福田さん
今回は心・技・体の「心」についてお話を聞かせてください。体づくりのために気合や根性も必要だと思うのですが、いかがですか?
井上さん
いらないと言われることもありますが、気合や根性は絶対に必要です。柔道に限らず、本当に苦しい場面を乗り越えるためには気合や根性も必要な場合があると思います。
福田さん
練習や大会に向けた心構えで重要なことは何だと思いますか?
井上さん
主体性を持つことが大切です。自分が日本代表として戦う理由や試合に臨む姿勢、練習を積み重ねていく意味などを理解しておく必要があると思います。
福田さん
心構えは大会が近づくにつれて変化しましたか?
井上さん
はい。試合が近づくにつれて勝ちたい思いが強くなる反面、負けることや失敗することへの恐怖が生まれてきました。
福田さん
そのような時はどうしていたのですか?
井上さん
自分を信じることやその現状を受け入れることで対処していました。
福田さん
自分を信じるためにも、普段からの心構えが大切ですね。指導者として心がけたことはありますか?
井上さん
選手の特徴に合わせて声かけすることです。ただ、担当コーチが私以上に選手とコミュニケーションをとっていたので、指導の方向性を共有するために意見交換をしていました。
福田さん
私も見学した東京オリンピックの合宿では、井上監督はじめ、コーチや選手もチームとして心が通じていると感じました。それは心に対するアプローチができていた証なのかもしれませんね。
井上さん
東京オリンピックでは、コーチやスタッフ、選手たちがチームとなり「日本柔道のために」という熱い気持ちで戦えたと感じています。その経験が私にとって幸せな時間となりました。福田さんがアスリートのサポートを始めた原点について教えてください。
福田さん
笑顔道では「全ては患者様の笑顔のために」という企業理念のもと、痛みの軽減や動きの改善を通して患者様が笑顔になってもらえるよう地域医療を展開しています。
井上さん
すばらしいですね。
福田さん
ありがとうございます。しかし、1人の治療家が笑顔にできる患者様の数には限界があります。そんな中、井上さんがシドニーオリンピックで金メダルを獲得した瞬間には、私自身も感動と笑顔をいただきました。
井上さん
そう言っていただけるとうれしいですね。
福田さん
井上さんをはじめ、日の丸を背負い世界と戦っているアスリートにはたくさんの感動と笑顔をもらっています。それをサポートする意味でともに戦い、たくさんの笑顔を作っていきたいと思ったことが原点です。
井上さん
そのような原点があったのですね。引き続きさまざまな分野で社会に元気や勇気、そして笑顔を与えていただければと思います。