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麻疹(はしか)、「過去最速ペース」で感染拡大…厚労省が全国自治体に『緊急説明会』を開催

 公開日:2026/05/01
麻疹(はしか)、「過去最速ペース」で感染拡大…厚労省が全国自治体に『緊急説明会』を開催

麻疹(はしか)の感染拡大に歯止めがかからない昨今、「自分も感染したらどうしよう?」「どうしたら感染を防げる?」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。感染情勢を重く受け止めた厚生労働省は2026年4月24日、麻疹について、全国の自治体向けに緊急説明会を開催しました。今回の呼びかけ内容と感染対策について春日先生に伺いました。

春日 武史

監修医師
春日 武史(医師)

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練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

厚生労働省が発表した内容とは?

編集部

厚生労働省が発表した内容を教えてください。

春日 武史先生春日先生

厚生労働省によると、2026年1月~4月12日までに国内で報告された麻疹(はしか)の患者数は299人となり、昨年1年間の合計をすでに上回りました。新型コロナウイルスの流行以降、最も速いペースで感染が広がっており、東京都内の小学校では12年ぶりの学年閉鎖が起こるなど、学校での集団感染も発生しています。背景には、海外流行に伴う国外からのウイルス持ち込み事例の増加、コロナ禍以降のワクチン接種率の低下、空気を通じてうつる強い感染力(空気感染力)、症状が出る前から人にうつるウイルスの性質などがあるとみられます。
 
このような状況を受け同省は24日、自治体に対して緊急説明会を実施しました。発熱や発疹などの症状が出た人はなるべく外出を控え、医療機関に事前連絡したうえで受診し、公共交通機関の利用はできるだけ避けるよう呼びかけています。また1歳と就学前1年のお子さんは定期接種の対象であり、接種歴が不明な場合も含めてワクチン接種を検討するよう求めています。

感染が急増する麻疹とは?

編集部

麻疹について教えてください。

春日 武史先生春日先生

麻疹は麻疹ウイルスが原因となって発症する病気で、感染後10~14日ほどの潜伏期を経て症状が表れます。最初は「カタル期(鼻水、咳、くしゃみ、目の充血などが出現し、最も感染力が強い時期)」から始まり、頬の粘膜に白い斑点(コプリック斑:麻疹特有の小さな発疹))が出ることもあります。一旦熱は下がりますが、その後「発疹期」に入ると再び発熱して全身に発疹が出現します。通常は発症から1週間ほどで快方に向かい「回復期」に至ります。
 
しかし、およそ1000人に1人は肺炎や脳炎などを合併し、最悪の場合命を落とすこともあります。また、ごくまれに、麻疹が治ってから数年後に亜急性硬化性全脳炎(麻疹ウイルスが脳内で持続感染することで起こる重篤な合併症)が続発して亡くなることもあります。
麻疹ウイルスは感染力が強く、手洗いやマスクだけでは防ぐことができません。最も有効とされる予防法は、ワクチン接種です。1回の接種で約95%の人がウイルスに対する免疫を得ることができ、2回接種することでより強い免疫がつき、1回目で十分に免疫を得られなかった人にも効果が期待できます。
体に免疫の備えがあれば、ウイルスを早期に抑え込んで発症を防ぐのみならず、麻疹にかかった場合でも症状を軽くし、肺炎や脳炎などの重い合併症リスクを下げることができます。さらに、周囲の人への感染拡大防止にもつながります。ご自身とご家族、そして周りの人を守るために、ワクチンを確実に2回接種しましょう。

内容への見解は?

編集部

厚生労働省の対応への見解を教えてください。

春日 武史先生春日先生

麻疹は基本的には自然治癒する病気で、特に日本ではほとんどの人が麻疹ウイルスに対する免疫を持っています。ワクチン接種の記憶が定かでない人は、妊婦さんや免疫不全の人以外であれば、大人になってからでも接種ができます。また、自費診療にはなりますが、麻疹ウイルスに対する抗体価を調べる検査もできます。麻疹は世界的に撲滅を目指している病気であり、少数の患者さんであっても大きく報道されることがありますが、過剰反応することなく、落ち着いて対応することが大切だと思います。
 
現状は感染拡大を慎重にコントロールすべきフェーズであり、警鐘もそれを示唆するものです。接種率の回復と迅速な封じ込め対応が急務と考えます。

編集部まとめ

麻疹は感染力が強く、手洗いやマスクだけでは防ぎきれません。最も確実な予防法は、ワクチンの2回接種です。まずはご自身やお子さんの母子健康手帳などで接種歴を確認し、未接種や不明な場合は早めの接種を検討しましょう。発熱や発疹が出たときは、医療機関に事前連絡をしたうえで受診することも大切です。

この記事の監修医師