中川先生
腰痛を発症したきっかけについて教えてください。
山下さん
約10年前、ライブのリハーサル中にぎっくり腰を発症したのがきっかけです。
中川先生
発症後の経過はいかがでしたか?
山下さん
発症してすぐに鍼治療を受けました。その後はコルセットを着用して、2〜3日安静に過ごしたら少しずつ動けるようになりました。
中川先生
その後は痛みを繰り返していますか?
山下さん
2年に一度痛みが爆発します。
中川先生
それはつらいですね。痛みはどの程度感じますか?
山下さん
動けなくなるくらい痛いです。痛みのひどい時にブロック注射を打ってもらったこともあります。
中川先生
痛む部位はいつも一緒ですか?
山下さん
一緒ですね。左の背骨に近いところで骨盤の少し上が痛くなります。
中川先生
痛みが出やすい部位ですね。動いている時とじっとしている時は、どちらの痛みが強いですか?
山下さん
どちらも痛みますが、徐々に慣れてしまっていますね。体が温まると痛みもほとんど気にならなくなります。
中川先生
痛みが慢性化していますね。痛みが長い間改善されない慢性腰痛は、ぎっくり腰以外にも別の要因が存在する可能性が高いです。体の問題だけでなく精神面や社会的背景、生活環境にも注意する必要があります。
山下さん
色々な原因があるのですね。
中川先生
そうですね。山下さんが痛みを感じる生活場面はありますか?
山下さん
柔らかいソファーに長時間座ると痛くなることがあります。
中川先生
長い時間同じ姿勢が続くとつらいですよね。
山下さん
新幹線や飛行機もつらいので、深く座って骨盤に自分の上半身が乗るようなイメージで座るようにしています。
中川先生
大事なことですね。山下さんは多趣味だと伺っていますが、趣味を通して腰痛を生じることはありますか?
山下さん
ゴルフで腰をひねる時や釣りをしている時に、同じ姿勢で過ごしていると腰が痛くなることがあります。DIYで重たい木材を運ぶ時も結構しんどいですね。
中川先生
バイクに乗る時はどうですか?
山下さん
かなりしんどいです。長距離を走ると大変なので、意識して休憩をとるようにしています。
中川先生
腰は体の基礎的な部分なので、山下さんの痛みの原因は、そのバランスや姿勢の崩れにある可能性が高いですね。
山下さん
子どもの時から猫背で「姿勢が悪い」と親や学校の先生にも注意されていたことを思い出します。
中川先生
これまでどのような検査を受けましたか?
山下さん
レントゲンを撮ったぐらいですね。
中川先生
その時何か診断は受けましたか?
山下さん
背骨のクッションが少しずつ減っているけど、ヘルニアではないと言われました。
中川先生
なるほど。腰痛の原因の約8割はレントゲン上の変化はみられず、特に慢性腰痛は周囲の筋肉に原因がある場合がほとんどです。
山下さん
レントゲンの撮影をした時にヘルニアになったら手術も考えると言われたのですが、今後手術が必要となる可能性はありますか?
中川先生
手術適応となる代表的な疾患がヘルニアです。ヘルニアは痛みだけではなく足のしびれを感じることが多いのですが、そういった症状はありますか?
山下さん
しびれを感じたことはないですね。
中川先生
しびれのように痛み以外の症状がある場合は特異的腰痛と呼ぶことが多く、手術が治療の選択肢となる可能性があります。
山下さん
痛み以外の症状が重要となるのですね。
中川先生
その通りです。山下さんのように、検査をしても痛みの原因となる異常が見つからない場合を非特異的腰痛と呼びます。一般的な腰痛の約8〜9割が非特異的腰痛にあたり、手術が必要となるケースは少ないと思われます。
山下さん
安心しました。慢性腰痛はどのように改善していけば良いのでしょうか?
中川先生
慢性腰痛を引き起こしている原因を把握して、悪循環を断ち切ることが重要です。
山下さん
原因を見つけ出すために自分の体と向き合い、何か異常があれば受診や検査を受けることが大切なのですね。