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「手がむくむ」原因はご存知ですか?医師が監修!

手のむくみは身体の不調が原因で起こることが多いです。疲労や生理だけではなく、病気のサインを表していることもあります。

中には心臓に関わる病気の可能性が隠れていることがあります。ただのむくみも数日続いていると深刻なサインとなるのです。

では、手のむくみが症状としてあらわれる病気にはどんなものがあるのでしょうか?なぜその病気を発症してしまうのでしょうか?

ここでは、手のむくみの症状と原因について解説します。手のむくみが起こる代表的な病気や心臓の病気の可能性がある症状についてもご紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

手のむくみの原因

足のむくみで悩んでいる女性は多いかもしれません。むくみとは、元々余分な水分が溜まってしまうことで生じてしまうものです。そのため重力に従って足などの下半身にむくみができやすくなります。しかし、手のむくみは起きている時に起きづらいものです。例外として、デスクワークの多い方は夕方になると指先に水分が溜まりやすく、足と同じくむくんでしまうことがあります。しかし、手のむくみが何日か続く場合は何らかの病気のサインである場合があるのです。そこでケース別に手のむくみの原因を解説します。

手のむくみが片手だけに出た時に考えられる原因

まず、手のむくみが数日続いた場合には、「血管性浮腫」が考えられます。血管性浮腫はアレルギー性蕁麻疹の1つといわれている病気です。特定の薬や食べ物が原因で発症する「急性血管性浮腫」と遺伝が原因の「慢性血管性浮腫」の2種類があります。片手のむくみ以外にも以下の症状がある場合は血管性浮腫の可能性が高くなるため、皮膚科か外科を受診するようにしましょう。

  • 食べ物が飲み込みにくい
  • 息苦しい
  • 嘔吐・下痢

また、蜂窩織炎の可能性もあります。片側のみのむくみは、リンパ性浮腫などの外科や整形疾患をうたがいますが、両側性の場合は内科的な疾患の可能性が高いです。何科を受診するか迷った際に判断するポイントとして覚えておいてください。手のむくみ以外の諸症状が出ている場合は、早めに皮膚科か外科を受診するようにしましょう。

朝起きると手がむくんでいる時に考えられる原因

朝起きたときにだけ手がむくんでいる場合は、眠っている時の水分量増加が原因です。足のむくみとは違い、手のむくみは余分な水分によって起きることが少ないとされています。しかし、就寝中は手と心臓の高さは同じくらいの高さです。そのため、全身の血液量が均等になります。血液量が均等になるということは、水分量も均等になるということです。そのため、余分な水分が多いと起床時に手のむくみが起きていることがあります。ただし、起床時の手のむくみは関節リウマチの初期症状であることもあります。もし何日も起床時に手がむくむ、もしくは手の関節が動かしにくい場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

手が腫れたようにパンパンになった時に考えられる原因

もし手がパンパンに腫れている場合は、「RS3PE症候群」の可能性があります。リウマチと似た疾患の1つで、60歳以上の高齢者によくみられます。明確な原因はわかっていません。突然発症し、押しても戻らないような弾性の高いむくみが特徴です。診断の基準となる特徴は下記の通りになります。

  • 60歳以上の高齢者(男性:女性=4:1)に好発
  • 手背に指で押すと凹む様な圧痕浮腫を伴う
  • リウマトイド因子陰性
  • X線上関節破壊をきたさない
  • 比較的急性に発症する左右対称性滑膜炎

消化器系の癌や悪性リンパ腫の合併症が多いため、必要であれば精密検査を受けるようにしましょう。また、手だけでなく足もパンパンに腫れることが多いです。滑膜炎でもあるため、関節痛や腱鞘炎も伴うことが多くなっています。診断された場合は、プレドニゾロンを投与することでむくみの症状が和らいでいきます。また、手がむくむ原因として、慢性腎臓病・ネフローゼ症候群などの腎疾患が考えられるため、気になる方は医師に相談をしてください。

手のむくみが症状として現れる代表的な病気

数多くの症状の1つとして手のむくみが出る病気もあります。代表的なのが「甲状腺機能低下症」・「蜂窩織炎」・「リンパ浮腫」・「更年期障害」の4つです。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが低下した状態のことを指します。手足のむくみ以外にも、以下のような症状をあらわすことが多いです。

  • 無気力感、疲労感
  • 寒がり
  • 体重増加
  • 記憶力低下

初期段階ではただの疲れだと思われがちですが、進行すると傾眠(日中すぐにうとうとしてしまう)などの意識障害をきたします。また、女性の場合は月経異常や不妊を発症することが多いです。

蜂窩織炎

蜂窩織炎は細菌感染による病気です。引っかき傷や皮膚疾患などで皮膚にできた小さな傷が細菌感染を起こすことで発症します。そのため、傷がある側(片側)だけの手がむくみます。むくみ以外にも以下のような症状を起こす可能性があるため、併発症状にも注意が必要です。

  • 皮膚の赤み・痛み・腫れ
  • 皮膚の水疱
  • 発熱・悪寒・頭痛
  • リンパ節炎やリンパ管炎

手のむくみと共にこれらの症状が出た場合は蜂窩織炎の可能性があるため、皮膚科を受診するようにしましょう。

リンパ浮腫

リンパ浮腫はがん治療を行うと起こることのある病気です。乳がんなどのがんでリンパ節を切除した場合、身体のリンパ液の流れが悪くなることがあります。するとがんの治療部位に近い腕や脚の皮膚下にリンパ液がたまることがあります。これによってむくみが起きるのです。しかし、一旦リンパ液が溜まり始めるとむくみが引かず、むしろ重くなっていく傾向にあります。そのため関節が曲げづらくなったり痛みだしたりするようにもなります。もしがん治療を行った後に治療を行った部分の周りがむくんだ場合は担当医に相談するようにしましょう。

更年期障害

更年期障害は、更年期に女性ホルモンのバランスが崩れてしまうことにより自律神経が乱れる病気です。自律神経が乱れると血液の流れが悪くなります。また、血管から血液に含まれる水がしみだしやすくなります。それによって手に水分がたまりやすくなり、むくみが発生してしまうのです。更年期障害による手のむくみは、入浴によって身体を温めたり、マッサージを行ったりなどの血行改善を試みると解消されやすいといわれています。ただし、手のむくみは更年期障害以外にも別の病気の症状として出る可能性もあります。そのため、血行改善を試みても症状がおさまらない場合は医療機関の受診を検討するようにしましょう。

心臓の病気の可能性がある手のむくみの症状

手のむくみは、心臓の病気による症状の可能性もあります。もし心臓が原因のむくみだった場合、3日以上続いたら受診のサインです。内科循環器内科を受診するようにしましょう。また、以下のような症状が同時にあった場合も同じく内科や循環器内科の受診を検討しましょう。

  • 動悸、息切れ
  • 手以外にもむくみがみられる
  • 嘔吐
  • 冷え・倦怠感・脱力感

中でも呼吸困難や意識障害を起こしている場合、またチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になっている)を起こしている場合は、救急車を呼ぶサインです。診察時間を待たず、救急車を呼ぶようにしましょう。

手のむくみ解消法

もし突発的に手がむくんでいる場合はどうしたら良いのでしょうか?起床時のむくみは、手を心臓よりも上の位置に上げましょう。そうすることによって手指に溜まった水分をスムーズに戻すことができます。他にもマッサージ・入浴・カリウムの多い食品を摂取することでもむくみ解消の効果が期待できます。むくんだ手指をマッサージするのも効果的です。心臓から一番遠い指先から徐々に近い部分に押して流すような動きで揉むようにしましょう。入浴で身体を温めることもむくみ解消の原因となります。手指だけでなく足のむくみにも効果的なので、むくみがある場合は入浴をするように心がけてください。もし時間がない場合は、手をお湯に浸けるだけでも効果があります。バナナ・リンゴ・メロンなどのカリウムの多い食材は保水性の高いナトリウムの排出を助ける働きがあります。普段の食事に取り入れるようにすると、むくみの予防にも繋がるでしょう。ただし、腎機能が低下している場合はカリウムの多い食材を避けなくてはいけません。

まとめ

手のむくみは病気のサインであることが多い症状です。手と足の両方にむくみが何日も生じている場合は、特に注意して観察するようにしましょう。

もし手のむくみ以外にも症状がある場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

ただし、かかるべき科は症状によって違います。原因が内科・循環器内科・皮膚科など様々なものがあるためです。

すぐに治るようなむくみであれば、マッサージや入浴などで血行を促進するとむくみ解消が期待できます。ぜひ試してみてください。

この記事の監修医師

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