「お腹がすいてないのに食べたい」症状の原因や考えられる病気はご存知ですか?
お腹がすいてないのに食べたいのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)
「お腹がすいてないのに食べたい」症状で考えられる病気と対処法
お腹が空いていないはずなのに、無性に食べたいという経験はありませんか?当然個人の嗜好の範囲もありますが、病気が原因になっているパターンもあります。
以下で詳しく解説いたします。
お腹がすいてないのに食べたい症状で考えられる原因と対処法
お腹が空いてないのに食べたくなる症状の場合、エモーショナル・イーティングの可能性が考えられます。エモーショナル・イーティングの詳細は後に詳しく解説しますが、簡単にいうと、「ストレスを解消するために異常に食べてしまう」状態のことを指します。
原因は、感情と食欲のコントロールができないことにあります。ご自身でできる対処法は、ストレス発散を食事で行うのではなく、睡眠や入浴、運動などご自身に合った方法に変更していくことです。
ただし、ご自身で取り組んでもなかなかうまくいかない場合は、一度医療機関で相談してみましょう。専門科は精神科・心療内科になります。緊急性はありませんので日中に受診してください。
生理前や生理中にお腹がすいてないのに食べたい症状で考えられる原因と対処法
生理前や生理中にお腹が空いていないにも関わらず食べたくなる状態は、病気として分類されることは一般的ではありません。人体の自然な変化と密接に関連していることが多いです。その上でいくつかの要因が考えられます。
一つはホルモンバランスの変化です。月経(生理)によって女性の体の中ではホルモンバランスが著しく変動します。特にエストロゲンとプロゲステロンの変化は、食欲やエネルギー代謝に影響を与えることが知られており、これが食欲増進に寄与している可能性があります。
また月経そのものによるストレスも、先述のエモーショナル・イーティングと同様にコルチゾールを分泌させ、食欲増進に関わることがあります。
もう一つは病気として月経前症候群(Premenstrual Syndrome; PMS)、その中でも特に精神科の関わる月経前気分不快障害(Premenstrual Dysphoric Disorder; PMDD)の可能性があります。PMDDはPMSのうち、月経周期前からイライラや気分の落ち込み、抑うつ、不安感などの精神症状が強い場合に疑われます。こういった気分障害の他に、倦怠感や睡眠、食欲の著しい変化などがみられる場合もあります。生理周期において少し食べ過ぎてしまう程度で、日常生活に支障をきたさない程度であれば経過観察で問題ありませんが、後半に紹介したPMDDのように気分障害を伴いながら、さらに日常生活にも支障をきたしてしまうようであれば病院受診が必要です。
専門科は婦人科や精神科です。ホルモンのせいだろうと我慢せず、受診するようにしましょう。
妊娠中にお腹がすいてないのに食べたい症状で考えられる原因と対処法
妊娠中に空腹でないにも関わらず食べたくなる状態は、妊娠に伴う正常な身体的、心理的な変化の一部として考えられることが多いです。
妊娠中の女性の体は、先述の生理中の状態と同様に大きなホルモン変化が起こっており、これによって食欲にも影響が出ることがあります。
また妊娠悪阻(つわり)では特定の食べ物を強く欲する嗜好変化が起こることがありますが、気持ち悪さを抑えるために小食を頻繁に摂取するようになるので、空腹感とは無関係に食べることが増えるかもしれません。
注意しないといけないのは妊娠糖尿病です。これは妊娠中に発症する糖尿病で、異常な食欲をもたらすことがあります。
妊娠中の多少の食欲の変動は多くの女性が経験しますが、食べることに異常な執着を感じたり、食事によって極端な体重増加がある場合は、病院受診をおすすめします。妊娠糖尿病の場合は定期的なチェックと適切な介入を行わないと、胎児に悪影響が出るためです。普段からかかりつけの産婦人科で相談しておきましょう。
すぐに病院へ行くべき「お腹がすいてないのに食べたい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
食べ過ぎた後にわざと吐くような症状の場合は、精神科・心療内科へ
食べ過ぎた後に、その罪悪感のためにわざと吐くような行動を取ったり下剤を濫用したりするような状態の場合、神経性過食症の可能性があります。この過食に関しては、ご自身でのコントロールが難しく、短時間で大量の食べ物を過食してしまいます。その一方で、肥満に対する恐怖も強く、過食した後に自ら嘔吐したり、下剤を乱用したりしてなんとか体重を減らそうとします。また、一定期間、節食・断食をすることで体重をコントロールしようとします。
そしてまた蓄積されたストレスから過食に走ってしまう、という悪循環に陥ります。
このような状態に陥っている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。専門科は精神科や心療内科です。治療は行動療法、認知行動療法、支持的精神療法、対人関係療法、家族療法そして薬物療法などの治療法があり、個人の状態に応じて選択されます。
受診・予防の目安となる「お腹がすいてないのに食べたい」ときのセルフチェック法
・お腹がすいてないのに食べたい以外に感情の起伏がある場合
・お腹がすいてないのに食べたい以外にうつ症状がある場合
・お腹がすいてないのに食べたい以外に体重増加がある場合
「お腹がすいてないのに食べたい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「お腹がすいてないのに食べたい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
エモーショナル・イーティング
エモーショナルイーティングとは、ストレスや悲しみ、退屈、孤独といった感情の影響で、空腹を感じていないにもかかわらず食べ物に手を伸ばしてしまう行動を指します。感情に左右されて食べるこの習慣は、一時的な心の慰めにはなり得るものの、長期的には体重の増加や不健康な食生活、さらには精神的な不調を招く可能性があります。
エモーショナルイーティング自体に特定の国際疾病分類コード(ICDコード)や保健病名があるわけではありません。近しい病名としては、過食症(Binge Eating Disorder)やその他特定されない食べ障害(Eating Disorder Not Otherwise Specified,:EDNOS)などが近しいカテゴリーに入ることがあります。
発症の原因は、強いストレスによって体内のコルチゾールレベルが上昇するためと考えられています。コルチゾールは食欲を増進させるホルモンであり、特に高カロリーかつ高糖質の「快食品」への渇望を生じさせます。エモーショナルイーティングを管理するには、まず自身の感情と食行動のパターンを理解することが重要です。感情的な食欲と本当の空腹を区別し、感情に負けずに健康的な食生活を継続するための対策が必要です。具体的な方法は、日記をつけて食事と感情の関連を追跡したり、食べる行動の代わりに散歩をしたり、音楽を聴いたり、深呼吸をするなど、他のリラクゼーション手法を試すことです。
このようにご自身で取り組んでもなかなか改善しない場合は、一度医療機関で相談してみましょう。専門科は精神科や心療内科です。緊急性はないので日中に受診しましょう。
「お腹がすいてないのに食べたい」ときの正しい対処法は?
まずは食事記録をつけてみることをお勧めします。「食べたい」という感情のままに従うと、かなりの量を食べることになってしまいます。そこで食事記録をつけることで、自分の食事量を客観視することができます。
またストレス解消の手段として食べてしまっている場合は、他の手段を探すことが重要です。睡眠を十分に取る、入浴する、運動する、テレビや映画を見る、ゲームをする、など、探してみると案外食べること以外にもストレス解消の手段はあるものです。
これらの手段を試しても症状が改善しない場合は、一度医療機関で相談してください。
「お腹がすいてないのに食べたい」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹がすいてないのに食べたい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
お腹がすいてないのに食べたいのはストレスでしょうか?
中川 龍太郎(医師)
ストレスが原因になっていることが多いと言われています。
お腹がすいてないのに食べたいときにおすすめの食べ物はありますか?
中川 龍太郎(医師)
食物繊維が豊富な食材であれば、食べ応えがあったりお通じが改善したりと良い点があります。しかし、基本的には食べること以外で欲求を満たす、気を紛らわせる方法を考えていくのが良いでしょう。
お腹がすいてないのに食べたくなるのは病気でしょうか。
中川 龍太郎(医師)
ホルモンバランスの生理的な変化の範囲内であることも多いです。必ずしも病気というわけではありません。
お腹がすいてないのに食べたくなるのですが何科の病院を受診すればよいですか?
中川 龍太郎(医師)
精神科や心療内科の受診をお勧めします。
まとめ お腹がすいてないのに食べたいのは精神科や心療内科で予防
今回はお腹が空いてないのに食べたい、という症状について解説しました。自分の状況が当てはまるという方は、ぜひ一度医療機関で相談してみてください。
「お腹がすいてないのに食べたい」症状で考えられる病気
「お腹がすいてないのに食べたい」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 妊娠悪阻
- 月経前症候群
- 月経前気分不快障害
「お腹が空いていないのに食べたい」症状から考えられる疾患は上記が当てはまります。基本的には精神科・心療内科の領域が絡んでくるものが多いです。これらの病気は本人の心持ちだけではどうにもならないものも多いので、医療機関で相談してみましょう。
「お腹がすいてないのに食べたい」に似ている症状・関連する症状
「お腹がすいてないのに食べたい」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- ストレスで食べ過ぎてしまう
- 感情が落ち着かず、つい食べてしまう
「お腹が空いていないのに食べたい」症状以外に、上記のような症状がある場合も過食症や月経前症候群、月経前気分不快障害の可能性があります。症状が続く場合は、一度医療機関を受診しましょう。