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chapter02 伊藤洋輝、治らないと思った白斑をトレードマークに。 chapter02 伊藤洋輝、治らないと思った白斑をトレードマークに。

川邉先生川邉瑠璃子先生

伊藤選手が行った治療について教えてください。

伊藤洋輝さん伊藤選手

塗り薬を使用することで最初は効果も感じましたが、1年たってからは大きな効果がないと感じて治療を辞めました。

川邉先生川邉瑠璃子先生

他の疾患に比べると、伊藤選手のように治療効果が出にくいという理由で、治療を中断する人も多いようです。白斑自体が悪い病気につながることはないので、治療しないことも選択肢の一つだと思います。

伊藤洋輝さん伊藤選手

治療していても効果がなかなか得られない人にアドバイスはありますか?

川邉先生川邉瑠璃子先生

白斑の治療は少しずつ進歩しており、いつか難治性ではなくなる可能性もあります。癜風(でんぷう)や皮膚炎など他の疾患で皮膚の色が白く抜けることもあるので、まずは受診してしっかりと診断を受けることが大切です。治療効果は人それぞれであることを理解したうえで、治療をどうしていくのかを医師と相談することが重要だと思います。

伊藤洋輝さん伊藤選手

今後の治療の進歩に期待しつつ、まずは診断を受けて治療するのか決める必要がありますね。将来的に、また症状が出る可能性はありますか?

川邉先生川邉瑠璃子先生

一度落ち着いたあと再発されない方もいますが、別の場所にできたり広がったりする可能性はあります。白斑ではない人と比べて発症しやすいと思います。白斑を発症した頃の心境について教えてください。

伊藤洋輝さん伊藤選手

すれ違う人に見られることはありましたが、コンプレックスは感じてはいなかったと思います。

川邉先生川邉瑠璃子先生

そうなのですね。治療についてどう感じていましたか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

病院も通って治療していましたが、本気で治るとは思っていませんでした。

川邉先生川邉瑠璃子先生

ご両親の反応はいかがでしたか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

目が見えなくなるわけでもなかったので、両親もそこまで病気の重大さは感じていなかったと思います。

川邉先生川邉瑠璃子先生

現在のメディアの反応についてどう感じていますか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

日本代表に選出されてから反応が増えた気もしますが、そこまで大きな反応は感じていません。白斑ではなく絆創膏だと思っている人も多い気がします。

川邉先生川邉瑠璃子先生

現在でもコンプレックスは感じていないのでしょうか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

そうですね。白斑をコンプレックスに感じる人は多いですか?

川邉先生川邉瑠璃子先生

気にしない人もいれば絶対に治したいと言う人もいるので、本当に人それぞれだと思います。顔や首に症状がある場合はコンプレックスを感じる人が多い印象です。

伊藤洋輝さん伊藤選手

女性や子どもは特に気になりますよね。

川邉先生川邉瑠璃子先生

はい。ただ、病院も行かずに自分の中でもやもやしている状態が一番良くありません。しっかり診断を受けて、まずは白斑について理解することが重要だと思います。白斑は良性疾患であり寿命を縮めるような疾患ではないので、気にし過ぎないでほしいですね。

伊藤洋輝さん伊藤選手

そう思いますね。私は白斑でいじめられることや差別されることもなかったので気になりませんでした。人それぞれ考え方も異なり気になる人はもちろんいて、女性や子どもの場合は特に気になると思いますが、自分らしく生きていくことが大切だと感じています。

川邉先生川邉瑠璃子先生

そう思いますね。白斑があることで、メリットを感じることはありますか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

名前は覚えられやすいと感じています。

川邉先生川邉瑠璃子先生

サッカーのプレーに影響はありますか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

視力が落ちているわけでもないので、影響は0ですね。日常生活で気をつけることはありますか?

川邉先生川邉瑠璃子先生

白斑の肌は日光に弱く、皮膚がんになるリスクは正常な皮膚と比べると高いので、日焼けには注意してください。伊藤選手が実際に行っている日焼け対策はありますか?

伊藤洋輝さん伊藤選手

誰かが日焼け止めを塗っていればもらって塗るぐらいなので、そこまで気をつけていません。塗るタイミングは直前に塗るほうが良いのでしょうか?

川邉先生川邉瑠璃子先生

直前で問題ないと思います。汗で流れると効果が落ちるので2〜3時間おきに塗るのが理想です。スプレータイプはベタベタせず気軽に使用できるので、おすすめです。

伊藤洋輝さん伊藤選手

白斑のある部位は特に日焼けに注意が必要ですね。気を付けます。ありがとうございました。

編集部より

尋常性白斑は発症する部位によって見た目に影響を及ぼしますが、白斑自体が寿命を縮めることはありません。そのうえ、人によって治療効果に差があり治療しないことも選択肢の一つとなる疾患です。今回の対談では、自分の状態を把握し、自分で意思決定することが何より大切なのだと感じました。それが伊藤選手のように自分の選択に自信を持って“自分らしく生きる”という姿勢につながるのではないでしょうか。今回の対談をきっかけに尋常性白斑について知っていただき、自分らしく生きられる人が1人でも増えることを願います。

この記事の監修医師

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