「口の中の皮がむける」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
口の中の皮がむけるのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修歯科医師:
D0997(歯科医師)
「口の中の皮がむける」症状で考えられる病気と対処法
多くの方にとって、口の中の皮がむけた経験は何度かあるでしょう。歯ブラシでこすってしまう、あるいは歯で噛んでしまうようなエピソードがなくて、気がついたら口の中の皮がむけていた場合は不安になりますよね。いろいろなケースによって口の中の皮がむけることがありますので、今回は考えられる原因やその対処法などを中心に解説します。
口の中の皮がむける症状で考えられる原因と治し方
口の中の皮(粘膜)がむける症状は、いくつかの原因が考えられます。以下に一般的な原因と治療法をいくつか挙げますが、具体的な診断と治療には歯科医師への相談が必要です。
- 1:口内炎:口の中の皮膚や粘膜が炎症を起こし、粘膜がむけることがあります。冷やすと痛みを紛らわせることができます。通常、自然に治癒していきますが、痛みや不快感が続く場合は、歯科医師に相談することが重要です。
- 2:アレルギー反応: 一部の人は、特定の食品(キウイ、パイナップルなど)、口腔ケア製品(歯磨き粉)、または他の物質に対して、アレルギー反応を起こすことがあります。アレルギーが原因で粘膜がむけると疑わしい場合は、まず避けること、そして皮膚科で相談しましょう。
- 3:口内環境の変化: 口の中の粘膜がむける原因として、口呼吸、口腔乾燥、食べ物による刺激、歯科手術を受けたことなど、口内環境の変化が関与することがあります。口呼吸、口腔乾燥にはマウスウォッシュや口腔保湿剤を使用することがありますし、食べ物による刺激は上記アレルギーに準じて、原因を取り除く対策を考えます。
- 4:感染症: 口内の粘膜がむける原因として、細菌やウイルス感染の関与があります。感染が疑われる場合は、歯科医師に相談してください。家庭では使用するものを家族とは分けてつつ全員が手洗いをしっかり行うこと、細菌では手足口病、適切な抗生物質や抗真菌薬の処方が必要となる場合があります。
- 5:摩擦や刺激: 口の中の粘膜は、硬い食べ物や熱い飲み物などの刺激によってむけることがあります。また、誤った歯ブラシの使い方や、噛み合わせの問題も粘膜がむける原因になります。適切な歯ブラシの選択、歯ブラシの正しい持ち方、正しい歯磨きの方法を確認することが重要です。
熱いものを食べた後に口の中の皮がむける症状で考えられる原因と治し方
高温の食べ物や飲み物を摂取することで、口内の粘膜が熱傷(やけど)を起こすことがあります。まずは冷たい飲み物や食べ物を摂取するなどして、すぐに患部を冷やしましょう。通常は自然に治癒しますが、痛みや不快感がある場合は、症状を軽減するためにドラッグストアにある口内炎軟膏を使ったり、歯科医師に相談してみてください。医師は、症状を和らげるための薬剤や保護剤を処方することがあります。
マウスウォッシュの使用後に口の中の皮がむける症状で考えられる原因と治し方
このような場合に考えられる原因は、マウスウォッシュに対するアレルギー反応やマウスウォッシュ製剤の刺激、マウスウォッシュ後の口内環境の変化です。
アレルギー反応:マウスウォッシュに含まれる成分に対してアレルギー反応を起こすことがあります。特定の成分に対する過敏症がある場合、マウスウォッシュを使用することによって口内の粘膜がむける可能性があります。アレルギーが疑われる場合は、すぐにしっかりうがいをしましょう。そして現物を持参して歯科医師に相談してください。皮膚科でアレルギー検査を受けることも検討してください。
薬剤の刺激: マウスウォッシュに含まれる一部の薬剤や成分の刺激が強すぎて、口内の粘膜がむける症状が現れる場合があります。特に、アルコールや強力な抗菌剤を含むマウスウォッシュの使用後に症状が現れることがあります。刺激が強すぎる場合は、まずしっかり水でうがいすること、そして別のマウスウォッシュを試してみたり、歯科医師に相談して別の選択肢を検討しましょう。
口内環境の変化: マウスウォッシュの使用によって、口内の微生物バランスや口腔の酸アルカリバランスが変化し、口内の粘膜がむけることがあります。この場合は、刺激の少ないマウスウォッシュや、保湿効果のある製品を試してみることができます。
すぐに病院へ行くべき「口の中の皮がむける」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
強い痛み症状の場合は、歯科へ
口内の粘膜がむけるだけでなく、強い痛みや激しい不快感がある場合は、早急に歯科医師に相談する必要があります。痛みが強く、日常生活に支障をきたしている場合は、緊急の治療が必要な場合があります。
出血や潰瘍症状の場合は、歯科へ
粘膜がむけるだけでなく、出血や潰瘍の症状がみられる場合は、早めに歯科医師に診察してもらう必要があります。特に、出血が激しい場合や、潰瘍が広範囲に広がっている場合は、病院への早急な受診が重要です。
飲食に支障をきたす症状の場合は、内科・歯科へ
粘膜のむける症状が食事や摂取に大きな支障をきたしている場合は、早急に内科医師、歯科医師に相談する必要があります。食べ物や飲み物を摂ることが困難な状態が続く場合は、栄養状態の悪化や脱水症状のリスクがあるため、入院も含めた適切な治療を受ける必要があります。
口内の粘膜がむける症状の場合は、内科・歯科へ
口内の粘膜がむける症状が長期間持続し、または悪化している場合は、歯科医師・皮膚科医師に相談することが重要です。通常、一時的な症状は自然に治癒しますが、症状が持続する場合は、潜在的な問題が存在する可能性があります。
受診・予防の目安となる「口の中の皮がむける」ときのセルフチェック法
- ・口の中の皮がむける以外に痛みや不快感がある場合
- ・口の中の皮がむける以外に出血や潰瘍症状がある場合
- ・口の中の皮がむける以外に飲食に支障をきたす症状がある場合
「口の中の皮がむける」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「口の中の皮がむける」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
口角炎
口角炎は、口の角(口の両端)の皮膚や粘膜の炎症を指します。
口角炎は、以下のような要因によって引き起こされることがあります。
- ・乾燥: 口角の皮膚が乾燥し、ひび割れや炎症が生じることがあります。
- ・細菌/真菌感染: 口角の周囲に存在する細菌や真菌の増殖によって、炎症が起こることがあります。
- ・唾液の滞留: 唾液が口角に溜まることによって、湿度が高まり、細菌や真菌の繁殖を促すことがあります。
- ・栄養不良: ビタミン欠乏(特にビタミンB2や鉄分不足)や食事バランスの乱れによって、口角炎が発生することがあります。
- ・機械的な刺激: 口の周りの皮膚や粘膜に対する機械的な刺激(例:唇の舐め過ぎや噛み合わせの問題)も口角炎の原因となることがあります。
口角炎の対処法と治療法には以下のようなものがあります。
- ・保湿: 口角を乾燥から守るため、保湿剤(リップクリームや保湿クリーム)を使用することが重要です。
細菌・真菌感染の治療: 細菌や真菌による感染が疑われる場合は、抗生物質や抗真菌薬の処方が行われることがあります。 - ・栄養補給: 適切な栄養バランスを保つため、食事によるビタミンB2や鉄分の補給が推奨されることがあります。
- ・刺激の除去: 口の周りの刺激を減らすため、唇の舐め過ぎや噛み合わせの問題に対処することが重要です。
以下の場合には、早めに医師・歯科医師に相談しましょう。
- 症状が重度で、日常生活に支障をきたしている場合。
- 症状が長期間続いている場合。
- 他の症状(例:発熱、口内の異常な出血)がみられる場合。
口唇炎
口唇炎は、口唇周囲の皮膚や粘膜の炎症を指します。
口唇炎は、以下のような要因によって引き起こされることがあります。
- ・乾燥: 口唇の皮膚が乾燥し、ひび割れや炎症が生じることがあります。特に乾燥した季節や乾燥した環境に長時間さらされると、症状が現れやすくなります。
- ・外傷: 口唇への傷や損傷によって、炎症が生じることがあります。例えば、唇を噛んだり、粗い食べ物を摂ったりすることで起こることがあります。
- ・アレルギー反応: 特定の食品や化粧品などに対してアレルギー反応を起こすことで、口唇炎が発生することがあります。
- ・日光や紫外線の影響: 長時間の日光や紫外線への露出によって、口唇の皮膚がダメージを受け、炎症が生じることがあります。
- ・感染症: 細菌や真菌の感染によって、口唇炎が引き起こされることがあります。
口唇炎の対処法と治療法には以下のようなものがあります。
- ・保湿: 口唇を乾燥から守るため、保湿剤(リップクリームや保湿クリーム)を定期的に使用することが重要です。
- ・刺激の除去: 唇を噛んだり、舐めたりするなどの刺激を避けることが大切です。
- ・適切な飲食: 温かい飲み物や刺激の強い食品の摂取を控え、柔らかい食事や栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
- ・アレルギー対策: 特定の食品や化粧品に対してアレルギー反応がある場合は、それらを避けることが重要です。
- ・細菌・真菌感染の治療: 感染が疑われる場合は、抗生物質や抗真菌薬の処方が行われることがあります。
以下の場合には、早めに医師に相談することが推奨されます:
- 症状が重度で、日常生活に支障をきたしている場合。
- 症状が長期間続いている場合。
- 他の症状(例:発熱、口内の異常な出血)がみられる場合。
口腔カンジダ
口腔カンジダ(こうくうカンジダ)は、カンジダと呼ばれる真菌が口腔内で増殖している状態です。
口腔カンジダは、以下のような要因によって引き起こされることがあります。
免疫力の低下や抗生物質の使用によって、正常な細菌叢が乱れ、カンジダが増殖することが起こることがあります。
口腔内環境の変化: 口腔内の酸アルカリバランスや唾液の量が変化することによって、カンジダの増殖が促進されることがあります。特に、口腔乾燥症や不適切な入れ歯の使用などが関与することがあります。
口腔カンジダの対処法と治療法には以下のようなものがあります。
- ・口腔衛生の改善: 正しい歯磨きやうがいを行い、口腔内の清潔さを保つことが重要です。口腔乾燥を改善するために水分摂取を増やすことも役立ちます。
- ・抗真菌薬の使用: 口腔カンジダの治療には、抗真菌薬が一般的に使用されます。処方される薬剤の種類や使用方法は、症状の重症度や患者の状態によって異なります。
- ・原因の対処: カンジダ感染を引き起こす要因(例:免疫力の低下、抗生物質の使用、口腔乾燥症など)に対して、適切な対処が行われることも重要です。
症状が長期間継続する場合、口内を綺麗にしても解決しない場合には、早めに歯科医師に相談しましょう。
「口の中の皮がむける」ときの正しい対処法は?
口の中の粘膜がむける場合には、以下の対処法を試してみることができます。
- ・柔らかい食事を摂る: 粘膜がむけているときは、硬い食べ物や刺激の強い食品を避けるようにしましょう。柔らかい食品(例:スープ、ヨーグルト、ソフトな果物など)を摂ることで、口の中の粘膜への負担を軽減することができます。
- ・口腔内を綺麗に保つ: 歯磨きやうがいを適切に行い、口腔内の清潔さを保つことが重要です。しかし、粘膜がむけている場合は、歯磨きやうがい時に過度の刺激を与えないように注意しましょう。柔らかい歯ブラシや歯磨き粉を使用することが適しています。
- ・唾液の刺激を減らす: 口の中の粘膜がむける原因の一つに唾液の刺激が関与している場合があります。唇の舐め過ぎや、口内の乾燥を招く習慣を避けることで、粘膜への刺激を減らすことができます。
- ・保湿: 口の中の粘膜が乾燥している場合は、保湿が重要です。保湿剤(リップクリームや保湿クリーム)を使用して口の中の皮膚や粘膜を保護しましょう。
症状が続く場合は歯科医師に相談しましょう。
「口の中の皮がむける」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「口の中の皮がむける」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
口の中・上顎の皮が剥ける症状は歯医者さんで治療できますか?
(歯科医師)
まずは診断してからですが、ステロイド軟膏で治癒を待つことがあります。
口の中の皮が白く剥けていて痛みはない場合、放置して大丈夫ですか?
(歯科医師)
経過観察をしてみてもいいと思いますが、1~2週間たっても改善しなければ、歯科医師に相談をお勧めします。
ストレスが原因で口の中の皮がむけることはありますか?
(歯科医師)
可能性は十分あります。ストレスで免疫が低下したり、乱れたりすることがきっかけとなって、口の中がむけることはありえます。
口の中の皮がむけるのはビタミン不足でしょうか?
(歯科医師)
偏った食生活をされているのであれば、ビタミン不足もありえます。
口内の皮がむけるとき歯磨き粉・マウスウォッシュは問題ないですか?
(歯科医師)
刺激のない、もしくは弱いものを使ってください。基本的に水道水だけでも問題ありません。
まとめ
口の中の皮がむける症状が長期間持続する時、痛みで食事ができない時は、原因を調べることと、何らかの対応が必要です。歯科医院で相談してください。
「口の中の皮がむける」症状で考えられる病気
「口の中の皮がむける」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
歯科口腔外科の病気
- 口内炎(アフタ性口内炎)
- 口腔カンジダ症
- 口角炎
- 水疱性口内炎
- 接触性口内炎
- 免疫疾患(例:潰瘍性口内炎、天疱瘡、類天疱瘡)
いろいろな原因によって口の中の炎症などが起こり、皮(粘膜)がむけてしまうことが考えられます。
「口の中の皮がむける」に似ている症状・関連する症状
「口の中の皮がむける」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「口の中の皮がむける」症状以外に、これらの症状を認める際には「口腔カンジダ症」「口角炎」「水疱性口内炎」「接触性口内炎」「免疫疾患」などの可能性があります。
痛みや不快感、出血や潰瘍などがあったり、飲食に支障をきたす場合は、なるべく早く医療機関へ受診することをおすすめします。
・口腔粘膜疾患(日本口腔外科学会)