目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 胃・腸・肛門
  4. 「仰向けに寝るとお腹が痛い」のは何が原因?考えられる病気も医師が徹底解説!

「仰向けに寝るとお腹が痛い」のは何が原因?考えられる病気も医師が徹底解説!

「仰向けに寝るとお腹が痛い」のは何が原因?考えられる病気も医師が徹底解説!
仰向けに寝るとお腹が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

プロフィールをもっと見る
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」原因と対処法

さまざまな原因でおなかに痛みが出る場合があります。腹痛は、仰向けにまっすぐ寝ると、腹壁の筋肉が緊張するため、腹部に圧力がかかり痛みが強くなることがあります。このような場合には、おなかを前かがみにしたり、横向きになる事で腹痛が軽減される場合もあります。また、このほかにも仰向けの状態で起こりやすい腹痛もあります。この記事では、仰向けに寝たときにお腹が痛くなる原因について解説いたします。

仰向けに寝るとお腹が痛い原因と対処法

仰向けに寝ると、腹痛がある場合、上腸間膜動脈症候群の可能性があります。上腸間膜動脈症候群とはやせ型の体形の方で起こりやすい病気です。十二指腸が大動脈と上腸間膜動脈の間に挟まれ、圧迫されることで症状が出ます。仰向けになると、この圧迫が強く起こり、腹痛や吐き気などの症状が出やすくなるのです。また、膵炎や胆嚢炎、胃・十二指腸潰瘍など腹痛の原因となる病気がある場合には、仰向けに寝ることで腹壁の筋肉が緊張して腹部に圧力がかかることで痛みを強く感じる可能性があります。また、便秘や腸のガスが多くなりお腹が張るようになると、普通では感じない痛みが、仰向けに寝ているときには痛みとして感じる場合もあります。

女性で仰向けに寝るとお腹が痛い原因と対処法

女性で仰向けに寝ているときにお腹が痛いと感じる場合には、さまざまな原因が考えられます。先にお話しした腹痛の原因はもちろん、女性特有の病気の可能性も考えられます。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などがある場合仰向けになると圧迫されるため、より腹痛を感じることも少なくありません。また、病気でなくとも、生理に伴い痛みが強くみられることもあります。 その他に、女性では妊娠に伴い体が変化していく過程で腹痛を起こすこともあります。強い痛みで、持続する場合、出血を伴う時には、産婦人科受診をしなければなりません。しかし、妊娠初期では、子宮が大きくなることや、ホルモンのバランスの変化に伴って生理的な痛みが出ることもあります。軽い痛みであれば、生理的な痛みの可能性があります。仰向けに寝た時だけに気が付くような軽い痛みであれば、異常ではないことも多いです。気になるようでしたら、産婦人科を受診する際に相談をしてみましょう。

生理前に仰向けで寝るとお腹が痛い原因と対処法

生理中だけではなく、生理前にもホルモンの影響で子宮が収縮することがあるため、下腹部を中心とした痛みがみられることがあります。月経前3〜10日間程度続く不調が月経前症候群(PMS)です。このPMSの症状は、腹痛以外にもイライラしたり、気分が落ち込んだり、眠気、頭痛、目眩や便秘などさまざまです。このように腹痛がある時には、仰向けで寝ると腹壁が緊張し、痛みが強くなることがあります。体を屈曲させたり、温めたりすることで痛みが和らぐこともあります。このようなPMSの症状が強い場合には、婦人科で症状を軽減させる治療を行うことも可能です。辛い症状が続く場合には一度婦人科で相談してみると良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「仰向けに寝るとお腹が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

腹痛が強く、持続する症状の場合は、消化器内科へ

さまざまな原因で仰向けに寝るとお腹が痛くなる症状がみられることがあります。お腹を少しまるめて痛みがなくなったり、一時的なものであれば良いですが、冷や汗をかくような強い痛みであったり、痛みが持続して改善しない場合には消化器内科を受診すると良いでしょう。痛みが強い場合には、救急外来を受診することも検討しましょう。

受診・予防の目安となる「仰向けに寝るとお腹が痛い」のセルフチェック法

・強い痛みが続く症状がある場合 ・血を吐く、黒色の便がでる症状がある場合 ・ふらつきなどの血圧が下がる症状がある場合 ・腹痛が何度も繰り返す症状がある場合 これらの症状がみられる場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。また、女性で生理周期に伴う症状であれば、婦人科を受診することがおすすめです。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「仰向けに寝るとお腹が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

上腸間膜症候群

お腹の中で大動脈と上腸間膜動脈の間に十二指腸が位置しています。十二指腸は胃から続く消化管です。通常はこの大動脈と上腸間膜動脈の間には十分に脂肪があるため十二指腸が圧迫されることはありませんが、やせた人では脂肪が無いため十二指腸が圧迫されます。十二指腸が圧迫されると、食物の通過が悪くなり、食後に腹痛や嘔気、嘔吐などがみられるようになります。これが「上腸間膜動脈症候群」です。この症状は、食後に仰向けになると悪化しやすいです。

急性膵炎

急性膵炎は、膵臓で起こっている急性炎症です。原因としては、アルコールと胆石が多いです。症状としては、上腹部の辺りの痛みが多いですが背中まで痛みが広がることもあります。腹痛の他に、嘔吐や発熱などがみられ、重症化すると意識障害や血圧が低下しショック状態となる事もあります。急性膵炎では、入院して絶飲食での安静、十分な輸液投与が必要です。急性膵炎を疑ったら、早めに医療機関を受診しましょう。

急性胆嚢炎

胆のうに急性の炎症を起こした状態を急性胆嚢炎と言います。急性胆嚢炎の原因の約9割は胆石と言われています。脂肪分の多い食事を食べた後に症状が出やすいです。胆嚢炎の症状は、みぞおちから右側腹部にかけての腹痛、発熱などです。胆嚢炎は軽症であれば、抗生剤投与や飲み薬で改善しますが、重症となると手術が必要な場合もあります。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜が胃酸などの消化酵素により傷つき、穴があきそうになっている状態を胃・十二指腸潰瘍と言います。胃の粘膜にヘリコバクターピロリ菌が感染することが主な原因です。このほかに、解熱鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬)により起こる薬剤性の潰瘍も増加傾向です。 ピロリ菌に感染すると、胃や十二指腸の粘膜に炎症が起こり、粘液が減少することで粘膜が酸により傷つきやすくなります。潰瘍が起こると、みぞおちの辺りの痛みが起こり、吐き気や嘔吐の症状がみられるようになります。また、潰瘍から出血することで、吐血したり、黒色便がみられることも少なくありません。出血量が多いと、血圧が低下し、ショック状態となる事もあります。また、潰瘍の傷が深くなり、胃や十二指腸の壁に穴が開くと腹膜炎となる事もあります。このような場合には、手術などの緊急の処置が必要です。

急性虫垂炎、憩室炎

急性虫垂炎とは、一般的に「盲腸(もうちょう)」と呼ばれることも多いです。虫垂は大腸の一部で右の下腹部に位置します。この部位が糞石などの原因で閉塞して腸内細菌が増殖し、感染・炎症を起こしたものが虫垂炎です。炎症が進むと、虫垂が壊死し、破れて穴が開くこともあります。その結果、腹膜炎や膿瘍の形成が起こることもあり、注意が必要です。腹痛や発熱、吐き気や下痢などの症状がみられた場合には消化器内科を受診しましょう。 憩室炎は大腸にできるくぼみに炎症がおこったものです。憩室ができた場所の腹痛や発熱、下痢などの症状が起こります。虫垂炎と同様に進行すると、膿瘍や穴が開いて腹膜炎を起こすこともあり、早めに消化器内科を受診することが大切です。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」時の正しい対処法は?

仰向けで寝るとお腹が痛むときには、おなかを伸ばさず、屈曲して丸めると痛みが軽減することもあります。また、生理痛などではおなかを温めることで痛みが和らぐこともあるため試してみても良いでしょう。これらの方法で症状が治まるのであれば、様子を見ても良いですが、痛みが続いたり、強い痛みがある時には我慢せず早めに消化器内科を受診しましょう。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「仰向けに寝るとお腹が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

おへその上あたりが痛い原因について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

おへその上あたりには胃や十二指腸、膵臓や胆のうが位置しています。これらの臓器が傷ついたり、炎症が起こると痛みがみられます。胃・十二指腸潰瘍や膵炎、胆嚢炎などです。また、やせた方では上腸間膜動脈症候群と言って仰向けで寝ると痛みが悪化する症状がみられることもあります。お腹の中の脂肪が少ないために、大動脈と上腸間膜動脈の枝分かれの部分が狭くなり、この間を通る十二指腸が圧迫されるために認められる症状です。なかなか、症状のみでの判断は難しいため、症状が続く場合には消化器内科で相談をしましょう。

まとめ 仰向けになると腹痛を繰り返す場合には、消化器内科を受診しよう

仰向けになると腹痛が出る場合、いろいろな病気が考えられます。やせ型でみられる上腸間膜動脈症候群の場合もあれば、胃・十二指腸潰瘍や胆嚢炎、膵炎、子宮内膜症や卵巣嚢腫など腹部での病気の可能性があります。これらの病気は、仰向けになる事で腹壁が緊張しお腹を圧迫しやすくなるため、仰向け以外の時より仰向けでより腹痛を感じることが多いです。症状が持続する場合には、消化器内科を受診しましょう。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」で考えられる病気

「仰向けに寝るとお腹が痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胆のう炎
  • 膵炎
  • 上腸間膜動脈症候群

婦人科の病気

仰向けになると腹痛がみられる病気はさまざまです。通常の腹痛でも仰向けでは症状が強くみられることもあります。腹痛が持続したり、痛みが強い場合には消化器内科を受診しましょう。また、下腹部で月経に関連する症状であれば婦人科を受診しても良いでしょう。

「仰向けに寝るとお腹が痛い」に似ている症状・関連する症状

「仰向けに寝るとお腹が痛い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

仰向けに寝ると腹痛があり、上記のような症状がある時には消化器系の疾患や婦人科系疾患などさまざまな病気が考えられます。症状だけで区別は難しいため、消化器内科もしくは婦人科で相談をすると良いでしょう。

この記事の監修医師