

清水先生
現在の体調はいかがでしょうか?
河本さん
体調はいい日もあれば、悪い日もあります。
清水先生
若干の変調がありそうですね。発病したときの状況について教えていただけますか?
河本さん
はっきりと覚えていませんが、最初にパニック障害の診断を受けました。
清水先生
診断時の状況について詳しく教えてください。
河本さん
ある日、横断歩道が急に渡れなくなり、その場に座り込んでしまうことがありました。近くにいた男性が助けてくれて横断歩道は渡れたのですが、不安を感じてそのまま精神科のクリニックを受診して診断されました。
清水先生
心境はいかがでしたか?
河本さん
一番怖かったのは、何もないと言われることだったので、病名を聞いてほっとしました。
清水先生
前兆はありましたか?
河本さん
コロナ禍の時期に体調が優れず、呼吸が浅くなることや過度な心配が続き、物事を否定的に捉える状態が続いていました。外出自粛による仕事の減少や経済的な不安も重なり、自分を追い詰めるような考えが浮かぶこともありました。
清水先生
うつ病の発症はどのようにわかりましたか?
河本さん
生放送中に倒れたのがきっかけでした。
清水先生
詳しく教えていただけますか?
河本さん
当時は急性膵炎(すいえん)の影響で糖尿病の治療薬を服用しており、低血糖を起こしやすい状態でした。その日も生放送中に低血糖のような症状が出てチョコレートや炭酸飲料で調節しようとしましたが、改善せず呼吸ができなくなって倒れ、病院に搬送されました。検査の結果、低血糖などの異常は認められず、最終的に精神科医の診察を受け、うつ病の診断を受けました。
清水先生
どう感じましたか?
河本さん
自分がうつ病になるとは想像もしておらず、診断を受けた瞬間から、不安や恐怖が一気に強まったことを覚えています。
清水先生
うつ病と診断を受けて、症状はいかがでしたか?
河本さん
聴覚が過敏になり、シャワーの音さえ強い刺激に感じるため入浴や食事が難しくなりました。また、文字がゆがんで見えるようになってテレビやスマートフォンも見られなくなり、起きてほしくないと思ったことが実際に起きてしまうような思い込みもありましたね。
清水先生
何か心当たりはありましたか?
河本さん
もともと時間に真面目な性格で、休日でも予定を立てて行動するほうが安心できるタイプだったので、そうした積み重ねが影響していたのかもしれません。
清水先生
一般的に真面目な性格はうつ病発症のリスクの一つとされています。ほかにも、従順さや神経質さ、完璧主義、白黒はっきり考える傾向などが挙げられます。ご自身に当てはまると感じる点はありますか?
河本さん
当てはまっていると思います。完璧主義なところがあり、完璧でなければ自分を許せない性格です。
清水先生
そのような考え方に至った背景や、思い当たるきっかけはありますか?
河本さん
環境の影響が大きかったと思います。幼少期から父親との関係に悩み、しかられないためには、どう振る舞うべきかを常に考えていました。親の顔色をうかがいながら育ったことで、失敗してはいけないという意識が強くなったのだと思います。
清水先生
芸人として人を笑顔にする立場でありながら、自分の気持ちが沈んでいるときには、どのような心境で過ごされていたのでしょうか?
河本さん
人を笑わせる余裕はありませんでした。見られたくない、放っておいてほしいという気持ちを抱えながら仕事をして、無理に笑顔を作って乗り切る日々は非常につらいものでした。
清水先生
相当な忍耐力がありますね。そのような状況で仕事を続けられた理由はありますか?
河本さん
当時は休めば仕事を失い、人生が終わると本気で思っていました。その恐怖から無理を重ね、パニック障害やうつ病を発症したのだと思います。うつ病の症状について教えていただけますか?
清水先生
うつ病は、脳の働きに不調が生じている状態と考えられています。脳は体と心の両方をコントロールしているため、その機能が低下すると現れるのは、睡眠や食欲の乱れ、体のだるさといった身体的な症状です。また、気分の落ち込みや意欲の低下、自分を過度に責めてしまうなどの精神的な症状がみられることもあります。
河本さん
原因についてはいかがでしょうか?
清水先生
原因はさまざまで、複数の要因が重なって発症すると考えられています。遺伝的な影響に加え、膵炎などの身体疾患、心理的な負荷やストレス、性格、大きなライフイベント、さらには経済状況も関係すると言われています。
河本さん
日照時間の少ない国では、うつ病の患者が多くなるのは本当ですか?
清水先生
日照時間は神経伝達物質の分泌に影響するため、うつ病の発症とも関係しています。日本でも寒くて日照時間が少ない地域では、うつ病の発症率が高い傾向もあると報告されています。

河本準一「うつ病」との闘い。絶望から見つけた“加点式で生きる”という新しい視点