北城先生
手術後の違和感はありますか?
千原さん
生活する中で特に違和感はありません。
北城先生
動く時に違和感や足の長さの差を感じることはありませんか?
千原さん
全くありません。
北城先生
患者さんの約9割が満足しているという報告があるくらい、人工関節による手術の満足度は高いと言われています。
千原さん
僕も痛みがなくなったことで仕事が楽になり、子どもとも遊べるようになったので満足感は高いですね。術後すぐに車やバイクの運転もできて、人工関節が入っていることを忘れるくらい違和感もありません。
北城先生
すばらしいですね。最近の人工関節の手術は翌日から体重をかけて歩行ができるので、術後の経過が良いこともメリットのひとつです。手術後のリハビリはいかがでしたか?
千原さん
術後2日目から手すりを持ちながら歩く練習を開始しました。
北城先生
以前は術後しばらく横になっている期間がありましたが、現在は手術した翌日から歩くリハビリが始まるので入院期間も短くなっています。どのくらい入院されましたか?
千原さん
1週間です。
北城先生
早いですね。施設によって異なりますが、平均すると10日くらいで退院となることが多いと思います。
千原さん
僕は10日後には杖なしでも歩けていたと思います。
北城先生
手術で筋肉を切らなくなったので、術後の回復も早かったのでしょうね。
北城先生
退院後はリハビリに通いましたか?
千原さん
リハビリには通っていません。
北城先生
生活の中で歩くことがリハビリになるので、定期的なリハビリはなかったのかもしれませんね。
千原さん
はい。積極的に歩いてくださいと言われました。
北城先生
若ければ自分で歩いていただくケースが多いですが、一般的には週に1回くらいリハビリに通っていただいて、術後3ヵ月間は股関節の動きに左右差がないかチェックすることがあります。
千原さん
人工関節が入っている際に気をつけなければいけないことを教えてください。
北城先生
手術の方法にもよりますが、脱臼の可能性は0ではないので注意してください。千原さんのように前側から手術した方は、内股になって座るような姿勢は避けたほうがいいと思います。
千原さん
なるほど。運動の制限はありますか?
北城先生
運動制限は特にありません。ただ、転んで挿入した金属の下で骨折すると、手術が大変なので転ぶことだけは気をつけていただきたいですね。
千原さん
運動以外にも注意しなければいけないことはあるのでしょうか?
北城先生
人工関節に細菌が付着して感染を起こす場合があるので注意してください。特に糖尿病のある方は気をつけなければいけません。
千原さん
糖尿病ですか。それはどうしてですか?
北城先生
体が細菌などに弱く感染しやすいからです。特に人工関節には血流がないので細菌を倒す白血球などの細胞も届かず、細菌が広がりやすくなります。
千原さん
人工関節に細菌が広がった場合どうなりますか?
北城先生
人工関節を入れ直さなければいけない場合もあります。
千原さん
それは大変ですよね。
北城先生
はい。術後はもちろんですが、手術をした数年後にむし歯などから血流に細菌が体内に入り人工関節に付いてしまうというケースもあるので、手術前後での血糖コントロールが特に重要です。
千原さん
なるほど。気をつけなければいけませんね。特発性大腿骨頭壊死症に関する治療は今後も進化していくのでしょうか?
北城先生
軟骨を治す再生医療が少しずつ進んでいるので、いつか手術せずに治療できる時代が来るかもしれません。
千原さん
痛みを感じたら、まずどうすればいいですか?
北城先生
まずは整形外科の病院を受診してレントゲンを撮ることが大切だと思います。その時に異常がなくても、痛みが続くようであれば定期的に受診し相談してください。
千原さん
どのような病院に受診すればいいのでしょうか?
北城先生
日本整形外科学会のサイトでは専門医の資格を持っている医師を調べることができるので、そういう資格を持っている医師を受診するといいと思います。
千原さん
痛みがあれば定期的に受診することが大切ですね。ありがとうございました。