

川邉先生
今の白斑の状態について教えていただけますか?
伊藤選手
昔は頬まで白斑がありましたが、現在は縮小してきています。最近はそんなに変化もないですね。
川邉先生
最初に異変を感じたきっかけはありますか?
伊藤選手
最初に異変を感じたきっかけは、皮膚がカサカサしてきたことです。その頃はまだ色も白くなっていませんでした。
川邉先生
伊藤選手のように皮膚がカサカサする症状で始まることもあります。最初はまだらな色抜けから始まり、徐々に色が抜けていきます。かゆみはありませんでしたか?
伊藤選手
かゆみは特にありませんでした。
川邉先生
症状が出始めたのはいつ頃からだったのでしょうか?
伊藤選手
当時は小学3年生で8〜9歳くらいだったと思います。幼稚園の頃は特に症状もありませんでした。白斑の原因は何なのでしょうか?
川邉先生
酸化ストレスや色素を作る細胞の機能低下が関わっているという説もありますが、自己免疫の問題が最も有力な原因だと考えられています。
伊藤選手
自己免疫の問題についてもう少し詳しく教えてください。
川邉先生
本来はウイルスなどの外敵を攻撃する免疫が自分の細胞を攻撃してしまう状態です。白斑について言えば、メラニンを作るメラノサイトという細胞を自分の免疫が攻撃してしまうことで皮膚に白い斑点ができると言われています。
伊藤選手
白斑が遺伝する可能性はありますか?
川邉先生
必ず遺伝するわけではありませんが、家族に白斑の人がいると発症する確率も高いので、何らかの体質が遺伝している可能性はあります。伊藤選手のご家族で白斑を発症している人はいますか?
伊藤選手
私の知っている限りは、誰もいないと思います。白斑になる確率はどれくらいですか?
川邉先生
罹患率は0.5〜1%です。100〜200人に1人は体のどこかに白斑があると言われています。
伊藤選手
白斑が発症しやすい場所はあるのでしょうか?
川邉先生
特にありません。尋常性白斑は白斑が全身に出る汎発型と皮膚の一部分に出る分節型があり、伊藤選手は分節型だと思われます。
伊藤選手
白斑の治療選択肢について教えてください。
川邉先生
最初に選択される治療方法は塗り薬で、異常な免疫を抑えるステロイドを使うことが多いですね。他にも紫外線療法や皮膚を移植する手術治療もあります。
伊藤選手
手術で皮膚を移植すれば100%色が変わりますか?
川邉先生
色素の回復度合いによっては多少の不均一さが残ってしまう場合もありますが、かなり変わると思います。
伊藤選手
紫外線療法についても詳しく教えてください。
川邉先生
週に1〜2回紫外線を当てる治療法です。
伊藤選手
太陽の紫外線でも効果がありますか?
川邉先生
太陽の紫外線には複数の波長があり、その中でも治療に使用される波長は効果があり副作用も少ないものです。太陽の紫外線を浴びることも良いと思うのですが、白斑部にはメラニンがなく紫外線の悪影響をカットできず、長期的にはがんになるリスクもあるので、注意が必要だと言われています。
伊藤選手
リスクもあるということですね。
川邉先生
はい。特に皮膚も薄くダメージが出やすい子どもの場合は、紫外線療法は控えたほうが良いと考えられているので、伊藤選手の発症当時は提案されていないかもしれませんね。
伊藤選手
子どもの頃は一般的に塗り薬での治療を進めていくということですね。白斑の治療は私が子どもの頃と比較して変化しているのでしょうか?
川邉先生
塗り薬は少し増えていますが大きな変化はありません。メディカルメイクアップとして、白斑用のリキッドファンデーションを使用する人は増えていると思います。
伊藤選手
それぞれの治療期間はどれくらいですか?
川邉先生
いずれの治療も長期間の治療による副作用もあるので、まずは数か月〜半年くらい治療し効果があればその後も治療を続けていきます。
伊藤選手
白斑は完治することもあるのでしょうか?
川邉先生
完治することもありますが、尋常性白斑は「難治性」の疾患です。治療が効く人もいれば、ほとんど効かない人もいます。
伊藤選手
その差は何ですか?
川邉先生
その差は分かっていませんが、一般的に汎発型よりも分節型は治療が効きにくいと考えられています。
伊藤選手
効果は治療してみないと分からないということですね。ありがとうございました。