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chapter02 蛭子能収らしく生きる。できなくても「まあ、いいか」認知症の上手な付き合い方 chapter02 蛭子能収らしく生きる。できなくても「まあ、いいか」認知症の上手な付き合い方

永尾先生永尾征弥先生

認知症が発覚して生活の変化はありましたか?

蛭子能収さん蛭子さん

いろいろな人と付き合うようになりましたね。

森永真志さん森永さん

もともと遊ぶのも1人で、人付き合いが苦手でしたよね。今ではデイサービスでも仲間と楽しそうにしています。

蛭子能収さん蛭子さん

みんなで映画鑑賞するのも楽しいですね。

永尾先生永尾征弥先生

デイサービスで困ることはありますか?

蛭子能収さん蛭子さん

困ることはありません。

永尾先生永尾征弥先生

病院やショートステイ、デイサービスなどの生活と仕事を両立することは難しいですか?

蛭子能収さん蛭子さん

大変ですが仕事はずっとしたいので、何とかやっています。

永尾先生永尾征弥先生

そのような状況でも仕事を続けているのはすごいことです。

森永真志さん森永さん

蛭子さんも「仕事はずっとしたい」と言っていたので、できる範囲の仕事をしていました。仕事を通していろいろな人に会うので、頭もさえている気がします。

永尾先生永尾征弥先生

そうですね。蛭子さんのように仕事を通して社会で活動することも認知症の治療や予防につながっていると思います。

蛭子能収さん蛭子さん

そうだと嬉しいです。

森永真志さん森永さん

逆に仕事をしなくなった時の進行が心配ですね。無理強いさせても良くありませんよね?

永尾先生永尾征弥先生

できないことや失敗体験が増えると、暴力などの問題行動に結びつくことがあります。そのため、できないことや本人がやりたくないことを無理にやる必要はありません。

森永真志さん森永さん

社会活動のほかにはどのような治療や予防法があるのでしょうか?

永尾先生永尾征弥先生

薬以外の治療では、高血圧や糖尿病など生活習慣病自体を管理することも大切です。予防に関しては規則正しい食事と睡眠、運動など生活習慣の改善が最も重要だと言えます。

蛭子能収さん蛭子さん

散歩はよくしますね。

永尾先生永尾征弥先生

散歩などの有酸素運動は認知症の治療や予防にとても重要だと考えられています。それ以外にも筋肉を鍛えると認知症の予防につながるというデータがあるので、筋トレもおすすめです。

蛭子能収さん蛭子さん

やってみます。

森永真志さん森永さん

認知症の方と接する際に気をつけるポイントは他にもありますか?

永尾先生永尾征弥先生

怒らないことも大事なポイントです。子どもは成長していく過程で指導することが必要となるかと思いますが、認知症の方の場合はできなくなることが増えていきます。そのため、できないことに対して怒ることや、できないことを指導するような声かけは避けてください。蛭子さんは認知症と診断されて、周りの方からどう接してほしいと思いますか?

蛭子能収さん蛭子さん

まあ、特別にありませんよ。

永尾先生永尾征弥先生

いつも通りでいいですか?

蛭子能収さん蛭子さん

いつも通りでいいですね。

森永真志さん森永さん

周りの方にも「変わった目で見ないで、笑ってほしい」と言っていましたよね。

蛭子能収さん蛭子さん

はい。変わらず接してほしいと思います。

森永真志さん森永さん

「みんなが優しくて嬉しい」と言って涙を流すこともあります。

蛭子能収さん蛭子さん

え、俺が?

森永真志さん森永さん

俺が泣いてどうするんですか(笑)。昔から誰にでも気をつかってくださる人柄を周りも理解しているので、蛭子さんが認知症になっても優しく接してくれるのだと思います。

永尾先生永尾征弥先生

昔から周りに優しくしていたことが、自分に返ってきているのですね。

蛭子能収さん蛭子さん

みんな本当に良くしてくれています。

永尾先生永尾征弥先生

認知症で困っている方や、認知症の予備軍と診断された方にメッセージはありますか?

蛭子能収さん蛭子さん

あるかな?

永尾先生永尾征弥先生

蛭子さんが当事者に伝えたいことを書籍や今日の対談から想像すると、何があっても「まあ、いいか」とポジティブな姿勢でいることが重要だと感じましたがいかがですか?

森永真志さん森永さん

蛭子さんはそういうタイプですね。

蛭子能収さん蛭子さん

そうかもしれません。やりたいことをやって、できなければ「まあ、いいか」と諦めて周りの助けを借りることが大切だと思います。

編集部より

今回の対談では、蛭子さんの純粋な人柄を感じる対談でした。「まあ、いいか」「変わった目で見ないで、笑ってほしい」その飾らない言葉とありのままの姿で生きる蛭子さんの姿勢に勇気をもらう方も多いのではないでしょうか。この記事を通して、たくさんの方に認知症について知っていただき、当事者を含め認知症に関わる全ての方に勇気を与えるきっかけとなることを願います。

この記事の監修医師