坂井先生
ご自身がゲイであることを自覚されたのはいつ頃でしたか?
與さん
小学生くらいから、なんか人と違うなっていう感覚はありました。周りの男友達と遊んでいて「あれ?少し話が合わないな」と感じるようになったのが中学生くらいの頃です。ゲイを自覚したというよりも、人と違うなという違和感はありましたね。
坂井先生
その時どのような気持ちになりましたか?
與さん
自分のような人は世界で1人しかいないと思って焦りました。
坂井先生
インターネットも普及していなかったので、調べることもできないですしね。
與さん
はい。当時スマートフォンがあれば自分で調べたと思います。僕が中学生の頃は世界的にもLGBTQ+という言葉自体もなく、孤独を感じて結構苦しかったです。
坂井先生
2016年にLAへ渡ったようですが、渡米を決めたきっかけや当時の心境について教えてください。
與さん
20代前半で初めてLAへ行った時にハリウッドで男性2人が普通にキスをしていて、その光景に衝撃を受けたのがきっかけです。「俺はLAに住まないと自分らしく生きていけないのかもしれない」と思っていました。
坂井先生
ファンの方から求められる自分の姿との葛藤などはありましたか?
與さん
本当は僕もキャリアを優先してソロでもいろいろ挑戦したかったのですが、当時はまず自分自身を受け入れることをしないとメンタルが持たないと感じていたので、そこで葛藤もありましたね。
坂井先生
実際にLAで暮らしてみてどうでしたか?
與さん
信頼できる友達ができるまでの最初の2年間は大変でした。ゲイの集まるコミュニティに参加するとゲイだと知られてしまう可能性もあるので、LAにいても変わらないことに気づきました。渡米したものの、どこに行ったらいいのか分からない状態が辛かったですね。
坂井先生
その時はどう対処されたのですか?
與さん
日本に戻っても一緒だと思ったので、とにかく信頼できる人との繋がりを作る努力をしました。
坂井先生
結果はいかがでしたか?
與さん
人生が変わるきっかけとなる友人との出会いがありました。その人もゲイなのですが、周りにいる友達と性別やセクシュアリティに関係なく普通に過ごす光景を見て「こういう世界もあるのか」と実感しました。
坂井先生
いい出会いがあったのですね。
與さん
はい。1人で抱えていることで健康に悪影響はありますか?
坂井先生
LGBTQ+の人たちは、うつや不安などのメンタルヘルスの問題を抱える人も非常に多く、大きな課題になっています。
與さん
心の健康は大切です。
坂井先生
はい。心の健康に関する問題として、日本では異性愛の男性に比べてゲイやバイセクシュアルの男性は自殺未遂率が6倍であるという調査結果もあります。
與さん
人と違うことで孤独を感じてしまうことは良くないです。
坂井先生
はい。性自認は3歳くらいから、性的指向は小・中学生くらいで自覚することが多いと言われています。LGBTQ+の人たちはロールモデルが不在であったり、家族や友人に自分のことを話せなかったりする中で自分自身のアイデンティティを確立できず、ストレスを抱えやすい現状があります。與さんが本当の意味で自分自身のセクシュアリティを受け入れられたのはいつ頃でしたか?
與さん
新型コロナウイルスが流行する少し前だと思います。友人の影響で心の健康について深く考え、本を読んだり瞑想をしたりする中で「自分が変わらなければいけない」ということに気付くことができました。
坂井先生
信頼できる人との繋がりが自分と向き合うきっかけになったのですね。
與さん
はい。人との繋がりがなければカミングアウトもできていなかったと思います。それくらい信頼できる人を見つけることは大切だと思います。