷やす処置です。感覚がなくなったら一旦冷却をやめ、また痛み始めたら冷却をするという処置を数回繰り返します。「Compression(圧迫)」は固定法です。スポンジやテーピングパッドを痛む場所に当て、上から包帯やテープで強めに巻き付け固定します。強く巻きすぎると周囲の血液の循環が悪くなるため、力加減に注意して行いましょう。最後に必要なのが「Elevation(挙上)」です。足首を台やクッションに乗せ、心臓よりも高い位置に上げておきます。これにより足首の腫れに溜まった血液が循環しやすくなり、腫れ自体が軽減されます。これらの処置が終わったら早めに医療機関にかかり、痛みの原因を調べるようにしましょう。

足首の痛みの症状が出やすい病気

病気の中には、足首の痛みが出やすいものがあります。特に多いのが「変形性足関節」・「関節リウマチ」・「痛風」の3つです。

変形性足関節

変形性足関節は足首の関節の表面を覆う軟骨がすり減ることで起こる病気です。膝関節や股関節と違い、加齢で起こるケースはあまりみられません。過去に頻繁に捻挫を繰り返していたり、足首の骨折をした方にみられます。また、関節炎や足首の外傷による細菌感染でも発症することがあります。変形性足関節の主な症状は、歩行時の痛みです。初期は歩行時のみですが、進行すると常に痛みを感じ、足首が見た目からもわかるほどに変形してしまいます。それによって可動範囲も狭くなり、腰・膝・脚部分への負担がかかりやすくなります。自然に戻ることのない軟骨がすり減ってしまう病気なので、元通りに治すことはできません。変形が進行した場合は手術を行う場合があります。

関節リウマチ

関節リウマチは免疫疾患の1つです。免疫が異常をきたした影響により身体の様々な関節に炎症が起き、痛みや腫れの症状を引き起こします。患者さんによって影響の出る関節は様々で、足首が痛む場合もあります。発症した場合は抗リウマチ薬を服用し、必要に応じてステロイドや痛み止めを使用することが多いです。ただし、症状が進行してしまうと関節が変形したり壊れてしまう場合があります。ここまで症状が進行してしまった場合は、人工関節に置き換える手術が行われるケースもあります。

痛風

痛風の初期症状は親指関節の強い痛みです。発症初期は足首が痛むことはあまりありません。しかし、慢性期(発症から5年~6年)に入ると足・肘・手などの関節にも関節炎を引き起こすことがあります。

緊急性が高い足首の痛みと受診の目安

足首に痛みを感じた時、医療機関にすぐかかったほうが良いとされるのは捻挫変形性足関節です。捻挫の場合、ただ足首をひねっただけだとしても実は骨折を起こしていたということもあります。腫れを伴う捻挫の場合はなるべく早く整形外科を受診するようにしましょう。スポーツ中や歩行中にアキレス腱を痛めた場合も、整形外科の受診が必要なケースが多いです。アキレス腱断裂など重傷のリスクがあります。

まとめ

足首は歩行・走行・ジャンプなど人間の基本動作に関わる重要な部位です。そこが痛むということは、靭帯などの筋肉に負担がかかっているということになります。

もし足首を軽く捻ってしまった場合でも、痛みが残るならなるべく医療機関を受診するようにしましょう。

また、普段から足首のストレッチを行っていると可動域と柔軟性が保たれ、捻ったり長時間歩行したりしても痛みを生じにくい効果があるとされています。

ストレッチなどで痛みを予防し、足首を健康に保って長く歩けるようにしたいですね。

この記事の監修医師