

中嶋先生
最初に矯正治療を始めたきっかけについて教えてください。
兼近さん
小学校の頃から歯並びが悪く受け口で、奥歯でものがかめませんでした。当時は費用の問題で治療を途中でやめましたが、その後芸人として活動する中で勧められたのがきっかけだったと思います。
中嶋先生
マウスピースでの矯正を決めた理由は何ですか?
兼近さん
透明のマウスピースであれば、つけたままテレビにも出られると思ったからです。
中嶋先生
マウスピースの装着でしゃべりづらさは感じませんでしたか?
兼近さん
ありませんでした。食事や歯磨きのとき以外は装着していましたが、全く苦ではありませんでした。
中嶋先生
模範的な患者さんですね。痛みはありませんでしたか?
兼近さん
最初はきついと感じることもありましたが、ほとんど痛みもありませんでした。
中嶋先生
1週間から10日ほどで段階的にマウスピースを交換していくので、その際に多少の痛みや装着のしにくさを感じることはあるかもしれませんね。それ以外にマウスピース矯正を始めて困ったことはありましたか?
兼近さん
食事のたびに取り外す手間や、その後の歯磨き・お手入れを負担に感じることはありましたね。マウスピース以外の矯正方法について教えていただけますか?
中嶋先生
表側と裏側のワイヤー矯正とマウスピース矯正の3つが主流な矯正方法ですね。
兼近さん
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いを教えてください。
中嶋先生
一番の違いは「自分で取り外せるかどうか」という点と「歯の動かし方」ですね。ワイヤー矯正は、我々歯科医が装置を固定してミリ単位で歯をコントロールします。患者さんは「座っているだけで治療が進む」のがメリットですが、装置が目立ったり、食事がしにくかったりというデメリットがあります。
兼近さん
マウスピース矯正はいかがですか?
中嶋先生
対してマウスピース矯正は、透明で目立たず、食事の時は外せるのが最大の魅力です 。ただ、シミュレーション通りに歯を動かすには、兼近さんのように「1日20時間以上」というルールを徹底していただく必要があります。いわば、「歯科医が並べるワイヤー」と、「患者さんと二人三脚で並べるマウスピース」という違いと言えますね。
兼近さん
金額はそれぞれどれくらい掛かりますか?
中嶋先生
大学病院で行う治療を相場と考えると、表側の装置で約80万円、装置が目立ちにくい裏側のワイヤー矯正では約120万円になると思います。
兼近さん
マウスピース矯正はいかがですか?
中嶋先生
100万円前後です。費用としては表側矯正、マウスピース、裏側矯正の順番で高くなると思います。
兼近さん
どのような場合にマウスピース矯正が行われるのですか?
中嶋先生
基本的には、軽度から中等度のガタつきや、ちょっとした隙間を閉じるような治療には非常に向いています。ただ、どんな症例でも万能というわけではありません。例えば、骨格的なズレが非常に大きい場合や、歯の根っこから大きく移動させる必要がある複雑なケースでは、やはりワイヤー矯正の方が確実に、かつ早く仕上げられることがほとんどです。最近はマウスピース矯正の歯の動き方について研究が進み適応範囲も広がっていますが、大切なのは「マウスピースという道具を使うこと」が目的ではなく、矯正治療としてしっかり治すことです。ですので、状態によっては「最初はワイヤーで土台を整えて、仕上げにマウスピースを使う」といった、いいとこ取りのコンビネーション治療を提案することもありますよ。
兼近さん
マウスピース矯正にはどれくらいの期間がかかりますか?
中嶋先生
口の中の状況や目標によって大きく変わり、半年から1年くらいかかる場合が多いと思います。兼近さんは治療にどれくらいかかりましたか?
兼近さん
約8カ月です。誰もが気軽に矯正を受けられるといいのですが、費用や治療期間には課題がありますよね。
中嶋先生
はい。保険適用外のため費用や治療期間のハードルはあります。しかし近年ではマウスピース矯正の技術も進歩し、治療期間の短縮や治療精度の向上、装着時の快適性が向上し治療を受けやすくなっているのも事実です。
兼近さん
治療方法によるメリットやデメリットはありますか?
中嶋先生
ワイヤー矯正は外せないことがデメリットになりますが、歯科医師が口の中を管理できるため、患者さん自身の自己管理の負担が軽くなる点はメリットになると思います。
兼近さん
マウスピース矯正はいかがですか?
中嶋先生
マウスピースは取り外せることがメリットですが、1日に20時間以上の装着が必要です。それを守れないと十分な効果が得られない可能性もあり、取り外せることはデメリットにもなりますね。
兼近さん
マウスピース矯正は自己管理が大変ですよね。
中嶋先生
自己管理できるかが装置を選ぶ基準にもなると思います。マウスピース矯正は習い事やジムに通うように新しい生活習慣を取り入れる感覚に近いですね。食事や歯磨きのたびに着脱することを日常の中で無理なく続けられるかが大切になります。

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