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「ビールとワインで違いあり」? 飲酒と死亡リスクの関係、あなたは正しく知っていますか?

 公開日:2026/04/20
「ビールとワインで違いあり」? 飲酒と死亡リスクの関係、あなたは正しく知っていますか?

中南大学の研究チームは、アルコール摂取と死亡率の関連を13年以上追跡した大規模研究を米国心臓学会議(ACC2026)で発表しました。その結果、ビールやスピリッツは少量であっても死亡リスクの上昇と関連し、アルコールの種類を問わず多量飲酒はあらゆる死亡リスクを高めることが明らかになりました。詳細について中路先生に聞きました。
 

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

中南大学の研究チームが発表した内容を教えてください。 

中路 幸之助先生中路先生

中南大学の研究チームは、2006~22年にUKバイオバンクに登録した約34万人を対象に、アルコール摂取量と死亡率の関連を追跡調査しました。平均13.4年にわたる調査期間において、多量飲酒は「全死因」「心血管疾患」「がん」を含むあらゆる死亡リスクを高めることが示されました。
またアルコール飲料の種別では、スピリッツ、ビール、シードルは少量〜中等量であっても死亡リスクの上昇と関連していた一方、少量〜中等量のワインは死亡リスクの減少傾向が見られました。ただし、どの種類であっても多量摂取はさまざまな部位のがん死亡リスクを高めることが併せて示されていました。これらの結果から、アルコールの種類や量によって死亡リスクへの影響は大きく異なることがわかりました。
 

飲酒とがんの関係性

編集部

今回の研究テーマに関連する、飲酒とがんの関係性について教えてください。 

中路 幸之助先生中路先生

飲酒は口腔・咽頭(いんとう)・食道・肝臓・大腸・乳腺など多くのがんの原因となります。アルコールとその代謝産物であるアセトアルデヒドにはいずれも発がん性があります。
特に、飲酒で顔が赤くなる体質の人はアセトアルデヒドの分解が遅く、頭頸部がんや食道がんのリスクが高くなるため注意が必要です。さらに喫煙との組み合わせでリスクは一層高まります。がん予防の観点からは、飲酒に「安全な量」はありません
 

研究内容への見解は?

編集部

中南大学の研究チームが発表した内容への見解を教えてください。 

中路 幸之助先生中路先生

本研究は、「UKバイオバンク」という大規模コホート(共通条件を持つ調査対象者の集団)を用いた質の高い解析であり、アルコールの種類や量と死亡リスクの関係を丁寧に示した重要な報告です。
一方で、あくまで観察研究であり、飲酒量や飲み方はベースライン時(調査開始時点)の自己申告に基づいているため、過少申告やその後の飲酒習慣の変化など、避けられない限界(リミテーション)があります。また、「ワインをよく飲む人」は食事内容や運動習慣、社会経済的背景など、健康に影響するさまざまな要因が、他の飲料を好む人とは異なっている可能性が高く、統計的に調整してもこうした違いを完全に取り除くことはできないと思います。
そのため、今回の結果をもって「ワインなら健康によい」「種類さえ選べばリスクを帳消しにできる」と受け取るのは適切ではなく、「多量に飲めばどの種類であっても確実にリスクは高まる」という点をまず押さえるべきだと考えます。

総括すると、本研究は「お酒の種類によって死亡リスクに差がある可能性は認められたものの、どのようなお酒であっても、飲めば飲むほど健康リスクは着実に積み重なっていく」というメッセージを、改めて裏づけたものとして捉えるのが妥当であり、“飲み方を工夫して安心する”よりも“量と頻度を見直す”きっかけとして受け止めるのが望ましいと考えます。
 

編集部まとめ

飲酒は種類や量にかかわらず、がんをはじめとするさまざまな病気のリスクを高める可能性があります。特に飲むと赤くなる体質の人は要注意です。「少しくらいなら大丈夫」と思わず、休肝日を増やすことも意識してみましょう。
 

この記事の監修医師