「胃の調子が悪い」原因・医師が薦めるおすすめの食事・飲み物はご存知ですか?
胃の調子が悪い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
「胃の調子が悪い」原因と対処法
胃の調子が悪い時、身体には何が起きているのでしょうか。
考えられる原因や病気、その対処法について解説していきます。
本記事を参考にしていただいた上で、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。
胃の調子が悪い原因と対処法
胃の調子が悪い原因としては、普段の飲食の乱れが考えられます。
飲み過ぎや食べ過ぎなどにより、胃粘膜が炎症を起こします。
また、辛いもの、飲酒、喫煙、カフェインの摂りすぎ、ストレスなどは胃酸過多につながり、胃炎を起こすことも少なくありません。
刺激物を減らし、腹八分目の食事や規則正しい生活を心掛け、症状が続くようでしたら早めに消化器内科を受診してください。
胃の調子が悪く、背中も痛い原因と対処法
胃の調子が悪いと感じ、さらに背中が痛い時は、胆のう炎や胆管炎の可能性があります。
胆のうとは肝臓で作られた胆汁をためておき、胆管を通して十二指腸へ胆汁を送る臓器です。
この胆のうや胆管に結石などができて炎症が起こった状態が胆のう炎、または胆管炎です。
右側の上腹部や背中に痛みが出るのが特徴で、吐き気や発熱、嘔吐がおこることもあります。
胃の不調のほかに背中の痛みがある場合、原因により治療が異なるため医療機関を受診する必要があります。
上記のような症状に心当たりがある場合は、消化器内科を受診してください。
胃の調子がずっと悪い原因と対処法
胃の調子がずっと悪いと感じている場合は、もしかしたら機能性ディスペプシアかもしれません。
よくある症状としては食後の胃もたれ、食後すぐに満腹感が生じる膨満感、みぞおちの痛みや焼けるような感覚などです。
明らかな不調の自覚があるにもかかわらず、胃や腸の検査で異常が見つからないことが多い病気です。ストレスや生活習慣の乱れから来る場合も多いため、規則正しい生活やストレスからの解放を意識していただき、消化器内科で胃の働きを改善する治療を行うことも有効です。
胃の調子が悪く、ストレスも感じ、背中も痛い原因と対処法
胃の調子が悪く、さらにストレスを感じ、背中が痛い場合、それは十二指腸潰瘍かもしれません。
胃と小腸をつなぐ十二指腸に炎症が起き、潰瘍ができた状態を指します。
食後の胃の痛みや、空腹時に胃やみぞおちが痛む、背中や腰が痛むといった症状が見られます。
胃潰瘍にも同じことが言えますが、十二指腸潰瘍もストレスや睡眠不足、疲労、刺激物の過剰な摂取などが原因で胃酸と胃粘液のバランスが崩れ、潰瘍が生じます。
背中の痛みだからと整形外科を受診し、湿布などの薬を処方されても症状が改善しない場合、十二指腸潰瘍を疑ってみる必要があります。
消化器内科で症状を伝え、診察を受けてください。
胃の調子や背中も痛く、下痢を催す原因と対処法
胃の調子が悪く、背中も痛い上に下痢を催す場合、膵炎の可能性が考えられます。
膵炎はその名の通り膵臓の炎症で、急性と慢性に分けられます。
急性膵炎はアルコールの飲み過ぎ、胆石が主な原因で、症状は腹痛や背中の痛み、嘔吐、発熱などがあります。
慢性膵炎は膵臓の細胞が壊れて線維化する病気で、男性は飲酒が主な原因、女性は原因不明であることが多いです。
症状の進行に伴い、腹痛、消化不良を伴う下痢、糖尿病の発症などが見られます。
急性、慢性でそれぞれ治療や対処法が異なりますので、いずれにせよ不調の自覚がある場合は早めに消化器内科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「胃の調子が悪い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
どろっとした黒い便が出る場合は、消化器内科へ
胃や十二指腸で出血が起こると、血液中に含まれるヘモグロビンが胃酸によって酸化され黒く変色します。飲食物の影響で一時的に便が黒くなることはありますが、いわゆるタール便と言われるようなコールタール上の黒い便が出ている場合、胃や十二指腸から出血している可能性を考えます。この場合、胃や十二指腸の潰瘍のほか、出血性の胃炎、あるいはがんの疑いがあります。
特にタール便がみられる場合には、できるだけ早く消化器内科で詳しい検査を受けるようにしてください。
受診・予防の目安となる「胃の調子が悪い」のセルフチェック法
- 胃のあたりに痛みや不快感がある場合
- 下痢と便秘を繰り返す場合
- 胃の不調が長期間続いている場合
- 食欲がない状態が続く場合
- 体重が減っている場合
「胃の調子が悪い」際の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「胃の調子が悪い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃腸炎
胃腸炎とは、その名の通り胃や腸に炎症が起きる病気の総称です。
発症の原因はウイルスや細菌への感染のほか、薬やストレスの影響から来る非感染性のものがあります。
胃腸炎を引き起こすウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルスなどがあり、感染経路は接触感染や経口感染です。
細菌では大腸菌やカンピロバクター、サルモネラ菌などがあり、汚染された食べ物を食べたり、十分に加熱がされていない肉を摂取したりすることが原因となって食中毒を引き起こすこともあります。
軽症の場合は胃腸を休め、水分をしっかり摂ることで自然に回復することもありますが、下痢や腹痛、嘔吐が続いたり、水分を摂ることができなかったりする場合はすぐに内科、消化器内科を受診してください。
虫垂炎
虫垂炎とは、大腸の一部である盲腸の先にある虫垂という部位に炎症が起こる病気です。
その原因ははっきりしていませんが、虫垂に便などが詰まり、そこに細菌やウイルスが感染して発症すると考えられています。また、暴飲暴食や生活の乱れが原因であるとも考えられています。
虫垂炎にはみぞおち辺りから始まった痛みが右下腹部に移動するという特徴がありますが、必ずしもそのような症状が出るとも限らず、診断が難しい部分もあります。
炎症が進むと腹膜炎を併発する場合があり、命に関わることもありますので注意が必要です。
痛みが右下に移動する、腹痛や嘔吐が激しいといった場合はできるだけ早く医療機関を受診する必要があります。消化器内科のほか、救急外来の受診もためらわないでください。
腸閉塞(イレウス)
腸閉塞(イレウス)とは、何らかの理由で腸管が狭くなったりふさがったりすることで、消化物や水分、ガスなどが通れなくなった状態のことを指します。
腸の構造や異物により閉塞が起こる機械的腸閉塞と、腸の動きの異常により閉塞が起こる機能的腸閉塞に分けられます。
腸閉塞の原因として最も多いのは手術後の癒着です。過去に腹部の手術を受けた経験のある方は腸閉塞の発症リスクが高いです。
その他、便秘や消化できないものを飲み込んでしまったことでも起こり得ます。
治療内容は絶飲食で消化管を休ませて経過を観察し、場合によりイレウス管というチューブを挿入して腸の内容物を排出する保存療法や、治療が困難な場合や腸管が壊死した場合には手術療法を行います。
腸管の機能に支障が出ているため、便秘、ガスが溜まる、お腹が張る、吐き気や嘔吐、腹痛などが自覚症状です。このような症状が見られた場合は早めに医療機関を受診してください。
消化器内科、消化器外科、場合によっては救急外来を受診しましょう。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃酸をはじめとする胃の内容物が食道に逆流することで、食道に炎症が起こる病気です。
胃酸の逆流は健康な人でも見られますが、逆流が続くと、食道粘膜に炎症をきたします。
主な原因は加齢による筋力の低下や、肥満などで胃が圧迫されること、食べ過ぎ、早食い、喫煙や過度のアルコール摂取などです。
逆流性食道炎の症状には胸やけや食後の胸痛、酸っぱいものが上がってくる呑酸のほか、咳や喉の違和感がありますが、中には自覚症状がなく、検診で偶然発見されるケースもあります。
基本的な治療の方針は、胃酸の分泌を抑える薬、胃の働きを改善させる薬の服用になります。
また、食べ過ぎない、食後すぐに横にならないなどの生活習慣の見直しも重要な対策の一つです。
これらの対処法で改善しない場合、病状に応じて逆流防止の手術を行うこともあります。
対応する診療科は消化器内科です。先に述べたような症状に心当たりがあれば、早めの検査をおすすめします。
医師が薦める「胃の調子が悪い」時に、おすすめの食事
胃の調子が悪い場合には以下のような消化の良い食事で胃腸を整えましょう。
おかゆ
おかゆは水分を多く含み、消化しやすく胃腸の負担を軽くします。
加熱した野菜や赤身肉と少量の塩を加えることで、栄養バランスも向上します。
ヨーグルト
ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌は、ヒトに有益な作用をもたらす微生物であるプロバイオティクスと呼ばれ、胃腸の働きを助ける可能性があることが指摘されています。
卵
卵や豆腐など、柔らかくて食物繊維が少なく、辛くなく、加熱された食品は「当たり障りのない食事」とされ、分解と消化がしやすいため胃腸の負担を軽くするとされています。
医師が薦める「胃の調子が悪い」時に、おすすめの飲み物
カフェインの入っていないお茶
カフェインは胃に負担をかける可能性があり、調子が悪い場合には避けた方が良いでしょう。ノンカフェインのお茶(麦茶、ルイボスティーなど)がお勧めです。
水または白湯
胃の調子が悪い時の水分補給には、刺激の少ない水や白湯が適しています。冷たくしすぎると胃に刺激を与えてしまうおそれがあるため、常温または温めた白湯が良いでしょう。
経口補水液
胃の調子が悪く、食事を十分に取れない場合は、経口補水液で電解質と水分を補給することも有効です。
こちらも冷たいものは胃に負担となるため、常温がおすすめです。
「胃の調子が悪い」時の正しい対処法は?
胃の調子が悪いときの対処法としては、市販薬や漢方薬の使用も選択肢の一つです。それでも症状が改善しない場合、自己判断で市販薬の服用を続けず、必ず病院を受診して適切な検査、治療を受けるようにしましょう。
また、規則正しい生活を心掛け、適度な運動を行い、ストレスを発散させることも大切です。喫煙は胃腸に悪影響を及ぼすため、控えた方が良いでしょう。
早く回復させたい場合は、まず胃を休ませることが重要です。この機会に生活リズムの改善や、不健康と思われる習慣があれば見直してみてください。
便が黒っぽい場合や、胃の違和感が続いて吐き気がある、食欲がない、体重が減少している、みぞおちの痛みがあるなどの自覚症状があれば病院を受診することをおすすめします。
これらの症状がある場合、早めに消化器内科を受診しましょう。
「胃の調子が悪い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃の調子が悪い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃の調子が悪い時、どのような症状が現れますか?
伊藤 陽子(医師)
一般的に、胃のもたれ、吐き気、みぞおちの痛み、ゲップがよく出る、といった症状が現れることが多いと考えます。また、食欲がなくなることもあります。
胃の調子が悪い時に、どのツボを押せば改善しやすいですか?
伊藤 陽子(医師)
胃の調子が悪い時には、中脘(ちゅうかん)、天枢(てんすう)、内関(ないかん)などが知られています。
中脘は、みぞおちとへそのちょうど中間あたりに位置し、だるさを伴う胃腸の疲れに効果が期待できます。
天枢は、へそから指3本分外側にあり、便秘の症状の緩和が期待できます。
内関は、手首から親指2本分、ひじ寄りに位置します。吐き気を伴う胃腸の症状に効果が期待できます。
ただし、これらはすべて一般的な情報であり、個々の症状に必ず効果があるという保証はありません。
不調が続く場合は医療機関に相談してください。
まとめ 胃の不調が長引く時には消化器内科受診を!
現代において、ストレスや不規則な生活から逃れることが難しくなっており、胃の不調を感じる方も多くなっています。しかし、持続する場合はがんなどの大きな病気が隠れている可能性もあります。
適切な対処法やストレス対策を講じた上で、不調が続くようであれば早めに消化器内科を受診し、医師に相談するようにしてください。
「胃の調子が悪い」で考えられる病気
「胃の調子が悪い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
- 機能性ディスペプシア
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 胃炎
- 逆流性食道炎
- 膵炎
- 胆のう炎
- 虫垂炎
これらのほかにも、胃に影響を与える病気はさまざまなものがあります。違和感はそのままにせず、早めに医療機関を受診してください。
「胃の調子が悪い」に似ている症状・関連する症状
「胃の調子が悪い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- ゲップが出る
- 吐き気がある
- 食欲がない
- 貧血
- 体重の減少
胃の不調、違和感は身体の発するSOSのサインです。一時的なものですぐ収まることも多いですが、たびたび続くようでしたら放置せず、一度消化器内科で検査を受けることをおすすめします。