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「急に膝が痛む」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

激しい運動をしたあとに膝が痛んだり、腫れたりしたことはありますか?ストレッチが足りない中で過度なスポーツを行うと、次第に膝周辺の痛みが強くなることがあります。

また肥満や痛風などによる、生活習慣病が原因で膝を痛めてしまうケースも見られます。早期に対応しないと手術が必要になることもあるため注意が必要です。

そこでこの記事では膝が痛いときに考えられる原因を踏まえ、代表的な病気や症状をご紹介します。受診する目安も参考にしてみてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

急に膝が痛い時の原因と対処法

突然膝が痛むときは、どの位置が痛んだかの細かな判断で原因をある程度特定することができます。ここでは3つに場合分けをしてご紹介していきます。

急に膝の外側が痛む症状の原因と対処法

膝の外側が痛む症状は主に3つで、腸脛靱帯炎・外側半月板損傷・外側側副靱帯損傷が考えられます。いずれも局所的に負荷がかかり続けることによって発症し、炎症や損傷を起こしている状態です。体重が外側に向いていることが多いので、歩き方や普段の姿勢の改善で解消を図ります。外側の筋肉が緊張しているため、適度にストレッチを行いほぐしていきましょう。

急に膝の内側が痛む症状の原因と対処法

膝の内側が痛むときは変形性膝関節症の可能性が高いです。特に動き始めで痛みを感じるのであれば疑いが強くなります。日本人の場合、膝の内側が痛いときは9割が変形性膝関節症だというデータもあるほど発症しやすくなっています。原因は加齢や肥満により筋肉量が低下し、膝への負担が大きくなるためです。そのため運動療法で筋力を取り戻しながら、足回りの血行を良くすることが具体的な対処法です。

膝を曲げると急に痛む症状の原因と対処法

安静時ではなく膝を曲げたタイミングで痛みが来るときは鵞足炎(がそくえん)を疑いましょう。「鵞足」と呼ばれる部分は太ももの3つの筋肉が繋がっている箇所で、膝の曲げ伸ばし時にピンポイントで負荷がかかります。若干の腫れを伴ったり、やや関節の内側に発症していたりする場合は可能性が高いです。なかでもランニングなどのスポーツを行う人に起こりやすくなっています。基本的にはストレッチやテーピングで対処が可能なので、痛みを感じたら安静にしておきましょう。

急に膝が痛い症状が現れる代表的な病気

膝が痛む原因は、過度な運動によるものから肥満などの生活習慣が要因となっているものまでさまざまです。膝のなかでも痛む場所の僅かな違いや、その他に発症している症状の違いで細かく特定することが可能です。ここでは代表的な6種類の病気をご紹介します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは膝に水が溜まったり、歩行時に痛みを伴ったりする症状です。特に高齢の女性に多く、重症化すると安静にしていても辛い痛みに悩まされることがあります。主な発症原因は老化による軟骨のすり減りです。なかでも肥満気味な人はより進行が速かったり、遺伝的に発症しやすかったりするケースも見受けられます。これらの原因によって膝関節の動きが制限され、腫れや変形などを引き起こしてしまいます。日常的に身体の血行を良くし、膝に負担がかかる正座などを避ければ予防することは可能です。もし治療が必要な場合はヒアルロン酸注射や痛み止めの薬で対処していきます。

腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)とはスポーツなどの激しい運動が原因で発症する症状です。太ももの骨である大腿骨と、太ももの外側にある腸脛靭帯が擦れることで損傷が起きます。特に長時間足に負荷のかかる陸上選手や競輪選手が発症しやすく、アスリートの悩みのひとつといえます。合わない靴を履いていたり、内反膝になっていたりするとより危険です。運動後に痛みを感じる程度であれば軽症ですが、安静時にも痛みを生じるようであれば重症化しています。症状の度合いによってテーピングや痛み止めなどの処置を行っていき、少しずつ痛みの軽減を目指します。インソールを合うものに代えたり、ストレッチを定期的に行ったりしながら予防していきましょう。

鵞足炎

鵞足炎(がそくえん)とは膝の下部に位置する鵞足部が炎症を起こす症状です。3つの腱が付いており、膝を酷使すると痛みが発生してきます。専門的には太ももの縫工筋・薄筋・半腱様筋という筋肉で、やや内側に位置しています。運動後に膝や内ももに痛みを感じるときは鵞足炎を疑ってください。発生する原因はごく一般的で、過度な運動や不安定な足場での歩行などが考えられます。診断は鵞足部を押したときに痛みがあるかどうかで、簡単に特定が可能です。正しいストレッチ方法やテーピング方法などを紹介しながら、治療とともに再発の防止を計っていきます。

ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫(のうしゅ)とは、膝の裏に滑液と呼ばれる関節液が溜まり腫瘍が発生する障害です。滑液とは関節と筋肉が擦れる箇所の滑りを良くするもので、膝関節の負担を軽減するには必要不可欠です。ただしこの滑液を含んだ袋に水が多く溜まってしまうと、周囲の血管などを圧迫してしまいます。これによって膝裏が腫れ、違和感を覚えるようになります。ベーカー嚢腫は50代の女性が多く、加齢による変形性膝関節症・痛風・関節リウマチなどにより併発しやすいです。悪性ではありませんが、注射器で滑液を吸収したり正しい歩き方を習得したりして解消していきます。

痛風

痛風は血液中の尿酸値が高い高尿酸血症という状態で発生する障害です。尿酸はプリン体が分解されることで発生しますが、腎臓などで処理しきれないと血液に流れ込んでしまいます。これによって尿酸塩結晶ができてしまうと、白血球が処理する際に痛みを伴うという仕組みです。症状は関節が赤く腫れたり、耳に痛風結節というできものを発症したりすることがあります。特に初期症状として足の親指の付け根が腫れることが多いです。非常に強い痛みを伴うので、日常生活に大きな影響を与えます。診断は血液検査や尿検査などで可能です。腫れとともに悪寒や倦怠感があれば痛風を疑いましょう。

関節リウマチ

関節リウマチは手足の指が左右対称に腫れたり変形を起こしたりする症状です。30代以降の女性に見られることが多く、特に朝方に痛みを発するのが一般的です。他にも全身の関節に腫れ・痛み・こわばりを生じ、なかなか力が入らなくなってしまいます。発症する原因はまだ未特定なことが多いですが、遺伝的なものからウイルスなどによる感染症だと考えられています。診断はレントゲン撮影を基本とし、治療は抗リウマチ剤などの投与や注射が中心です。症状が悪化すると悪性になったり、人によっては貧血になったりするので注意してください。

急に膝が痛いときは何科を受診する?

本来は発症している病気によって細かく分かれますが、まずは整形外科を受診することをおすすめします。整形外科ではレントゲン検査やCT検査を受けられるので、膝が痛む主な原因である過度な運動や軟骨のすり減りの診断を受けることが可能です。ただし関節リウマチや痛風が疑われる場合は、内科での診断が必要なこともあります。これらの病気は痛みだけでなく発熱や倦怠感があることも考えられるので、併発している症状も考慮して検討してみてください。その他にも接骨院や整骨院もありますが、打撲やねん挫などの応急処置が必要なときに通ってみましょう。

急に膝が痛いときの手術は何がある?

膝関節の治療の最終手段として取り入れられているのが「人工膝関節手術」という方法です。この手術はその名の通り、膝関節を人工的に作成した器具に取り替えます。特に軟骨がすり減ってしまった変形性膝関節症でよく導入されており、痛みの根本原因を取り除く手段として採用されています。手術の規模自体は大きくなりますが、正しい関節の向きに矯正できるためO脚の人にも有効です。その後は人工関節が劣化していないか、固定が緩んでいないかを年に1回のペースで確認していきます。

まとめ

膝関節が痛むと階段を上ることが難しかったり、運動時に思うようなパフォーマンスが出なかったりと悩みの種になりやすいです。なかには激しく痛むこともあるため、できる限り早急な対応が求められます。

また一度失った軟骨は修復が難しいのも厄介な点です。肥満・ストレッチ不足・靴の適性など事前に予防できることはたくさんあるので、日常生活から心がけてください。

手術の規模は大きくなるものの、根本から解消していくには最適といえます。膝の痛みを感じたら整形外科を受診してみましょう。

この記事の監修医師