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「便を出す時に痛い」のはどんな原因が考えられる?医師が徹底解説!

「便を出す時に痛い」のはどんな原因が考えられる?医師が徹底解説!

便を出す時に痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

「便を出す時に痛い」症状で考えられる病気と対処法

便を出す際に、お尻の穴に痛みを感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。
痛みの原因は、比較的軽いものから深刻なものまでさまざまです。
今回の記事では、便を出す時に痛い原因や対処法について解説していきます。

便を出す時にお尻の穴が痛い症状で考えられる原因と対処法

肛門周辺の痛みは、しばしば肛裂や痔によって起こります。そして、排便時の痛みは、刺激物の排出による刺激や圧力が原因で悪化することがあります。
考えられる病気や原因としては、以下のようなものがあります。

  • 肛裂:強い便意によって生じる急激な肛門の伸展が原因で起こります。
  • 外痔核:排便時の圧力によって肛門周辺の静脈が膨張し、痛みや腫れが発生します。

こうした症状がある場合、肛門科や外科の専門医による診察を受けるようにしましょう。血便や持続的な痛みが伴う場合は、早めに医療機関を受診することが必要です。

便を出す時に下腹部が痛い症状で考えられる原因と対処法

下腹部痛は、お腹の下の方が痛くなるというものです。便秘や消化器系の疾患によるものが考えられます。
考えられる病気や原因としては、以下のようなものがあります。

  • 便秘:硬い便や不規則な排便が原因で、下腹部に圧迫感や痛みを感じることがあります。特に女性の場合には、月経周期後半に、卵巣から分泌される黄体ホルモンが腸管の動きを抑制する働きをするために便秘傾向になります。一方、月経が始まるとホルモンの分泌が止まるので、生理中には便秘は改善します。
  • 大腸癌:腫瘍が大腸内を通る便に圧迫を与えることで痛みを引き起こすことがあります。お腹のみならず、背中の痛みなども感じることがあります。

こうした症状がみられる場合には、消化器科や内科の診察を受けることが適切です。症状が続く場合や他の体重減少、血便などが伴う場合は、緊急性が増すため、早めに医療機関を受診しましょう。

妊娠中に便を出す時に痛い症状で考えられる原因と対処法

妊娠中はホルモンの変化により便秘になりやすく、それが排便時の痛みの一因となることがあります。また、特に臨月では拡大する子宮が腸に圧力を加えることも影響します。
考えられる病気や原因としては以下のようなものがあります。

  • 妊娠による便秘:ホルモンの影響で腸の動きが遅くなります。
  • 痔:妊娠中の血流増加と圧力により、痔が発生しやすくなります。

妊娠中に、排便時の痛みがある際には産婦人科や内科で相談するようにしましょう。特に出血が伴う場合は、その他の病気の可能性もあるので、評価が必要です。

出産後に便を出す時に痛い症状で考えられる原因と対処法

出産後は体の回復過程で便秘が生じやすくなり、それに伴い肛門周辺に痛みを感じることがあります。
考えられる病気や原因としては以下のようなものがあります。

  • 産後の便秘:ホルモンの変化や身体の回復中によく見られます。
  • 会陰部(えいんぶ)の傷:出産時の会陰切開が原因で痛みが発生することがあります。

こうした症状がみられる場合には、産婦人科または肛門科での相談が必要です。特に感染の兆候や持続する痛みが見られる場合は、迅速な対応が必要です。

便を出す時に痛くて血が出る症状で考えられる原因と対処法

痛みとともに出血が見られる場合、肛裂や痔、消化器系の疾患が考えられます。
考えられる病気や原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 裂肛(れっこう):いわゆる切れ痔であり、肛門の裂け目から出血が見られます。
  • 痔核:内痔核、外痔核のいずれも出血を引き起こす可能性があります。
  • 大腸がん:出血を伴う場合、大腸がんの可能性もあります。

排便時の痛みと出血がある場合は、肛門科、消化器科、外科を受診します。血便が見られる場合は特に緊急性があり、速やかな診断が必要です。

便を出す時に痛いけれど出血はない症状で考えられる原因と対処法

出血を伴わない排便の際の痛みは、以下のような病気や原因で起こることがあります。

  • 機能性直腸肛門痛:肛門や直腸に、いぼ痔や痔瘻、切れ痔などの明らかな異常はないものの、肛門に痛みや違和感がある状態のことです。排便時以外にもこうした症状があります。

出血を伴わない場合であっても、症状が続く場合や他の症状(腹部の膨満感、変化した便の形状や色、体重減少など)が見られる場合には、内科や消化器科の受診を受けましょう。特に症状が激しく日常生活に支障をきたす場合や、痛みが増す場合には、早急な診断と治療が必要です。

すぐに病院へ行くべき「便を出す時の痛み」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

血便や発熱を伴う排便時の痛みの場合は、消化器内科や消化器外科へ

激しい痛みや持続的な痛み、出血が伴う場合(特に黒いタール便や鮮血)、高熱や寒気が伴う場合には、注意が必要です。大腸炎や感染性胃腸炎、痔、肛裂、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、大腸がんなどの可能性があります。
消化器内科や外科、肛門科を受診するようにしましょう。
痛みが激しく、出血など他の重篤な症状が伴う場合には、救急医療センターなどの受診も考慮します。受診時には、症状の発生時期、性質、持続時間、痛みの程度、伴う症状(出血、発熱など)を明確に医師に伝えるようにしましょう。

受診・予防の目安となる「便を出す時に痛い」症状のセルフチェック法

  • 便を出す時に痛い以外に出血がある場合
  • 便を出す時に痛い以外に発熱がある場合
  • 便を出す時に痛い以外に体重減少がある場合

「便を出す時に痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「便を出す時に痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

痔は、肛門の周辺に発生する、血管のうっ血や組織の腫れが起こる疾患で、主に内痔核と外痔核の二種類があります。内痔核は肛門の内部の静脈叢(じょうみゃくそう)が膨張したもので、外痔核は肛門の外側の皮膚の下に発生します。原因には便秘、長時間の座位、肥満、妊娠、出産、過度な肛門への圧力などがあります。
軽度の痔の場合、食事による繊維質の摂取の増加、水分摂取量の増加、規則正しい排便習慣の確立、座浴、局所に塗るクリームや坐薬が対処法として挙げられます。より重度の場合は、医師による外科的治療が必要になることもあります。これにはゴムバンド結紮、硬化療法、赤外線光凝固、切除術などの治療があります。
自宅での対処法による改善が見られない場合、出血が多い場合、排便時の痛みが激しい場合、または痔核が外に出て戻らない場合は、医療機関の受診が必要です。

裂肛

裂肛(肛門裂)は、肛門の皮膚や直腸の下部にある粘膜に細かな裂け目が生じる疾患で、切れ痔とも言います。硬い便によって肛門が過度に伸ばされてしまうことや、長期にわたる便秘、下痢、出産時の圧力などが原因で発生します。20〜50歳代に好発し、女性に多いとされています。
多くの場合、高繊維食の摂取、十分な水分摂取、規則正しい排便習慣、痛みを和らげるための温かい浴槽での座浴が有効です。局所麻酔剤が含まれるクリームや軟膏を使用することも一般的な対処法です。症状が重い場合や、自宅での治療で改善が見られない場合には、外科的処置が必要になることがあります。
裂肛の症状が数週間以上改善しない場合、出血が続く場合、または激しい痛みがある場合は外科や肛門科を受診しましょう。

直腸炎

直腸炎は、直腸の粘膜に炎症が生じる状態です。この炎症は感染、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)、放射線治療、薬剤による刺激などによって引き起こされることがあります。
直腸炎の治療は原因ごとに異なります。感染が原因の場合は、抗生物質などが使用されることがあります。炎症性腸疾患に関連する直腸炎では、抗炎症薬、免疫抑制剤、生物学的製剤などの投与が行われることがあります。症状を管理するために、食事の調整やストレス管理もすすめられます。
排便時の痛み、持続する下腹部痛、便に血や粘液が混じる、または通常の排便パターンの変化が見られる場合は、医師の診察が必要です。消化器科や内科の受診が適切と考えられます。

痔瘻

痔瘻(じろう)は、肛門や直腸の周囲の組織に異常な通路が形成される疾患です。通常、肛門内部の感染や膿瘍が原因で起こり、これが瘻孔(ろうこう)として皮膚表面に開きます。痔瘻は繰り返し感染しやすく、しばしば慢性的な状態になります。
痔瘻の治療には、一般的に外科的な治療が必要です。瘻管を開放して清潔に保つことで感染を治療し、再発を防ぐために取り除く手術が行われます。軽度の場合や手術に適さない患者には、抗生物質の投与やドレナージなどの治療が選択されることもあります。
肛門周辺に痛み、腫れ、発赤、排膿などが見られる場合や、これらの症状が持続または悪化する場合には、速やかに肛門科や外科の診察を受けて下さい。

便秘症

便秘症とは、排便が困難で、便が通常より硬くなるか、または排便頻度が減少する状態を指します。原因としては、食物繊維や水分の不足、運動不足、特定の薬剤の影響、ストレス、または何らかの疾患によるものがあります。
便秘の治療はライフスタイルの変更から始めます。例えば、繊維の多い食事、充分な水分摂取、定期的な運動があります。また、便秘薬(食物繊維サプリメント、下剤、浣腸など)が症状の緩和に用いられることもあります。症状が長引く場合は、原因となる基礎疾患を治療する必要があるかもしれません。
自宅での対処法にもかかわらず症状が改善しない場合、便秘が2週間以上続く場合、血便が見られる場合や、体重減少など他の症状がある場合は、医療機関を受診する必要があります。
便秘の症状が見られる場合は、まずは内科の受診をお勧めします。特に、腹痛や血便など、他の消化器系の症状が伴う場合は、より専門的な診断が必要になることがあります。

「便を出す時に痛い」症状の正しい対処法は?

排便時に痛みを感じるとき、さまざまな対処法が役立つことがあります。ここでは、痛みを和らげる一般的な方法と、特定の症状に対するアプローチを紹介します。

一般的な方法:

  • 温浴:暖かいお風呂に入ることは、筋肉をリラックスさせ、痛みを和らげるのに効果的です。特に、痔の炎症を落ち着かせることができます。
  • 水分摂取:十分な水分を摂取することで、便を柔らかくし、排便時の力みを減少させることができます。
  • ストレス管理:ストレスは消化器系の問題を悪化させることがあります。リラクゼーションテクニックを取り入れて、日常生活のストレスを管理しましょう。

特定の症状に対するアプローチ:

  • 痔:清潔を保ち、局部を冷やすことで症状を和らげることができます。市販の局所麻酔薬を含むクリームや坐薬が症状の緩和に役立つことがあります。
  • 裂肛:柔らかいトイレットペーパーを使用し、刺激を避けましょう。

市販薬についての注意点:
市販薬は一時的な症状の緩和には有効ですが、内部出血を伴う場合などでは使用を控え、専門医の診察を受けて下さい。
使用する際は、添付の指示に従い、推奨される用量を守って下さい。

追加のライフスタイルの提案:

  • 腹部のマッサージは便通を促進することがあります。また、足三里などのツボを刺激することも症状を和らげるかもしれません。

しかし、症状が収まらない場合は、専門の医療機関を受診しましょう。

「便を出す時に痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「便を出す時に痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

便を出す時に痛くて肛門がベトベトしているのですがどうしてですか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

肛門がベトベトして痛い場合、それは痔の症状かもしれません。特に外痔核がある場合、炎症や出血によって肛門周囲が湿って感じられることがあります。また、肛門周囲腺の分泌物の増加や感染が原因である可能性もあります。正確な診断と適切な治療を受けるためには、医療機関を受診することをお勧めします。

便を出す時に痛くて3日間排便していないのですがどうすればいいですか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

3日間排便がなく、便を出す際に痛みがある場合は、便秘が原因である可能性が高いです。一般的な対処法としては、水分を多く摂取し、食物繊維の多い食事を心がけ、適度な運動をすることが助けになります。しかし、痛みが強い場合や他の症状がある場合は、直ちに医師の診察を受けることが重要です。

まとめ 便を出す時に痛い場合には消化器内科や外科、肛門科を受診しよう

排便時に痛みを感じるときは、体からの重要なサインかもしれません。それは単純な便秘から痔、さらには消化器系の疾患までさまざまな可能性が考えられます。日常的な対策としては、食生活の改善、十分な水分摂取、運動を心がけることが重要ですが、症状が持続したり、特に出血が伴う場合や発熱などの全身の症状が伴う際には専門の医療機関での受診が必要です。

「便を出す時に痛い」症状で考えられる病気

「便を出す時の痛み」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

  • 裂肛(切れ痔)
  • 便秘症
  • 大腸癌
  • 直腸炎
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
  • 機能性直腸肛門痛

これらは一般的な病気の例ですが、他にも原因がある可能性があります。症状が持続する場合は、適切な診断と治療のために医師の診察を受けることが重要です。

「便を出す時の痛み」に似ている症状・関連する症状

「便を出す時の痛み」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 出血
  • 肛門のかゆみ
  • 肛門周囲の腫れや炎症
  • 不規則な排便習慣(便秘または下痢)
  • 便が硬い
  • お腹の膨満感
  • 下腹部の痛み
  • 腰痛
  • 体重減少
  • 疲労感
  • 吐き気や嘔吐
  • 発熱や寒気

これらの症状がある場合、何らかの健康問題が存在する可能性があります。特に症状が悪化したり日常生活に影響を与えたりするほどに重篤な場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

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