「破水のセルフチェック法」とは?尿漏れとの違いや注意点を医師が解説!

妊娠後期になると「もしかして破水かな?」と感じる場面があるかもしれません。破水はお産が近いサインですが、尿もれやおりものと区別がつきにくいこともあります。ここでは破水のセルフチェック方法や尿もれとの見分け方、そして破水したときの対処法をわかりやすく解説します。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
目次 -INDEX-
破水とは?破水の基礎知識
破水のセルフチェックを解説する前に、ここでは破水の基礎知識を解説します。
破水は子宮内部の羊水が流れ出ること
破水は、赤ちゃんを包んでいる膜(卵膜)が破れて子宮内の羊水が体外へ流れ出ることをいいます。簡単に言えば、お腹の中の赤ちゃんを満たしている羊水が漏れてしまう現象です。自然分娩の場合、赤ちゃんが生まれる前には必ず起こるものでもあります。
多くの場合、破水は陣痛が進んで子宮口が全開大になったタイミングで起こります。これを適時破水と呼びます。しかし、破水のタイミングには個人差があり、陣痛が始まる前に起こることも珍しくありません。
前期破水
陣痛が始まる前に破水してしまうことを前期破水といいます。
前期破水は全妊娠の5〜10%程度に起こるとされ、決してまれではありません。前期破水が起きると多くの場合24時間以内に陣痛が始まりますが、破水から時間が経つと感染のリスクが高まるため、病院で管理下において陣痛を待つことになります。場合によっては陣痛促進剤を使ってお産を促すこともあります。
陣痛が始まって子宮口が開大してきたタイミングで起こる破水はすでに入院中であることが多く、医師や助産師がすぐ対応できるため心配が少ないことが多いとされています。
破水のセルフチェック方法
下着についた液体が破水かどうか不安になる方もいると思います。そこで、本章では破水かどうかを見分けるセルフチェック方法を解説します。
下着に付着した液体の匂いを確認する
まずは、下着やライナーが濡れていたら匂いを嗅いでみましょう。破水の場合、漏れ出た羊水は基本的に無臭かあるいは独特の生臭いような匂いがする程度です。アンモニア臭はしないのが特徴です。一方、尿もれで下着が濡れている場合は尿特有のアンモニア臭がするはずです。
液体の量を確認する
次に漏れた液体の量を確認します。破水による羊水の量は人それぞれですが、足に伝うほど大量に流れるケースもあれば、ほんの少量が出る程度の場合もあります。一度に多く出た場合は破水を疑いやすいですが、高位破水(子宮の上の方で膜が破れた場合)のように少しずつ漏れる場合は区別がつきにくいこともあります。
尿もれの場合、多くは下着が少し湿る程度で止まります。お腹に力を入れれば自力で排出を止めることもできるため、足元まで伝うほど一方的に流れ続けることはあまりありません。一方、破水による羊水漏れは自分の意思では止められず、動くたびに生ぬるい液体が出てくるのが特徴です。特に、少量だけど何度も繰り返し漏れてくるという場合は破水の可能性が高くなります。
液体の色を確認する
漏れた液体の色もチェックポイントです。羊水は基本的に無色透明で、サラサラとした水のような見た目です。おりものと違って粘り気はありません. ただし、下着の色によっては判別が難しいこともあります。
一方、尿の場合は黄色っぽい色を帯びています。薄いレモン色のようなシミが下着に残っていれば尿もれの可能性が高いでしょう。また、おりものは白濁色や淡いクリーム色であることが多く、粘液状なので水っぽく広がらず下着に留まるのが普通です。
リトマス試験紙で確認する
市販のリトマス試験紙を使って破水か尿もれかを確認する方法もあります。羊水と尿では液体の性質(pH)が異なるため、それを利用した見分け方です。
羊水は弱アルカリ性(pH約7.6〜7.7)で、正常な尿は弱酸性(pH約6.0)です。リトマス紙はアルカリ性だと赤色の紙が青色に、酸性だと青色の紙が赤色に変わります。したがって、もし手元にリトマス試験紙があれば、下着を濡らした液体が アルカリ性か酸性か を調べてみることも可能です。尿であれば酸性寄りなので青い紙が赤っぽく、羊水ならアルカリ性なので赤い紙が青っぽく変色するはずです。
破水と尿もれ、おりもの、おしるしとの見分け方
破水と尿もれ、おりもの、おしるしは似ているところもありますが、見分けるために重要なポイントがいくつかあります。この章では破水と尿漏れ、おりもの、おしるしとの見分け方を解説します。
破水と尿もれの見分け方
尿もれは臨月の妊婦さんには珍しくありません。赤ちゃんが大きくなって膀胱が圧迫されることで、くしゃみや咳、あるいは立ち上がった拍子に少量の尿が漏れてしまうことがあります。
見分け方にはポイントがいくつかありますが、まずは前述の匂いです。尿もれであれば下着にアンモニア臭が感じられるはずです。逆に破水の場合、アンモニア臭はありません。代わりに生臭いような独特の匂いがする方もいます。
次に自分で止められるかどうかも大きな違いです。尿もれの場合、肛門あたりに力を入れて締めれば止められることが多いです。一方で破水の場合、自分の意思では止められません。いくら力を入れても温かい液体が漏れ続ける感じがあるはずです。
破水とおりものの見分け方
おりもの(帯下)は妊娠中期以降増える傾向があります。妊娠後期になると水っぽいおりものが増えて、「破水かも?」と心配になることもあるでしょう。しかし、おりものと破水には性状に明確な違いがあります。
おりものは基本的に粘り気のある分泌物です。色は白〜薄黄色で下着に残りますが、水のように広がってびしょ濡れにすることは通常ありません。量が増えたとしても流れ出るような出方はしません。一方、破水による羊水は水のようにサラサラしています。
破水とおしるしの見分け方
おしるしとは、出産が近づいたサインとして現れる少量の出血のことです。色はピンク色〜茶色で、粘液に血が混ざったような見た目をしています。おしるしがあった後、数日以内〜1週間程度で陣痛が始まることがあります。
破水との違いは、その出てくる量や性状です。おしるしは少量の出血を伴うおりものなので、一度に大量の液体が出るようなことは通常ありません。一方、破水の場合は前述のとおり羊水という液体が流れ出るので、たとえ羊水に血が混じてピンク色っぽく見えても、その液体は水のように大量に出る可能性があります。
もう一つの違いはタイミングです。おしるしは陣痛が始まる直前〜開始後に見られることが多いのに対し、破水は陣痛前に起こることもあります。
破水をセルフチェックする際の注意点
破水かどうか自分でチェックする方法を述べてきましたが、セルフチェックには限界があることも知っておきましょう。以下の注意点を踏まえ、安全第一で行動してください。
自己判断せずに産院に連絡を
繰り返しになりますが、「破水かな?」と感じたら産院に確認しましょう。たとえ今回が2人目以降で「前にも破水経験あるし、自分でわかるはず」と思っても、尿もれとの区別がつきにくい場合もあります。
迷っている間にも破水が進行して赤ちゃんが危険に晒される可能性もあります。まずかかりつけの産院に連絡しましょう。電話で症状を伝えれば、助産師さんや医師が適切な指示をしてくれます。
破水かもしれない場合は清潔なナプキンを当てて!
「もしかして破水かも?」と思ったら、まず下着を清潔なものに履き替えましょう。そして生理用ナプキンや産褥パッド、尿漏れパッドなど清潔なナプキンを当ててください。羊水が漏れ続ける可能性があるので、下着が濡れたままだと不快なだけでなく身体が冷えてしまいます。
破水したらシャワーや入浴は厳禁
破水が疑われる場合、シャワーや入浴は避けてください。破水によって赤ちゃんを包む膜が破れた状態になると、子宮内は無菌ではなくなります。お風呂に入ったりシャワーを浴びたりすると、腟から細菌が入り込んで子宮内で感染を起こすリスクが高まります。いわゆる絨毛膜羊膜炎などを引き起こす可能性が出てくるのです。
産院にはタクシーや家族が運転する車で向かう
破水した(またはその疑いがある)ときの移動手段にも注意が必要です。産院へ行く際は、徒歩や自家用車の運転、公共交通機関の利用は避け、できればご家族の運転する車かタクシーを利用しましょう。破水しているときに一人で歩いたり運転したりするのは危険ですし、電車やバスでは周囲に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
ご家族が運転できる場合はお願いし、難しければタクシーを呼びましょう。妊婦さん向けのマタニティタクシーを事前に登録しておくと、いざという時にスムーズです。マタニティタクシーの運転手さんは出産に関する簡単な研修を受けており、防水シートなどの備えもある場合が多いので安心して利用できます。
まとめ
破水はお産が近づいたサインであり、妊婦さんであれば知っておきたい現象です。破水かどうかセルフチェックする方法として、匂いや色、量、そしてリトマス試験紙を使った確認方法などを解説しました。尿もれとの違いは匂いや自分で止められるかどうか、おりものとの違いは粘り気や量の違い、おしるしとの違いは出血の様子と量の違いなどがポイントになります。
ただし、セルフチェックにはどうしても限界があります。破水は必ずしも大量に出るとは限らず、少量ずつの漏れだと経験者でも見分けがつかないことがあります。「あれ?」と思ったら、自己判断せずすぐに産院へ連絡することが大切です。電話で相談すれば的確な指示をもらえますし、万一破水でなくても安心できます。破水した場合は感染予防と安全確保が最優先です。清潔なナプキンを当て、入浴は避け、横になれる態勢で速やかに医療機関へ向かいましょう。
「破水」に関連する病気
「破水」から医師が考えられる病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
産科疾患
- 絨毛膜羊膜炎
- 早産
「破水」に似ている症状
「破水」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 尿もれ
- おりもの
- おしるし