「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」原因をご存知ですか?医師が徹底解説!
お腹は空くのに食べると吐き気を催す時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
梅村 将成(医師)
消化器外科・総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患を診療。小児から高齢者まで、健康に悩みを抱えるすべての患者さんが納得した医療を受けられるよう、専門医と総合医の視点をもって日夜診療に努めている。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」ときに考えられる病気と対処法
お腹はすくのに食べると吐き気を催す場合には、ストレスやつわり、逆流性食道炎などの病気が隠れている可能性があります。考えられる状態や、その対処法を解説します。
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状で考えられる原因と対処法
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状で考えられる原因に、機能性ディスペプシアがあります。食後の胃もたれ、腹痛などつらい消化器症状を繰り返すのに、胃カメラなどで検査をしても異常が見つからない病気です。
命にかかわるような大病ではありませんが、症状が強いことも多く生活の質に影響します。このような症状で悩む場合は早めに消化器内科の医師へ相談しましょう。
お腹は空くのに食べると吐き気を催し、ストレスを感じる症状で考えられる原因と対処法
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状で考えられる原因に、ストレスがあります。胃や腸などの内臓は、自律神経によって働きがコントロールされていますが、ストレスがたまると自律神経が乱れ、胃腸の不調を招きます。その結果、お腹は空くのに食べると吐き気を催すといった状態になってしまいます。
対処法はストレスをできるだけ取り除くことが大切です。運動をする、リラックスタイムを作る、休息をしっかりとるなどしてストレスを定期的に発散するようにしましょう。
妊娠中の女性でお腹は空くのに食べると吐き気を催し、つわりもある症状で考えられる原因と対処法
妊娠中の女性でお腹は空くのに食べると吐き気を催す原因に、つわりによる食欲不振や吐き気が考えられます。妊娠に伴うホルモンバランスの変化が原因で、主に妊娠初期に発症します。
妊娠が進むにつれて症状は落ち着きますが、症状が強くて食事がとれないようなら一度かかりつけの産婦人科に相談してみてください。
子どもでお腹は空くのに食べると吐き気を催す症状で考えられる原因と対処法
子供で、お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状で考えられる原因に、便秘があります。
うまく症状が訴えられない子供は、食べると吐き気を催したり、腹痛を訴えたりと様々な不調をきたすことがあり心配になります。
まずは、「最後に便が出たのはいつか?」「定期的に出ているか?」「量はしっかりでているか?」などの排便状況を子どもに聞いてみることが大切です。
すぐに病院へ行くべき「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
お腹は空くのに食べると吐き気を催し、痛みを伴う症状の場合は、消化器内科へ
お腹は空くのに食べると吐き気を催し、腹痛もある場合は十二指腸潰瘍を疑います。
近年有病率(病気にかかったことのある割合)は下がっているとはいえ、ピロリ菌感染に伴うものや、痛み止め(ロキソプロフェンなど)の飲み過ぎにより発症します。十二指腸潰瘍は吐血や貧血の原因になることもあるため注意が必要です。
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状の他に、痛みを伴う場合は、内視鏡検査などが必要な場合もあります。早めに消化器内科を受診してください。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、食道と胃の境にある下部食道括約筋が緩み、胃酸や食物が胃から食道に逆流してしまう病気です。原因に、加齢、胃内圧の上昇(食べ過ぎ、早食いなど)、腹圧の上昇(肥満、衣服による締め付けなど)が挙げられます。
代表的な症状は、胸が焼ける感じ、酸っぱいものが上がってくる、食後に吐き気を催すなどがあります。
主な治療は、内服による治療と生活習慣の改善が必要となります。食べ過ぎ・早食いなど思い当たる節があれば改善し、症状が続く場合は消化器内科を受診してください。
胃もたれ
胃もたれとは、食後に胃に不快感が出現したり、胃が重たいと感じる症状のことです。主な原因は、暴飲暴食やストレスなどによって胃腸の働きが弱まることで、食べ物の消化が悪くなり、食べ物が胃に長く停滞するために起こる症状です。
対処法として重要なのは、日常生活の見直しです。脂っこいもの、刺激の強いものは避け、よく噛んで食べる、夕食は就寝の2時間前までに済ませるといったことが大切です。
PMS(生理前症候群)
PMS(生理前症候群)とは、生理3~10日前に発症するさまざまな精神的・身体的な不調のことです。原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。症状は様々で、イライラすることや食後の吐き気など多岐に渡ります。
食事や睡眠などの生活習慣を見直すことでも改善しますが、症状の強い方は低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤の処方も検討されます。悩まれている方は早めに産婦人科を受診してください。
下痢
急性の下痢の原因で多いのが、暴飲暴食の翌日に起こる下痢です。一度は経験がある方が多いのではないかと思いますが、この下痢の原因の多くは消化不良による浸透圧性下痢です。アルコールを多く飲むと、その刺激で下痢することもあります。下痢と同様に胃腸機能が低下するため、吐き気を催すこともあります。
時間経過で改善するため心配はいりませんが、健康的な食生活を意識するようにしてください。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、胃痛や上腹部の不快感などの症状が3か月以上にわたって継続するにもかかわらず、上部消化管内視鏡検査などで明らかな原因となる疾患が見つからないという病気です。
診断としては、心窩部痛、心窩部灼熱感、食後のもたれ感、早期飽満感のうち1つ以上の症状があり、これらの症状のいずれかが診断の少なくとも6か月以上前から始まり、かつ直近の3か月間にも症状が続いている、ということになります。
気になる症状があれば消化器内科を受診してください。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、腹痛が空腹時に起こることが特徴です。食事を摂取すると痛みや吐き気症状が改善することもあり、逆に空腹になりやすい午後5~6時ごろや深夜に起きる腹痛が特徴的です。そのような症状が続くようならば消化器内科を受診しましょう。上部消化管内視鏡検査を受けることで診断は容易にできます。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」ときの正しい対処法や飲んでも良い市販薬は?
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状に対して、市販薬が効果的な場合があります。
暴飲暴食による胃もたれ症状には、太田胃散・スクラート胃腸薬Sなどの市販薬が効果的です。逆流性食道炎による胸やけ症状には、ファモチジン錠をためしてみてください。
市販薬で症状が改善したとしても、再発予防が大切です。特に、ご自身で原因がわからない場合は医療機関を受診することも必要です。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食後にたびたび気持ち悪くなるのは胃の病気でしょうか?
梅村 将成 医師
胃の病気の可能性もあります。一度医療機関を受診することをお勧めします。
お腹は空くのに食べると吐き気を催す症状の予防法を教えてください。
梅村 将成 医師
暴飲暴食をさけ、ストレスをためすぎないなど健康的な生活習慣を意識してください。
空腹で食べると吐き気がする場合、どんな食事が良いのでしょうか?
梅村 将成 医師
胃腸に負担が少ない食事がいいでしょう。辛い食べ物や、塩分などで味が濃い食べ物は胃への負担が強い食べ物です。食物繊維が多い食べ物も同様に、胃腸への負担がつよくなります。やわらかく炊いたごはんやお粥、やわらかく煮たうどんなどがおすすめです。
食後に胸焼け・胃もたれがするのは何科で治療できますか?
梅村 将成 医師
逆流性食道炎の可能性があります。消化器内科を受診してください。
まとめ
暴飲暴食後の胃もたれなど、一時的な空腹で食べると吐き気を催す症状ならば、大きな心配はいりません。もし数日~数週にわたって続く症状ならば何か病気が隠れている可能性もあるため、早めに消化器内科などの医療機関を受診してくださいね。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」で考えられる病気と特徴
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
婦人科の病気
- 月経前症候群
- 妊娠悪阻(つわり)
消化器科の病気
- 逆流性食道炎
- 急性胃炎
- 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)
- 機能性ディスペプシア
- 感染性腸炎
胃腸の病気が原因であることも多いのですが、女性の場合には婦人科系の病気が原因となることもあります。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」と関連のある症状
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「お腹は空くのに食べると吐き気を催す」の他に、これらの症状が見られる際は、「逆流性食道炎」「月経前症候群」「急性胃炎」「感染性腸炎」などの疾患の可能性が考えられます。痛みがひどい場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。