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「捻挫」の治療・対処法・予防策を理学療法士が徹底解説 治らないときはどうしたらいい?

 公開日:2023/05/29
捻挫の治療・対処法・予防策を理学療法士が徹底解説 治らないときはどうしたらいい?

足首の捻挫は決して珍しい怪我ではありません。しかし、「そのうち治る」といって放置しておくと、なかなか改善しないことも。一体、どのように治療・対処するのがいいのでしょうか。また、捻挫を予防するにはどうしたらいいのかについて、「TKM整骨院」の手倉森先生に教えていただきました。

手倉森 勇夫

監修理学療法士
手倉森 勇夫(TKM整骨院)

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柔道整復師・理学療法士。筋肉と関節を知り尽くし、痛みの原因を徹底的に追求。一時的に痛みを和らげるだけの、その場しのぎの揉みほぐしなどはせず、理学療法に基づいた観点を通して、痛みの原因に筋肉や関節の機能からアプローチ。関節の動きを改善するストレッチと筋肉を鍛える運動療法で根本治療を目指し、未来の健康へ導く。

捻挫とは?

捻挫とは?

編集部編集部

まず、捻挫について教えてください。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

捻挫は、「捻(ひね)る」「挫(くじ)く」という意味です。挫くとは、手足の関節に無理な力がかかって周辺の靭帯などを痛めることを指します。つまり、外部から不自然な力がかかることによって、関節をねじったり捻ったりして、挫いた状態を捻挫と言います。

編集部編集部

捻挫というと足首を思いつきますが、全身の関節で起きるのですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

足首、手首、肩、膝、指の付け根など、どの関節でも起こり得ます。そのなかで、もっとも一般的なのが足首の捻挫でしょう。

編集部編集部

なぜ、足首で起きやすいのですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

ジャンプしたり、足を接地したりするときに、足首を捻りやすいからです。また、スポーツをしている最中だけでなく、転倒したり、階段を踏み外したりと、日常的な動作でも足首を捻挫することは珍しくありません。

編集部編集部

捻挫の症状にはどのようなものがあるのですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

一般的に、捻挫は症状の程度によって3段階に分類されます。最も軽いレベルは、腫れも痛みも軽症で、一時的に靭帯が伸びてしまっている状態です。中等度のレベルは、靭帯の一部が切れてしまっている状態、重度の場合は靭帯が完全に切れていて、関節が不安定になっている状態を指します。

編集部編集部

どうやってレベルを見分けたらいいですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

簡単な見分け方は「歩けるかどうか」です。痛いけれど歩ける場合は、軽度のことが多いですね。一方、重度の場合は靭帯だけでなく骨折していることもあるので、ほとんど歩くことができません。

編集部編集部

ほかに、重症度を見分ける方法はありますか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

腫れの度合いも参考になります。腫れがひどいほど重症であり、例えば外くるぶしが見えないくらい腫れているなら重度に近いと言えるでしょう。また、捻挫をすると患部が赤くなることがあり、この範囲が広ければ広いほど重症ということになります。

足首などを捻挫したときの対処法・治し方

足首などを捻挫したときの対処法・治し方

編集部編集部

足首を捻挫したときの対処法を教えてください。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

まずは応急処置として、患部を氷水などで冷やして炎症を抑えましょう。なお、コールドスプレーなどは表面しか冷えないので効果が薄いです。大事なのは、深部まで冷やすことです。また、痛みがある場合は無理に患部を動かさず、安静にしてください。

編集部編集部

覚えておいた方がいい応急処置はありますか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

一般に、捻挫の応急処置の手順は「RICE」と言われています。RはREST(安静にする)、IはICING(患部を冷やす)、CはCOMPRESSION(患部を圧迫する)、EはELEVATION(患部を高くする)の意味で、これらの頭文字を取ったのがRICEです。これらの処置をしっかりすることが大切で、とくに靭帯が一時的に伸びているだけの軽度の場合は、応急処置をしっかりすると症状の悪化を防ぐことができます。そして、なかでも一番大事なのがアイシングです。

編集部編集部

応急処置をして問題なければ、医療機関を受診する必要はありますか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

もし、「腫れがひどくて歩けない」「関節がグラグラしている」「腫れや内出血がひどい」といった場合は、できるだけ早めに病院を受診してください。テーピングやギプスによる固定を必要とする場合があります。

編集部編集部

重症でなければ、医療機関に行かなくてもいいでしょうか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

軽症でも病院へ行った方がいいと思います。多くの人が、「痛みが取れたから病院に行かなくてもいい」と考えがちですが、捻挫を繰り返さないためにも、念のため軽度であっても病院を受診した方がいいでしょう。

編集部編集部

軽い捻挫の場合、どれくらいで痛みがなくなりますか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

だいたい数日~1週間で痛みが取れると思います。それ以上経っても痛みが引かない場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

足首などを捻挫しない・繰り返さないためには

足首などを捻挫しない・繰り返さないためには

編集部編集部

捻挫を予防するには、どうしたらいいのですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

何度も捻挫を繰り返す場合は、テーピングやサポーターを使って関節を固定するといいでしょう。また、スポーツをする前にはしっかり準備体操をおこなったり、足にきちんと合った靴を選んだりすることも、足首の捻挫を予防するためには大切です。

編集部編集部

捻挫が癖になることがあるのは、どうしてですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

しっかり治り切っていないのに関節に余計な負荷がかかってしまうと、捻挫を繰り返しやすくなります。また、捻挫はよくある怪我なので「そのうち自然に治る」と考える人も多いのですが、放置すると癖になりやすくなります。捻挫は軽視せず、早めに適切な処置をすることが大切です。

編集部編集部

繰り返さないようにするためには、どのような処置をすればいいのでしょうか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

大事なのはリハビリをして、必要な筋力をつけることです。靭帯が伸びてしまうと、靭帯再建の手術をしなければ治りません。つまり、いったん靭帯が伸びてしまうと、周辺の筋肉を鍛えなければ、関節の安定性を保持することができないのです。そのため、本来なら軽度であってもリハビリは必要です。

編集部編集部

軽度でもリハビリが必要とは、知りませんでした。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

「痛みが取れた=捻挫が治った」と考えがちですが、本当に大切なのは痛みを取ることだけではなく、関節の安定性を回復させることです。そのため、医師や理学療法士、トレーナーなど専門家の意見を取り入れ、しっかりリハビリをして筋肉を鍛えることがポイントです。

編集部編集部

ということは、捻挫が軽症であっても念のため病院に行った方がいいのですね。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

そうです。ただし、リハビリに関する知識がある場合、あるいはトレーナーなどの指導を受けられる場合は、軽症であればセルフケアでもいいかもしれません。その場合は痛みが取れるまで氷水で冷やしましょう。その際、ずっと氷水を当てていると凍傷になるリスクがあるので、寝るときは湿布を使うのをおすすめします。

編集部編集部

捻挫を早く治すにはどうしたらいいのでしょうか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

できるだけ早く炎症を鎮めて腫れを抑えることが、すみやかな治癒につながります。そのために大切なのが、先ほどお話したRICE処置です。これら4つの処置を適切におこなうことが、早期治癒の鍵となります。

編集部編集部

捻挫に後遺症はあるのですか?

手倉森 勇夫先生手倉森先生

捻挫を放置しておくと、歩きづらくなったり、歩行時に痛みを感じたり、バランスを取りづらくなったりします。これらは捻挫の後遺症です。また、関節が不安定になることで、膝から下の部分に痛みや怪我を生じる可能性があります。そのためにも捻挫は放置せず、きちんと治療をすることが大切です。

編集部編集部

捻挫は、予防と治療のどちらも大事なのですね。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

日常的に運動している人は、とくに気をつけてください。捻挫を放置しておくと、加齢に伴って変形性関節症になり、歩くことが困難になることも考えられます。痛みがあっても「いつか治るだろう」と油断している人が多いのですが、念のため受診するようにしてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

手倉森 勇夫先生手倉森先生

足首の捻挫だけではなく、手首の捻挫にも気をつけましょう。手首の捻挫を放置しておくと、TFCC損傷という手首の痛みにつながることがあります。また、捻挫をそのままにしておくと、関節が不安定になり、腱鞘炎や上腕骨内側上顆炎など、どんどん怪我が広がってしまうこともあります。きちんとリハビリをおこなっている医療機関を受診して、適切な治療とリハビリを受けることが重要です。

編集部まとめ

捻挫は決して珍しい怪我ではないため、「痛みが取れたから病院に行かなくてもいい」と考えがちです。しかし、放置することによって、痛みが慢性化したり、捻挫を繰り返しやすくなったりすることもあります。RICE処置をおこなった後は、できるだけ早めに整形外科などの医療機関を受診するようにしましょう。

医院情報

TKM整骨院

TKM整骨院
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診療科目 整骨院

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